第168話

ーリアウタン王国・王城 シエラー


「胃に穴があきそうじゃなくて、もう既に穴があいたわ絶対」


さらに言うとヒロキくんにもらった人参果を食べて若返った肌と血管がストレスで若返った分チャラになった気がする。


「かと言って逃げたらその程度じゃすまいないことになりますよ?」


「わかってます、わかってますよ そんなことしたらマジでヒロキくんを怒らせることになりますから。それにカエデ様がこの件でキレないわけが無い」


もう100年ぐらい前の話だから知ってる人は少なくなってきたが、カエデも今回のような被害にあってブチ切れたことがある。

ちなみにそれをやったのが当時のアストのギルドマスターで、その時シエラはカエデの味方をしたこともあってギルドマスターに就任することになってそれからずっとギルドマスターをしている。


見た目は20代だけど冒険者をしている時に寿命を延ばすアイテムを手に入れて使用しているのでシエラはカエデより少し年上ぐらいの年齢だったりする。



「もう話でしか知らない人がほとんどだし。カエデ様も最近は暴れてないし、高ランク冒険者も権力さえあればどうにかできるって考えの連中が増えて来てるみたいだけど。もしくはアムリタで身体能力上昇した近衛兵団を使えば何とかなると思ってるのか?当時のカエデにすらボロ負けしてたけど。当時とは比べ物にならないぐらい強くなってるカエデが暴れたら今度こそ国が滅びる」


「ねぇシエラ、私は優しいカエデ様しか知らないんだけど。そんなに凄かったの?王家の資料ではほとんどの被害が不死鳥様によるものってことに待ってるんだけど…」


「そんなの簡単ですよ。いくら神獣の加護持ちとは言え。国防の要であるレガリアのアムリタで身体能力を底上げしている近衛兵団がボロ負けしたなんて広まったらどうなるかわかるでしょう?」


周辺国からの侵攻、自国の貴族による謀反。

リアウタン王国は滅亡。良くて滅亡寸前と言う感じになってただろう。


「ですがそれをやったのが神獣だったとなれば話は変わります。神獣だったらレガリアの効果を使った状態でボロ負けしても1人の鬼人に負けたよりかはいくらかマシという訳です」


つまりは国が修羅の国にならないように情報を改竄したということだ。


「この事実は知ってる人が少ない方が好ましい。だから王家にさえ真実を伝えられてないんでしょうね」


改竄されたと言う事実を知っている人がいなくなれば、バレることは絶対なくなる。

だから身内にすら真実は伝えないという訳だ。


「ちなみにフランシス陛下が幼い頃カエデ様のところで修行したのは王家からの人質的な意味もありました。また同じようなことしたらこの子の命はないぞ?って言う。まぁ、カエデ様はなんだかんだ言ってフランシス陛下のことを可愛がってましたが」


「昔の話をしている暇なんてあるのか?別に今回私がなにかするつもりはないけど、九尾の狐様がブチ切れてるからリアウタン王国どころか世界滅亡の危機真っ只中だよ?」


「カエデ様!?」


カエデが突然現れる。転移で来たんだろうけど。この王城は転移を使って侵入できないようになってるはずだけどと思ったが。

恐らくカエデをここに転移させたのは九尾の狐様なのだろう。

神獣からしたら人の対策なんてあってないようなものだろう。


「とにかく一刻も早く今回の件を解決した方がいい。今はヒロキと親交がある神様が集まって何とか抑えているけど。いつ抑えられなくなるか分からない。それまでに解決出来なければマジで世界が滅びる」


そう言ってカエデは消える。


「できるだけ急ぐしかありません。少し強引ですが近衛兵団を向かわせて強制調査をします。恐らくロムスの冒険者ギルドをどうにかしただけでは怒りが収まらない可能性が高いです。なのでまず王都のギルドから強制調査をしてトカゲの尻尾切りされる前に上層部の不正の証拠探しをします。テミスの天秤を使用することも許可します。シエラもギルドマスターとして同行をお願いします」


「わかりました。……なんでヒロキくんに手を出したのか…どうにかなる存在じゃないって素人にだってわかるでしょうに……」


結果神の逆鱗に触れて国どころか世界が滅亡しかねない状況になってしまった。

何とかこの状況をどうにか解決しても、この話が広まったあと冒険者ギルドの信用を回復させるのは超大変だろうし、いっその事冒険者ギルド辞めようかしらと考える。

辞めないとしても溜まった有休を使って長期休暇を入れようと心に決める。


この後、近衛兵団の人員と一緒に王都の冒険者ギルドを強制調査。

そう簡単に悪事の情報が見つかるわけもなかったがテミスの天秤を使ったので本人が悪事を認めたということで逮捕。

と言うかテミスの天秤を使おうとしたら突然テミス神が降臨して大騒ぎになったのだが。

九尾の狐様がやらかす前にこの件を片付けるのに神様もそれだけ必死ということらしい。

そんなこと言われてしまったら明日ロムスに出発とか悠長なことを言っていられないので、王都の冒険者ギルドの強制調査が終わったその足でロムスに向かって出発することになった。


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読んで頂きありがとうございます。


新作投稿初めました。現代ダンジョンものです。





地球「ファンタジーアップデートが適応されました」





https://kakuyomu.jp/works/16817330647913656484

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