第2話
「大人しく降伏しろ、さもなくば命だけは助けてやる」
「――――だそうだ」
「―――いまさら助かったところで、どうにかなると思ってるのか? エースパイロットさんよぉ・・・ガハッ」
「・・・くそっ、オンボロ機体が・・・動きゃしねえ」
「ハッ、威勢だけはッ・・・勲章もんだぜ・・・アンタ」
「僚機が勝手にくたばるんじゃねえぞ、まだだ、まだ終わってねえ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「おい、聞いてんのか」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・どいつもこいつも、俺を置いて勝手にいきやがる。なんだってんだよ、くそが」
「これが最後の忠告だ、降伏しろ、貴様ら同盟軍の艦隊は全滅した。既に貴様らが帰る家はない。宇宙の藻屑となるか、帝国の奴隷になるか、好きな方を選べ」
「・・・なあ、ナンバー2、お前は、どうしたい?」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・そうだよなぁ、まだだよなあ。あんだけ苦しい訓練を乗り越えてきてよお、家族からも隔離されてさ、仲間が日々死んでもその屍を乗り越えて、文字通り命削って、金稼いで・・・その結末がこんなとこでくたばるなんて・・・違うよなあ・・・俺たちは、こんなところで・・・」
「――10秒やる。返答がなければお望み通りあの世へと送ってやる」
「・・・安心しろ、俺は、お前らの分まであがいてやる。俺だけ抜けがけで生き残ったりしない。夢も希望も失って生きるのは、死んでるのと一緒だ。俺は、お前らと一緒だ。夢も、希望も、絶望も苦しみも何もかも抱いて死んでやる。生きて、死んでやる。だから、今は―――――――― ― ‐ 」
「――時間切れだ、あの世のお仲間と仲良くやって―――――――――」
やけにうるさい警報音が徐々に遠ざかっていく。
視界は微睡んで、まるで天国から使者がやってきたかのように、白銀の光が眼前に広がった。
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