第169話
何も悪いことはしていないけど、自分がちょっかいをかけられたせいで、絶賛世界滅亡の危機にひんしてることを知らないヒロキはスタローン商会の支店でアイレムと呑気に会話をしていた。
「じゃあ、スタローン商会って浮遊大陸と唯一取引をしている商会なんですね」
数十年前に怪我をして地上に墜落してしまった浮遊大陸の鳥系獣人を助けたのが今のスタローン商会の会長だったらしい。
その縁もあってスタローン商会は唯一浮遊大陸と取引をしていると言うことなのだとか。
「と言っても浮遊大陸の人達が売り物を定期的に持ってきて取引をしているんで、スタローン商会なら自由に浮遊大陸に行けるって訳ではないですけど」
だとしても浮遊大陸産の素材とかを取り扱えるだけでかなり儲かってるだろう。
「まぁ、詳しくはオウル様にお聞きした方が詳しく教えて下さると思います」
「それもそうか。そう言えばオウルさんって今アストにいるって話でしたね。ちょうど入れ違いになっちゃったのか」
俺が助けたあとお礼をするために馬車じゃなくて自分で飛んでアストに向かったらしい。
飛んでいくなら馬車と違って一直線に迎えるから同じ速度だとしても飛んで行った方が早く到着する。
なので俺の予想よりだいぶ早くアストに到着したようだ。
予想では10数日ぐらいかかるだろうから特級ダンジョン〈龍宮城〉に行って帰ってきたらちょうどオウルさんがアストに到着するぐらいだと思ってたんだけど。
「それはそうと冒険者ギルドでの1件ですが……」
「あ〜、スタローン商会さんには正しい情報を噂として流してもらおうと思ってんですけど。国が動くでしょうし方って置いても大丈夫だと思いますよ。あぁでも一応噂は流してもらおうかな。そう言えばファイアードラゴンの牙と爪が少し残ってるんですけど買取ってして貰えます?」
「もちろんです。噂に関しても嘘の噂を流す訳では無いですし。御協力させていただきます」
これからは冒険者ギルドに売りに行けないしスタローン商会に売却するのが安心かな?
何回か取引して信用できるか確認してからの方が良いか。
「ありがとうございます。オウルさんを待たせてしまっているようですし。急いでアストに戻ることにします」
そう言ってアイレムさんに別れを告げてスタローン商会の支店を後にする。
「という訳で、アストに転移で帰るよ」
小さくなって頭の上で昼寝をしていたアイギスに話しかける。
アイギスに乗って飛んで帰るのも旅をしてる感が出るから良いんだけど。急いで帰りたいから今回は転移を使おう。
転移を使ってアストの家に帰るとなんと言うか負のオーラが充満していると言うか、なんかヤバい感じがする。
一体何が?
リビングに向かって歩いていくと廊下にボロボロのガネーシャ様が転がっていた。
「ヒロキくんいいところに!もうシロナちゃんを止められるのは君しかいない!早くリビングに」
なんか凄い切羽詰まった感じだけど。俺がいない間にそんなやばいことになってるの?
よく見るとガネーシャ様だけじゃなくて火之迦具土神も廊下でボロ雑巾みたいになってる。
とりあえずシロナさんが暴走状態ってことでいいのかな?
とりあえず言われた通りにリビングに向かうと全身の毛を逆立てて真っ黒なオーラを纏ったシロナさんが居た。
「あれ?ヒロちゃん帰ってきたの?ちょっとまっててね。今、ヒロちゃんに舐めたことしてくれた連中におしおきするところだから」
あぁなるほど。
何となく察した。
「シロナさんドウドウ俺のために怒ってくれるのは嬉しいですけど絶対今回俺に喧嘩売ってきた連中以外の関係ない人も巻き込んじゃう感じのオーラでしたよ?それにそんな怖い顔しているより。いつもののほほ〜んとしていて笑っている顔の方が好きなんで元に戻ってください」
とりあえず藁人形と五寸釘を取り上げる。
前世だったらジョークグッツ本気にはしないけど魔法が存在する世界でしかも神獣が持ってるとなるとマジで効果のあるものだろうし。
「まぁ、ヒロちゃんがそう言うなら…」
そういうと黒いオーラが引っ込んでいき毛も元通りになる。
「せっかく綺麗にお手入れしている髪の毛と尻尾の毛がボサボサになっちゃってるじゃないですか」
そう言ってストレージから櫛を取り出す。
ドアから少しだけ顔を出してチョロチョロ見ている神様達がいるけど今回は迷惑かけたみたいだし見なかったことにしよう。
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〜sideガネーシャ〜
「何とかなって良かった。それにしてもメフィルスも恐ろしいことを考えるものだ。ヒロキくんにちょっかいをかけた相手にブチギレてる雰囲気を出して実際は現世で悪いこと企んでる神を消滅させるなんて。数がいるからバレないように今回の事件を隠れ蓑にして実行したわけだけど」
最初にこの作戦をメフィルスがシロナに説明した時の殺気はマジでやばかった。
神界でお手伝いをしている天使の何体かがショック死して蘇生する羽目になったぐらいだったし。
「私にヒロちゃんを騙せと?ってガチギレしてたしな。最終的には今ここで不穏分子を消した方が安全って納得したが…ヒロキに怪しまれない程度に傷つけるって話だったのに絶対過剰にボコられたぞ我」
「確かに私は見た目ほどダメージはなかったけど、火之迦具土神は見た目通りの大ダメージをくらってたね」
でも、あのシリアスな雰囲気の中で「そう言えば我がカジノに行きたいって言ったら話をつけておくって言っていたのにいつまでたっても呼ばれないんだが?」なんて言ったからだから当然だろうと心の中で付け加えた。
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読んで頂きありがとうございます。
新作投稿初めました。現代ダンジョンものです。
地球「ファンタジーアップデートが適応されました」
https://kakuyomu.jp/works/16817330647913656484
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