第194話

「交渉は終わったんですか?」


ジェニーさんが目ん玉に飛び出るんじゃないか!?ってぐらい目をかっぴらきながら本を読んでいるからたぶん交渉は終わったはず。


「しっかり終わったよ。それでなんだけどジェニーにもウイスキーを売ってあげれないかな?作り方がわかったとしても、味を知っているか、いないかでかなり変わってくると思うんだけど」


たしかに作り方を理解しても味が想像できないと成功しないってこともあるだろう。

と言うか成功かの判断ができないか。

味がわかんないんだから。


「勿論大丈夫ですよ瓶になっちゃいますけど」


ドワーフ的には量を呑むから瓶より樽で手に入らないのかとティーミルさんに昨日聞かれたけど。

交換リストに樽はなかったので瓶を数用意することで我慢してもらった。

瓶だと一々開けるのが面倒臭いらしい。


ウイスキーなんて1回で1本すら、あけるようなお酒じゃ無いんだけどな。


「とりあえず。ウイスキー100本ぐらい置いてけばいいですかね?」


それだけあれば従業員全員が1口づつぐらいは呑めるかな?

足りなきゃ水割りで呑んでもらおう。


ドワーフたちは当然のようにストレートで呑むからな。


ほんとに味見程度にしか呑めない方が自分たちで作るぞ!って言うモチベーションになってくれないかな?


駄目だ!ウイスキーが呑みたい!ってなっちゃったら普通に売ってあげよう。


「ウイスキーを売るのは良いですけど。ジェニーさんこっちが話しかけて返事してくれますかね?」


本を読むのに集中しすぎて俺たちが戻ってきたのにも気づいてないのに。


「ジェニー 。ヒロキくんがウイスキー売ってくれるってよ」


「ほんと!?」


自分に都合の良い話は聞こえるやつね。


「とりあえず100本……あっ業務用のあれが追加されてる!」


相変わらず樽はなかったけど。5リットルぐらい入っている業務用のやつが追加されていた。


今までの瓶のやつも結構高級そうなウイスキーだから需要はあるだろうけど。

量が呑みたい時はこっちの方が良いかもね。

ウイスキーを量呑みたいってヤバいと思うけど。

人間だったら急性アルコール中毒で死んでると思う。


「とりあえずずこっちの瓶とこのいっぱい入っているやつ。両方1本1万マネーでどうですか?」


瓶の方に関してはこれでもかなり安くなってるだろうけど 。1本5000MPで交換できるし、これでも黒字だから問題ない。


MPってどう言う基準で設定されてるんだろうね?


地球では明らかにこっちの方が高いだろうって言う物の方が安いMPで交換できることもあるし。


「ほんとにそんな安くて良いの!?」


「味を知ってもらわないといけないですし。初回サービスです」


こう言っておけばあとから値段をあげることがあっても文句言われないだろう。


今回以外に売る予定はないけど。


「そっか、まぁ安くして貰えるなら今回はありがたくその金額で買わせて貰うよ。瓶の方が30本で謎の透明な容器に入っている方を500お願いしようかな」


いくら安いって言っても530万ですよ!?

ドワーフの多いへパスで1番の酒造って言うんだからそれぐらいは持ってるだろうけどそんなに一気に使って大丈夫なのか?


「ジェニーはヒロキくんが思っているよりお金を持ってるから、心配にないで絞りとって大丈夫だよ」



ジェニーさんの酒造はビールは低価格で品質もそこそこいい物というコンセプトで作っていてワインの方は最高級品質で高級品というコンセプトで作っているらしい。

500万ぐらい5年もののワイン1本売るぐらいで稼げるらしい。


ほんと想像以上に稼いでるらしい。


と言うか見学の記念にって15年もののワインを1本貰ったんだけど、これ見学の記念にってもらって良いもんじゃないよね?


流石に今更返しますみたいなことは言えないし。

こっちからもジェニーさんからして15年もののワインと同じぐらい価値のあるものを贈らせて貰うか。


このタイミングでウイスキーの値段を安くするのは不自然すぎるし。

かと言って新しい酒を渡すとそれはそれで面倒だ。

と言ってもジェニーさんが喜ぶのはお酒関係のものだろう。


何かいいものがないかな〜とウイスキーを準備しているフリをしながら探していると。

ヨーロッパのワイン用の赤ブドウを見つける。

ワイン用のぶどうなら種無しってこともないだろうし。

こっちの世界で増やすこともできるだろう。

こっちの世界の環境が合わなくて育たないって可能性もあるけど。


「お金が問題ないのはわかったんで、用意はしますけど。どこにだしましょうか?」


ここに5リットルの業務用ウイスキーを500個も置いたままにできないし。俺がここに出したら、従業員が保管場所まで運んでいくんだろうけど。それじゃ二度手間だし、保管場所まで案内してもらって直接そこに出した方が無駄がない。


「それじゃあ、保管庫までお願いできます?その間にお金の用意をさせておくんで。あっでも瓶の方はここでお願いします」



流石に今すぐ呑み始める訳じゃないよね?




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