第3話 彩香、絶体絶命(7/13)

■シーン12■  有明


       街中。遠景に東京ビッグサイト。

       街頭に大型テレビ


TV   :「首都圏の話題です。東京都港区のお台場海浜公園で、今朝、珍しい大型の鳥が飛来しているのを付近の人が見つけて話題を呼んでいます。

       付近の住民やオフィスに勤める人々は、珍しい野生生物の訪れに、足を止めています」


       通行人が足を止めてテレビを見る。

       その中に、彩香。


彩香   :「火竜‥‥」


       彩香、恐怖の表情を浮かべ、左手で胸元を押さえてガクガクと震え出す。

       通行人がいぶかしんで彩香を見る。


彩香   :「(近くの人に向かって)済みません。海浜公園ってどこですか?」



■シーン13■  ラーメン店


       啓吾、店の隅で携帯電話を掛ける。



■シーン14■  三軒茶屋、優香のマンション


       電話が鳴り続ける



■シーン15■  ラーメン店


       啓吾、携帯に耳をあて、相手が出ないのを確かめて切る。

       再びボタンを押して、携帯を耳にあてる。


携帯電話 :「日山食品株式会社です」

啓吾   :「土門です。庶務の鳴海さん、お願いします」

携帯電話 :「お待ちください」



■シーン16■  お台場、東京臨海高速鉄道、東京テレポート駅


       改札を出て走り出す彩香。


       駅ビルを出て走り出す彩香。



■シーン17■  ラーメン店


       店の隅で電話を待つ啓吾。


優香   :「鳴海です」

啓吾   :「優香ちゃん? 彩香、今日、病院に行ったかな? その後でどこか行くような事言ってた?」

優香   :「啓吾君? どうしたの? 病院には行ったはずだけど」

啓吾   :「まだ、戻っていないんだ」

優香   :「だって、まだ昼過ぎよ。どこか見て歩いてるんじゃない?」

啓吾   :「どこ行ってるかな?」

優香   :「(笑い)何心配してるの? あの子、啓吾君が心配するような子じゃないわよ」

啓吾   :「分かってるけど」

優香   :「大丈夫よ。そんなに縛り付けたら可哀想じゃない?」



■シーン18■  お台場


       テレビ局ビルの前を走る彩香。

       ギブスをした右腕を左手でかばう様にして、苦し気な表情で走る。



■シーン19■  ラーメン店


       啓吾、携帯電話を内ポケットに戻し、席に戻る。


翔    :「どうした?」

啓吾   :「ん。(深刻な表情)」

翔    :「何かあったのか?」

啓吾   :「いや‥‥」

       しばし考えた挙げ句。

      「翔、済まない。厚木には、お前一人で行ってくれ」

       店を飛び出す。

翔    :「おい!? 啓吾!」

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