第143話

「ほんとにその薬は中毒性のあるやばい薬じゃないんだね?」


ワンダーマッシュルームを使って夢の世界に行くのに必要な薬を作ってくれ。

詳しい説明をせずにこう言う言い方をしたのはまずかった。


俺がワンダーマッシュルームを使った覚せい剤を作ろうとしているって勘違いされてしまった。


冷静に考えれば覚せい剤の材料で夢の世界に飛べる薬を作って欲しいって確実にアウトだよね。絶対危ないもの作らせようとしているって思われるだろう。


「隠語とかではなく、本当に夢の世界って言う精神世界?に行くのに必要な薬なんです。情報源は毎度おなじみ異世界の知識ってやつです」


「はぁ…作った後、鑑定を使える人、数人に確認させて貰うからね?」


「それがいちばん早い。俺の身の潔白も証明できるし」


「わかった。それじゃあ、ワンダーマッシュルームについては私が国に発注かけとくから。はぁ…ワンダーマッシュルームは何に使うのか詳しく説明する必要があるから。その夢の世界についても説明しなきゃいけない訳なんだけど…正直に言って信じてくれるかどうか…いやまぁ正直に言うしかないんだけどさ」


聞いたこともない怪しい薬を作るために危険なキノコを使いたいなんて申請めんどくさいことになること確定だもんな。


「ほんとご迷惑をおかけ致します」


「とりあえず神獣の2人から話を聞いたってことで、話を持っていくから変なこと言って矛盾点をうまないように」


「了解」


我が家の便利な言い訳、神獣に教えてもらったが今回も発動するわけだ。


俺が変なこと言って本当に神獣に教えて貰ったのか?ってなると面倒だし言動には気をつけないと。


「それで、ワンダーマッシュルーム以外の素材は何を使うの?」


「それはですね……」


必要な素材の説明を始める。いちばん手に入り難いのがワンダーマッシュルームだと思ってほかの素材に関しては調べなかったけど。

大丈夫だよね?


「ほんとに飲んで大丈夫な薬なの?状態異常にさせる素材ばっかりだけど」


「俺ははいそうですとしか言いようがない」


ゲーム知識だから実際に飲んだことはないし。


「わかったよ。どれも集めることはできるだろうし用意しておくよ」


「ありがとう。じゃ 、そろそろ自分の部屋に…」


話も終わったし自分の部屋に帰ろうとしたらカチャとドアの鍵が閉まる音がした。


ジュリアナさんの方をむくといくつかのボタンがついたリモコンのような物を持っている。


「ヒロキくんが話していたオートロックを再現してみたんだ。このボタンを鍵として持ち歩くには少し大きいからまだまだ実用段階では無いけど」


確かにお酒飲みながら異世界の話をした時にオートロックの話をしたことがあった気がする。


「話を聞いただけで再現できちゃうんですからやっぱりジュリアナさんは凄いですよ」


「まぁ、私は天才だからね。それはおいといてだ。私も妻の1人なのに用が済んだらすぐに帰るのは酷いんじゃないかな?プラムとは一日中仲良くしてたのに」



「確かに。申し訳ございませんでした」


「分かればよろしい。ってことで罰としてこれから新作の被験者になってもらおうかなと」


そう言ってジュリアナさんが白衣から様々な色をした液体が入っている試験管を取り出した。中には発光している物があったりしてかなり不安なんだけどほんとに大丈夫なのか?


「大丈夫大丈夫。全部ヒロキくんが飲むわけじゃないし。どれも性的な効果の薬だから。副作用もないよ?」


全然大丈夫じゃないと思うんだけど……


「そうそう。もう1つ研究しているものがあってね。範囲回復に使えるかなって思って霧状のポーションなんてのを研究してるんだ」


霧状のポーション?


「まさか……」


動こうとしても体が言うことを効かない。


「やっぱりキャラレベルが高いと状態異常に対しての耐性も高いね。それなりの魔物でも麻痺させられる麻痺ポーションを霧状にして散布してたんだけど。ようやく効き目が出てきたみたいだね。それにしても自分に不都合な効果だけ耐性が高くなって傷を治したりするポーションの方は効きが悪くならないって不思議だよね」


ご都合主義ってやつだろうたぶん。

レベルをあげたら薬全部の効き目が悪くなったら大変だし。


「ジュリアナさん麻痺を治してくれたりは?」


「たまには私が上位のプレイもいいと思わないかい?」


〜数時間後〜


「で 、いつまで麻痺にかかった振りをしてるの?ヒロキくんの耐性ならとっくに解けてるでしょ?」


「いや割とこう言うのも悪くないなって」


「そう。ならこのプレイをして欲しくなったらいつでも言ってくれればいくらでも薬を用意するよ。と言っても私は当分ヒロキくんの相手は出来ないけど」


「どうしてですか?」


「今日が危ない日だったのに加えて妊娠する確率をあげる薬を飲んだから。私はほとんど家にいる生産職だし。そろそろ子供欲しいなと思って」


「拒否なんてしないんで、そう言うのは先に相談してください。…ほんとに」


こう言うのあとから言われるとほんとにびっくりするから。



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