第5話
「――どうだい、外の空気は。気持ちよいだろう」
「・・・まあ、はい」
「この地も数か月前までは戦火に見舞われていたんだ。だが今ではこうして人々に笑顔が戻り、街は復興への道を辿っている。――私がしたかったことは、使命は、これだったんだと実感するよ」
「・・・使命ねえ。大層なこった」
「経緯や行き着く先は違えど、キミも大義の為に戦ってきたんだろう。私たちはそう違わないはずだ」
「そうかねぇ」
「そうだとも」
「・・・」
「・・・」
「俺は別に大義の為に戦ってたわけじゃない。ただ必死だったんだ。今日を生きるために必死で、戦場を生き抜くことに命がけで・・・」
「大義は、人の数だけあるものさ。別に国のために生きることだけじゃない。キミがキミの為に生きた時間であれば、きっとそれは何よりも尊い大義なのだと私は思うよ」
「・・・そりゃどーも」
「相変わらずキミは可愛げのない生徒だね、まったく」
「こちとら、口がウマい大人たちに弄ばれてきた人生なんでね」
「耳が痛い話だ・・・キミが私と同じ道を辿らないことを願っているよ」
「ったりめえだ」
「・・・・・・・・・・・・ん、あれは・・・・」
「・・・AFT-25。帝国軍の主力戦闘機、か。おいおい、ここは中立国家じゃなかったのか?」
「・・・何が起きている。すまない、少し連絡を――」
"ギュン"
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***
「・・・おいおい、嘘だろ。なんだよこれ・・・」
「最悪の事態だな・・・ッ、少し自由に動きすぎてしまったか・・・ぐっ」
「お、おいアンタ大丈夫か」
「これくらいなんということはない。だが、身動きは取れそうにないな・・・すまないが、頼みを聞いてもらえるか」
「・・・なんだよ、頼みって」
「―――――――――――」
「寝言は寝ていえ、ぶっ飛ばすぞ。医者は呼んでやる――――――勝手にくたばるんじゃねえぞ」
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