第2話 羽衣と九耀と約束(7/11)

■シーン13■ 海岸


       家屋内部。彩香の周囲に次々に建材が落ちてくる。

       彩香、狭い空間で身をよじり、あとじさる。


彩香   :「キャーッ! キャーッ!」


       火竜、天井の穴から首を突っ込もうとする。その度に建材が崩れ落ちる。

       火竜、首を入れるのをあきらめ、右手を突っ込む。

       火竜の爪が室内をかき回す。

       彩香、身を引きながら左手を構える。腕輪がないことに気付き、あわてて周囲を見回す。


彩香   :「『九耀の腕輪』が!?」


       火竜、腕を抜く。口許が光を放つ。火炎を吐く。*3


       ほどんど瓦礫に埋まった彩香の前を、光の束が走り抜ける。


       彩香、アップ。閉じていた目を開く。


       家屋全景、半分が消滅し、わずかに彩香が身を寄せる壁の部分だけが残っている。その上に火竜がおおいかぶさっている。


彩香   :「ああっ!」


       火竜、首を伸ばし、彩香に襲いかかる。


彩香   :「(目を閉じて)キャーッ!!」


       宙を飛ぶ啓吾。手にした鉄パイプを横殴りに振るう。


啓吾   :「うりゃぁっ!!」


       火竜の横顔を鉄パイプが一撃する。


火竜   :「ギャッ!」


       砂地に転がる火竜


       着地する啓吾。振り返り、鉄パイプを中段に構える。

       鉄パイプにはコンクリが付着していて、建材を適当に拾ってきたのが伺える。


       火竜、首を起こして、


火竜   :「誰だ!?」


       啓吾、鉄パイプの先端を下げ、構えを斜め下段に変えて、


啓吾   :「土門啓吾、というものだ」


火竜   :「貴様、昨日の!?」

       立ち上がり

      「地上人が邪魔だてするなぁ!!」

       踊りかかる。


       啓吾、鉄パイプの先端を、セキレイの尾の様に軽く上下に動かす。

       火竜、右手を振り降ろす。啓吾、鉄パイプを振り上げ、火竜の爪を受ける。

       鉄パイプと火竜の爪が火花を散らしてぶつかり合う。

       啓吾、鉄パイプで火竜の爪を受け止める。


啓吾   :「(ニッと笑って)今度は折れるかっ!」

       膂力で火竜を押し返す。


       火竜、憤激する。


火竜   :「ギャウウ!」


       火竜、左右の爪を交互に振り下ろす。

       啓吾、火竜の爪を鉄パイプで受けてはじき返す。2合する。

       火竜の尾が空を切る。(第1話と同じ展開)

       啓吾、ジャンプする。足下を火竜の尾が走り抜ける。


       着地する啓吾。当惑した表情。


啓吾   :「な、何だ!? 体が軽いぞ?」


火竜   : 一瞬ひるむ。

      「生意気な!」

       大口を開けて襲いかかる。


       啓吾、体の前に鉄パイプを立てる。

       火竜、そのパイプに咬みつき、左腕を振り降ろす。

       啓吾、鉄パイプから手を放し、火竜の爪を避けて横飛びに飛ぶ。


火竜   : 鉄パイプ放り投げ、一声咆哮。

      「ガアア!」

       更に啓吾に襲いかかる。


       火竜、右腕を水平に振るう。

       啓吾、身を屈めて爪をかわす。

       火竜、口を開けて上から襲う。

       啓吾、再び横飛びに飛ぶ。

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