第141話


「突然来たのにすぐに対応してくれてありがとうございます」


「タイミングが良かったですからね。それで本日のご要件は?」


「単刀直入に言うとワンダーマッシュルームとキングトレントの樹液が欲しいんですよ。現物かもしくはどこで手に入れられるかの情報どちらかを」


「キングトレントの方は問題ないんですが。ワンダーマッシュルームに関しては念の為何に使うのか教えて頂けないと、情報を開示することができません」


ワンダーマッシュルームは地球で言う覚せい剤みたいな使い方もできちゃうから。無闇矢鱈に情報を教えることは出来ないって感じかな。



「魔物を人に変える薬の材料を手に入れられ

る場所に行くアイテムの材料として必要なんです。従魔の子の中に人になりたいって子がいるので用意してあげようかと」


「なるほど。…頭の中で今の話を理解するために少し時間を貰っても良いですか?」


「あっはい」


かなりややこしい言い方しちゃったしな。

こうなるのも当然か。


「…まず大前提として魔物が人になることって可能なんですか?」


「俺が確認したら不死鳥様に九尾の狐のシロナさん2人の神獣が否定しなかったので可能なはずです」


「どうしてそんな薬を知っているのかとか全て質問する意味がなくなりましたね…そう言うことですか」


シエラさんは俺が異世界出身ってのは知らないはずだから、魔物が人になる方法ってないのって神獣の2人に聞いたら教えてくれたって思ってくれた方が説明が楽で良いな。

いずれバレる気はするけど。


「次にワンダーマッシュルームが特殊な場所に行くのに必要な薬の素材になるということですが。これは状態異常を防止してくれれる薬になって例えば毒が充満している洞窟の中にも生身で入れるようになると言う意味ですか?それとも…」


「その薬を飲んでから寝ると、夢の世界って言う精神世界みたいなところに行けるんだよ。夢の世界からアイテムを持ち帰るには収納系のスキルが必要ですけど」


夢の世界は体が寝ている間、魂が幽体離脱して行っているみたいな感じなので、ただ採集して袋とかに入れて持って帰ってくることが出来ない。

夢の世界で収納系のスキルに仕舞う以外に夢の世界から現世にアイテムを持って帰ってくる方法はない。


「…色々ぶっ飛んでるんですけど。まぁ一旦それはおいといて、収納袋などの物を沢山入れられるアイテムでも持ち帰ることは出来ないんですか?」


「まぁ、言ってしまえば夢の中ですからね。夢の中に本物の収納袋を持っていくことができるなら持ち帰れると思うけど。ちなみに手に入る素材は寝具に使うと安眠効果や寝ている間の回復効果上昇が付与される綿花とか眠くなるガスを貯める木の実とか。なんと言うか睡眠に関係する効果がある物が中心です」


絶対に起きれる目覚まし時計の材料とかも手に入る。

これ案外便利でハーレムクエストのプレーヤーは、ほぼみんな作っていたと思う。


何度でも使える睡眠の状態異常から1発で回復させてくれるアイテムだからね。

しかも薬じゃなくて音で起こすから1回で複数人に効果を発揮させることができる。

睡眠の状態異常攻撃が得意な魔物と戦う時の必需品だったな。


現実世界って考えると朝起きれない人に対しても凄い需要があるだろう。


「なんと言うか凄い効果なんですけど。絶対に必要と言えない感じですね」


「あったら便利だけど。なくても全然生活できますよね」


「疑うような質問をしたのに1から説明して頂きありがとうございました。ちなみにワンダーマッシュルームについては危険な薬物に加工できてしまう為、野生種は既に存在せず。国が国家事業として栽培しているので国から買うしかありません。本来は国から認められた生産職の者のみ購入可能なんですけど。ヒロキさんの場合交渉次第で購入も可能かと思います。と言うかジュリアナに頼めば1発で買えると思います」


覚せい剤の原料なんて危ないけど、痛み止めや麻酔の原材料にもなるので、悪用されないように国がしっかり管理して信用出来る生産職に限り販売しているようだ。


シエラさんの言う通りワンダーマッシュルームはジュリアナさんに頼むのがいちばん早そうだ。


「それで、もし夢の世界の素材が残るようなら冒険者ギルドに売っていただくことはできませんか?」


「どれだけの量になるかは分かりませんけど良いですよ?」


実はシエラさんが貰った。珍しい物が手に入る機会が増えると言うガネーシャ様の加護が発動した結果だったりする。

確かに冒険者ギルドのギルドマスターが魔物や採集物の分布に詳しいのは確かだろうけど。


家には長年冒険者をやっているカエデさんや薬品の材料について詳しいジュリアナさんがいるので、わざわざ冒険者ギルドに聞きに行くことはない。


ガネーシャ様の加護が発動した結果。なんとなく、シエラさんに聞きに行けば良いかと思ったし。シエラさんもちょうど休憩時間ですぐに対応できると言う状況で夢の世界の素材と言うこの世界では出回らない珍しい素材を手に入れる機会がシエラさんに訪れることになった。


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読んで頂きありがとうございます。









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