第167話

「そうですか…それでは雪崩の原因と思われる巨大なスノウワームは?」


「スタローン商会さんのオウルさんと少しお話してみたいと思ってるので、その時のお土産にしようと思ってるのでうりません。今回の依頼は採集、素材の収集依頼ではないので魔物の素材を冒険者ギルドに渡す理由は有りませんよね?討伐した証拠として冒険者ギルドに渡すのはイエティの魔石で良いとしっかり依頼書に記入されてますし。魔石以外はどう使おうがこっちのかってでしょ?」


何とかして今回討伐した魔物の素材を売らせようとしてくるのでちょっとイライラしつつ対応する。

と言うか早く報酬金を持ってこいよ。報酬金払わなければ帰れないからいずれ俺が折れて素材を売却するとか思ってるのか?


「もういいや。こんなんなら冒険者ギルドなんて所属する意味がないし」


そう言ってギルドカードを握り潰してバキバキに破壊する。


高ランク冒険者って肩書きはそれなりの社会的地位を保証してくれたから冒険者ギルドに所属していたけど。

色々やらかしてるおかげで今更冒険者を辞めたところで社会的地位が大暴落するってことはないし。


なんか騒いでる冒険者ギルドの職員を無視して外に出ようとすると別の職員が出口を塞ぐ。


「まさか冒険者ギルドを敵に回すつもりですか?」


「敵対?そんなのする訳ないじゃん。するのはただの害虫駆除。まさかお前ら程度で俺の敵になれるとでも思ってるのか?そんなことする前にテミスの天秤を使ってどちらが正しいのか証明するだけで終わりだけどね」


テミスの天秤は一言で言えば嘘発見器。

今回俺は依頼通りに動いているだけなのにこの仕打ち。

今回の出来事を俺が悪いように脚色して噂を流したとしても嘘発見器を大勢が見ているところで使わせれば俺の勝ちだし。


いや、確かに優秀なダンジョン産のアイテムだし王族なら1個ぐらい持ってそうだから借りれば良いかなって思ってたけどそれだけじゃ弱いか。

妖術を使えばこの世界にテミス神を降臨させることもできるはずだ。

火之迦具土神だって降臨させれたし。

アイテムじゃなくてここは本人いや本神に公平に判断してもらおう。


俺が降臨させるってところから文句言われそうだけど。

神様本人にその文句を言えるならアイテムのテミスの天秤を使ってあげよう。


入口を塞いだ冒険者ギルド職員が顔を真っ青にして動かなくなったので、避けて外に出る。


「申し訳ございません。少しお時間を頂けないでしょうか?私スタローン商会の採集・討伐部門所属のアイレムと申します」


スタローン商会か…


「俺もスタローン商会の人とは話がしたかったから。いくらでも時間を用意するよ。ただちょっと待ってもらって良いかな?」


変な評判を冒険者ギルドに流される前にこっちから今回の噂を流して貰う必要があったから、元々それをスタローン商会に任せられないかな〜ってちょっと思ってたしちょうどいい。


高ランク冒険者である俺がギルド職員を脅したとだけ言われちゃうとそれは真実だからね。

まぁ実際には脅されたから脅し返したんだけど。うそではないってのが厄介だ。

例えば俺が対策する前にそう言う評判を流されて真偽を問うためにテミスの天秤を使うって言われちゃうと、俺が脅したのは本当って証明されちゃうからね。


まぁ、その後脅したのは脅されたから自分の身を守るためだってテミスの天秤を持ったまま言えばそれもまた真実であると証明できるから問題は無いんだけど。そんなことするの面倒なのでそうなる前に決着をつけちゃいたいからね。


「人助けをしたのにこの仕打ち。もう人を助ける気にもならないよね。国にレガリアを貸してるのも今すぐに返してもらおうかな。それこそこの国にいる魅力も感じなくなった。ディラスとの跡地で新しい国でも起こそうかな」


なんかわざわざ面倒なことを俺がするまでもなくこう言えば国が勝手に冒険者ギルドの膿を綺麗に洗い流してくれるだろう。


なんか国の密偵っぽい人がさっきからうろちょろしてるし。あえて聞こえるように大声で言ったからすぐに報告してくれるだろう。


「これでよしとアイレムさんお待たせ致しました。これで時間の確保も出来ましたのでゆっくりお話することができますよ」


笑顔が引きつってるアイレムさんに連れられてスタローン商会の支店に向かった。



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ーリアウタン王国・王城ー


「陛下、国を揺るがす一大事です!?」


「一体何があったんですか?無能な貴族がヒロキさんにいらないちょっかいをかけて怒らせましたか?」


「直接ではないですが…。最近ロムスの領主と冒険者ギルドが手を組んで不正を行っている可能性が浮上してそれを調査するために人員を派遣していたのですが。冒険者ギルドがヒロキ殿を激高させたようで、もうこの国にいる魅力も感じない。レガリアもすぐに返してもらおうかと……」


「シエラ逃げるのは許しませんよ。冒険者ギルドも関わってるのですからギルドマスターとして力を貸してもらいます」


私が冒険者ギルドの老害達がヒロキくんにちょっかいをかけて失脚してくれればいいのにって思ったからこんなことになったのか!?

と後悔しながら1度たった席に座り直した。



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読んで頂きありがとうございます。



新作投稿初めました。現代ダンジョンものです。



地球「ファンタジーアップデートが適応されました」



https://kakuyomu.jp/works/16817330647913656484




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