第161話

「そうだ!確かにシロナさんとプラムも狐とキングトプスの姿の時は全裸だけど人の姿の時は服を着てるでしょ?」


これで説得できなかったら俺にはアイギスを服を着るよう説得するのは無理だ。


「確かにシロナおばあちゃんもプラムおばあちゃんも人の姿の時は服きてるね」


「ぶっ!」


唐突すぎて噴き出してしまった。

おばあちゃんって…確かに年齢的に言えばおばあちゃんどころじゃない年齢だけど。


「2人のこといつもおばあちゃんって呼んでたの?」


「そうだよ?」


悪気とかは一切なく純粋だったから許されたんだろうな。


「今度からおばあちゃんじゃなくてお姉ちゃんって呼んで上げて。2人ともそっちの方が喜んでくれると思うから」


全く傷ついていないわけじゃないと思うからちょっとフォローしておこう。


「そうなの?マスターがそう言うなら今度からお姉ちゃんって呼ぶね」


聞き分けがいい子で助かった。いい子だね〜と頭を撫でてあげる。


「そういえば魔力で自分の服を作る方法わかる?」


アイギスはやったことがない技術だろうからやり方が分からないって可能性もあるよね。


「大丈夫だよ〜ほら!」


そう言ってアイギスは俺の事をジーッと見ながら1周すると一瞬でウエットスーツ姿に変わった。


俺の事をぐるっと1周したのはウエットスーツをよく見て再現するためか。


「これで問題ないね。じゃあはぐれないようにしっかりついて来てね」



龍だから大丈夫ってのはわかるけど見た目が3歳児だから凄い心配になる。

かと言ってこれでおいて行くって言ったらアイギスが拗ねちゃうし。

この階層に出てくる魔物程度がアイギスをどうこうできるわけないのでいらない心配なんだから覚悟決めるか。


水中に入るとすぐにあとからついてくる。

初めて人の姿になったはずだけど上手に泳いている。

初めて人の姿になったんだから感覚が変わったりしないのかな?


特に問題なさそうなので先に進む。


(それじゃあ俺は昆布の採集をするからアイギスは近づいて来る魔物を倒して。あと箱を見つけても勝手に開けちゃダメだからね。危ない罠が仕掛けられてるかもそれないから)


開けるとおばあちゃんになっちゃうよ?と注意してもアイギスのおばあちゃん象はシロナさんにプラムなので喜んで宝箱を開ける可能性がある。


実際100歳老ける煙を龍種のアイギスが浴びたところで見た目の変化はないだろうけど。

わざわざ浴びる必要もないだろう。


(わかった〜)


そう言えば普通に念話もできてるな。出力が違いすぎて俺の頭がボンッ!ってなることもないし。


人の姿だったら出力の調整が自動でされるってことだろうか。水中じゃ普通に会話することはできないし、念話できる方が楽なので好都合だ。

周りの魔物はアイギスに任せて昆布の採集を始める。


せっせと昆布を採集してるとアイギスが大きく口を開けてレーザーブレスを魔物に向かって使うところが目に入った。

アレ大丈夫なの?

いくら龍でも海中で大きく口を開けたら海水が一気に入ってきてまずいんじゃ?

助けに行こうかなって思ったけど急いで通路の方に戻って行ったので、助けに行く必要は無さそうだと念話だけしておいた。


(攻撃方法には気をつけないとな)


(マスター見てたの!)


(海中なのに口を大きく開けてガボガボ言ってる姿ならバッチリ)


(う〜)



アイギスは自分のうっかりを見られて恥ずかしかったらしい。


それにしてもアイギスがアザラシみたいな魔物を倒してたけど。あれって食べられるのかな。地球ではアザラシを食べる文化も存在してるから食べられないことはないと思うけど。

イメージ的には脂肪分が多そうだよね。


食べれるなら1回食べてみてどうするか判断するか。


(マスター、箱見つけた!)


(わかったすぐ行く)


アイギスが玉手箱を見つけたらしい。

アイギスが痺れを切らして開けてしまう前に合流しよう。


(おまたせ、早速開けようか。でもその前の俺たちは離れるよ。罠があると危ないからね)


玉手箱から離れて分身に玉手箱を開けさせる。


(う〜んハズレか)


玉手箱の中から煙が出てくる。


もしかしたらアイギスのビギナーズラックで当たるかもとか思ってたけど、そんなに優しい世界ではないらしい。


(ハズレだったの〜?)


(このダンジョンはさっきの箱が色んなところにある分。罠しかないハズレが多いってダンジョンなんだ)


(それじゃあ、アイギスがいっぱい探す!)


(あんまり遠くに行き過ぎちゃダメだよ?)


そう簡単に当たりを引けるとは思わないけど、少しぐらいアイギスに付き合うのも良いだろう。

元々玉手箱目当てでこのダンジョンで来たんだし。


アイギスが玉手箱を見つけて呼ばれて開けたらハズレで、を繰り返すこと数十回。


良くもまぁ諦めないなと思いながらアイギスに付き合う。


諦めないと言うかもう引くに引けないって感じかな。


これがハズレだったら、次の階で玉手箱を探そうかって提案してみるか。

下の階に行けば行くほど玉手箱の当たりの確率は上がるって言われてるからその方が当たりを引けるはず。


と思って開けた玉手箱からは煙が出てこない。

もしかして当たりか!と思い分身と視覚共有して玉手箱の中身を確認すると、銀色の桃が4つ中に入っていた。


おお、進化の実じゃん。



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読んで頂きありがとうございます。



新作投稿しました。現代ダンジョンものです。


地球「ファンタジーアップデートが適応されました」



https://kakuyomu.jp/works/16817330647913656484


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