第6話
「ひゃははははは!!! いつ見てもこの光景は堪んねえな!」
「うるさいな、操縦中に騒ぐのは止めてくれっていつも言ってるだろ」
「だってよぉ、ひひっ、おい見ろよあの泣きわめいてるガキを。そりゃそうだよなあ、自分の家が、故郷が燃えてんだもんなぁ! そりゃ悲しいよなあ! ははっ、傑作だぜ! 俺が全てを支配している感覚! 全能感ってやつだ!」
「・・・爆撃の指示を出したのも、トリガーを引いたのも僕だというのに・・・。いいかい、別にいくらはしゃごうと構わないけれど、任務の邪魔だけはしないでくれよ。この任務の目的はこんな安っぽい街を地獄に落とすことじゃない。白銀の狂戦機、忌まわしいあの機体をおびき寄せて、そして――地獄に叩き落とすことだ。こんなとこで暇つぶしをしている時間はない」
「――へっ、随分殺気に満ちた顔じゃねえか。俺なんかよりよっぽど酷い人相だなぁ。まあでもいいぜ、おめーのそういう残酷なとこが好きなんだ、とっととやっちまおう」
「これだけ街に被害を出してしまえば、アイツも出てこざるを得ないだろう。しっかり、入念に、地獄への歓迎会を準備しよう」
***
「――――くそっ、あちこちに火の手が回ってる。どこから来たんだっけな・・・基地に戻る道くらい聞いておけば良かったぜ・・・」
「お兄さんッ!」
「あ、あんたは・・・誰だっけ?」
「ミサだよミサ! 今朝お兄さんを起こしたカワイイ天使ちゃんですっ!」
「悪い、冗談を聞いて笑ってられる状況でもないんでな。基地はどっちだ?」
「冗談じゃないですぅ、ちょうどミサもお兄さんを探してたんだ、案内する! ・・・でも、艦長は?」
「艦長さんはちょっくら休憩してから戻るってよ、心配するなって言ってたぞ」
「・・・そっか」
「急ごう、いつここも爆撃されちまうか分かんないからな」
「うん」
***
「信号オールグリーン、いつでも出せます」
「出撃カウントダウンは無しよ、安全面には配慮しつつ、一刻も早く機体を送り出してちょうだい。事態は一刻を争うわ」
「その・・・整備中のX-αは、どうしましょうか? 姿勢維持のブースターにはまだかなり不安が――」
「彼はなんて言ってるの?」
「――あの人はいつでも出れる、と。」
「・・・なら私たちが止めたって仕方ないわ。多少の危険は彼も覚悟のはず、出撃の準備を進めてあげて。この悲惨な状況を覆すには、彼の実力は不可欠よ」
「・・・わかりました」
「私たちは、祈るしかないわ。白銀の狂戦機と謳われるX-αと彼の実力をね」
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