第154話

「鎧を装備できるのは凄いと思いますけど。メアも鎧も同じ素材ですよね?耐久力が変わらないなら意味が無いのでは?」


シエラさんの疑問に確かにと思う。


メアは余計なことを言いやがってと言う顔をしている。

もしかしなくてもその鎧見た目だけ?


「とりあえず。バイコーンと戦闘させて見ればわかるんじゃないですか?」


1度わざとダメージを受けさせれば何となく鎧の性能もわかるだろう。


「まってください。どうやら今の鎧は確かに見た目だけのハリボテみたいですけど。メアに魔物の魔石を食べさせると魔石の魔物の防御力分鎧を強化できるみたいです」


このままだと鎧の実験のためにわざと被弾させれると察しメアがすぐに鎧についてゲロった。


「質問、それは食べれば食べるだけ防御力が上がるんですか?」


もしその仕様ならゴブリンの魔石を与え続けるだけで最強の鎧が完成してしまう。


「それはないみたいです。適応されるのは一体分の防御力だけで、追加であげると上書きされてしまうみたいです」


そりゃそうか。寧ろ安心した。



「そうなると強い魔物の魔石を手に入れたら、新しいシャドウサーヴァントを作成するか既存のシャドウサーヴァントの防御力を強化するか選択肢が生まれるわけだな。……戦力が増える訳だし新しいシャドウサーヴァントを作成した方が良くない?」


鎧の強化に使うのは基本鎧を使っているシャドウサーヴァントより強い筈だし。


防御力だけバカ高くて、他は低い魔物とかだったら鎧の強化に使った方が良いと思うけど。


「メアが言うには鎧の強化には私の魔力を消費しないから私の魔力量じゃシャドウサーヴァント化できない魔物の防御力を手に入れられるってメリットがあるみたいです」


魔力回復ポーションがぶ飲みすればそのメリットもあってないようなものなんじゃ?


けど、1本300mlあるポーションを何本も一気飲みするのは難しいか。


「試して見るのが一番ですね。ヒロキさん市場価格の1.5倍出しますのでタラスクの魔石を売って頂けませんか?」


タラスクか〜妖術のスクロールを作るのに龍種の魔石を砕いた魔石粉が必要だから殆ど砕いちゃったけど、何個かそのまま取っといてるのがあったはず。


「どうなるのか俺も気になりますし、市場価格そのままで大丈夫ですよ」


それにしてもシエラさん破産しないかな?ちょっと心配。


「お金は心配しなくてもタラスクの防御力を手に入れたメアがいればすぐに稼げますので安心してむしろ取ってください」


別にむしりとるつもりは無いけど。確かにタラスクの防御力を手に入れたメアがいれば稼ぐのも楽になるか。


「いっその事メープさんがお腹タプタプになることを我慢してタラスクのシャドウサーヴァントを作成するとかどうです?」


おい余計なこと言ってんじゃねぇとメアが俺の方を向いて鳴いた。



「今回はメアの鎧強化でいいと思います。バイコーンのシャドウサーヴァント作成でも魔力回復ポーションを2本飲んだし、龍種のシャドウサーヴァントとなると何本飲むことになるのか想像もつきません。それにタラスクは防御力は高いですが素早さは低いです。

サイズでカバーできるかもしれないですけど。素早い魔物が相手の場合タラスクを抜けてメープを攻撃される可能性もあります。そう考えると素早さのあるバイコーンのメアの鎧を強化してタンクにした方が今はいいと思います」


なるほど。確かにシエラさんの言う通りか。


「という訳でメープ、メアにタラスクの魔石を食べさせてあげて」


シエラさんがタラスクの魔石をメープさんに向けて山なりに投げる。


メープさんはそれをアワアワしながら両手でキャッチした。


「落として割れたらどうするんですか!」


「落としただけで割れるほど魔石はヤワじゃないですよ」


メープさんがプリプリ怒りながらメアの魔石を与える。


見た目は変わらないけど本当に防御力上がってるのかな?


ガキィンと金属と金属が強く当たったような音が鳴り響く。


「うわぁ私の投げナイフにヒビが入った。ほんとに防御力上がってるんだ」


どうやらシエラさんがメアに向かって投げナイフを投げて防具と投げナイフがぶつかった音だったようだ。


喋り方が若干変わってるけどこっちが素なんだな。


「シエラさん!防御力を試すためだからっていきなり攻撃するのは酷いです」


「見た目全く変わらないしホントに防御力が上がってるのか気になってつい…」


シエラさんはダンジョン内なのに正座させられて怒られている。


俺も攻撃してみればわかるかな?とか思ってたし攻撃しなくてよかった。


お説教が終わるまで近づいてくる魔物を倒して時間を潰す。途中何度か助けてって目でシエラさんに見られたけど、巻き込まれたくないので無視を決め込む。


お説教が終わったあとはメアをバイコーンと戦わせたりメープさんが騎乗してどれぐらいの速度がでるのか確認したりをしてメアの性能を詳しく確認した。


「良いなーメープ。私も強いジョブに転職したい」


シエラさんは冒険者ギルドでギルドマスターとして対応してくれた時に比べてだいぶ砕けた感じになってきている。


「斥候系のジョブの知識はこれっぽっちもないので諦めてください。もしくは勇者に聞いてください」


俺は知らないけどハルカちゃんなら知ってるだろうたぶん。



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読んで頂きありがとうございます。


新作投稿しました。現代ダンジョンものです。

地球「ファンタジーアップデートが適応されました」


https://kakuyomu.jp/works/16817330647913656484

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