第205話

「天使って丈夫だから大丈夫よ。戦闘もしてないしちょっと走ったぐらいだったから。それにまずそうだったら私が止めてるもの」


シロナさんがそう言うなら大丈夫なんだろうけど。今度からちゃんと気をつけよう。


とにかく人になるための薬はジュリアナさんが出産して落ち着いてからだ。


「そう考えると薬が完成するのは1年後ぐらいかな」


「ヒロちゃん勘違いしてるみたいだけど。天使は卵生だから後3ヶ月後ぐらいには受精卵を出産するよ」


天使って卵生なの!?


「知らなかったの?ジュリちゃんの産んだ無精卵を食べたことあるのに?」


???????無精卵!?俺が食べた!?



「そりゃ卵生なんだから無精卵を産むことも有るわ。竜だって無精卵産むもんね?エレちゃん」



「竜の場合それこそ300年に1度とかですがね」


そう言って空間収納から両手で抱えないと持てないぐらいのサイズの卵を取り出す。


「というかホントにジュリアナさんが産んだ卵を俺食べちゃったんですか!」


「無精卵よ無精卵。食べるか捨てるかしかないし。だったら捨てるのも勿体ないし。かと言って誰かに自分が産んだ卵ですって食べさせるのも嫌だ。自分で食べるのもちょっとってなって、ならヒロちゃんに食べて貰うしかないって。ほら、ヒロちゃんがなんか凄い上品な味がするって言ったプリンがあったじゃない?」


アレか!?


「今日の出来事が全て吹き飛ぶレベルの情報だったけど。とりあえず理解した。で、なんでエレ姉は自分の無精卵を抱えたままなんですか?」


なにかのひょうしに落として割りそうで怖い。

早く空間収納に仕舞って欲しい。


「いや私も処分に困っててな。折角だからシロナ様とヒロキに食べて貰おうと」


「あら、そうなの?じゃあありがたく頂いちゃうわね。竜の卵って中々美味しいのよね」


お前もか!?と固まっているとシロナさんが受け取ってしまう

エレ姉はちょうど良いと空間収納にしまっていた自分の無精卵を全部シロナさんに渡してしまう。


もうこれは考えたら負けってやつか。


「じゃあ、半年後ぐらいにはジュリアナさんが薬を完成さられるってことで良いですか?」


「そうねぇだいたいそのぐらいかしら」


「じゃあ、半年後ぐらいに人になる薬を持ってまたきます」


「それは分かったが別に薬ができてなくても会いに来てくれて良いんだぞ?」


割と寂しがり屋?もしくは俺が持ってくるお菓子目当て?


まぁどっちでも良いか。

浮遊大陸にしかない素材とかを回収しにちょこちょこ来たかったし。


「そうですね。お菓子を持って会いに来ますよ。それと浮遊大陸で採取とかして良いですか?」


「やり過ぎない程度に採取するなら好きにしてかまわない」


よっしゃ。


甘いものとかは採っちゃダメとか言われると思ったけど、自由にとっていいみたいで良かった。


スカイ〇〇って感じで浮遊大陸でしか採取出来ない素材だらけだからね。


「じゃあ早速採集させて貰ってから帰ろう」


転移ポイントもエレ姉の寝床に設置させて貰ってから素材採集のために浮遊大陸探険を始める。


「飴羊だ!ヒロキ絶ッ対に捕獲しろ」


羊毛部分が綿あめな羊、飴羊を見つけたエレ姉が弾丸みたいすっ飛んで言った。


エレ姉はデコピンで飴羊を気絶させて慣れた手つきで綿あめを採集していく。


エレ姉が案内してくれるのはいいんだけど採れる物が全部甘いものなんだよね。


どれも貴重なわけなんだからダメじゃ無いんだけどね。


「この綿あめで果物を包んで食べるのが美味しいんだ」


言いたいことはわかる。


でもね。高麗人参的なスカイキャロットとか薬の素材的な素材とか。

実際の雲はフワフワしてないけど。雲みたいにフワフワした糸を出す蜘蛛。

クラウドスパイダーとか。

珍しい素材はいっぱいあるわけで…


そっちも採りに行きたい。


ということで、そろそろ甘いもの以外も採集したいと言うと。

甘いもの以外の物の採集できる詳しい場所は知らないと言われてしまったので適当に歩いて探す。


「と言うか魔物の動きが活発化してます?」


遭遇する魔物達がヤケに興奮している気がする。


「アンブロシアの匂いを嗅いだせいだろう。収穫時期になるとアンブロシア目掛けて浮遊大陸中の魔物が集まって来てホントに面倒だからな」


収穫時期ではないけど。さっき出した1個の匂いで魔物達が興奮状態になってるのか。


地上でストレートから取り出す時は匂いが広がらないように何か対策しないとまずそう。

人にの説明しなきゃいけなくなっちゃうとそれはそれで面倒なことになってしまう。

シロナさんに対策して貰うか。

チュートリアルの森で扱うようにすれば関係者以外にアンブロシアの匂いを嗅がれることはないだろう。


「そう言えばあと数ヶ月もすればアンブロシアの収穫時期に入る。いつもは集まってくる敵を私ひとりで相手するんだが。ヒロキも手伝いに来ないか?」


100年に1度しか実らないアンブロシアの収穫時期が数ヶ月の間にくるらしい。


珍しい魔物の素材も手に入りそうだし。手伝うのもありだな。


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読んで頂きありがとうございます。



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