第136話

「それにしてもキングトプスの子供人気がすごいな」


大人が復興や炊き出しのために働いているあいだ子供達がどこにいるのかと言うとキングトプスに群がっていた。

背中の上に乗ってる子とかもいて落ちて怪我しないかちょっと心配。


やっぱり恐竜は世界問わず子供に人気なのかな?

みんな女の子だけど…。


そんなことよりどれだけ子供達がキングトプスを気に入っていようと大人たちがキングトプスに近づくことを許すか普通?


「それは襲撃時にキングトプスは自ら盾になって街民を守っていたからあのキングトプスならって親も許してるんだよ」


カエデさんがそう説明してくれる。

そりゃ人気になるのも当然か。まぁ、人気になる分には問題ない。

このまま街のマスコット的な存在になるのもありだな。

キングトプス自身も子供に群がられるのを嫌がってないし。


と言うか異世界の子供逞しすぎない?

キングトプスの角を掴んでグルグル回ったりして遊んでるんだけど。

あっ手離してすっ飛んで行った。

すっ飛んだ子供はしっかり足から着地した。

凄い運動神経だ。


「あんなことがあったあとだ。子供達が元気そうで良かった。そのおかげで大人も前向きな人が多い」


確かに撃退した後だしもっとどんよりとした雰囲気が蔓延っていてもおかしくないよな。


「確かにその通りだね。後、家に誰もいなかったけど、妖狐の子も手伝ってるの?」


家には妖狐の子も含めていなかった。

まだ普通に生活できる精神状態じゃなかったはずだけど…


「シロナ様が結構強引に持ち直させた。今はこの騒ぎで魔物が変な動きをしていないか確認に行くチームに入って働いてるはずだ」


あぁ、そうなのね。持ち直したなら良かった。


「狐っ娘は私ひとりで十分とか言ってたぞ」


そんな理由だったの?


「理由はどうあれ立ち直ったなら良いや」


完全に立ち直れた訳じゃないけど、部屋から1歩も出なかった子が他人とチームを組んで仕事するとか相当な進歩だろう。

シロナさんが何をしたのかちょっと気になるけど。


「にしてもやること無くなっちゃった。と言ってもアストから離れるのは良くないし」


半日程度休憩無しでチョコブリンダンジョンでチョコ集めをしていたから本当は寝たいけど。カエデさん達だって昨日の夜から休まず復旧作業のために働いてるはずだし。


「大人しく寝るのが良いんじゃない。そろそろ休んでも良いだろう。私たちも含めて」


俺たちしかいないわけじゃないしそれもありか。


ということで全員で家に帰る。妖狐の子は居ないけど、家族ってわけじゃないし人間に対しての恨みは未だ健在みたいだし、これからも俺が直接会って話したりする機会は無いだろう。


「ちゃんと大人しく待ってたみたいだね」


コカコッコ達はお留守番させてたから家で暴れてないか少し心配だったけど。

普通の鶏じゃないし、心配のしすぎだったか。


コカコッコたちが言うには糞尿もその場に垂れ流しじゃなくてトイレでしたみたいだし。

なんと言うか飼うのが楽そうで良かった。


「ヒロちゃんちゃんとコカコッコをテイムしてきたんだね」


コレでコカコッコの卵を使った料理が沢山食べれるって喜んでるけど。5匹しかいないから毎日は難しいんじゃないかな?


コカコッコ達にそう思って君たちってどれぐらいの頻度で卵産めるって聞いてみたら。

餌をくれるなら一日で1匹10個ぐらい産めるらしい。


どう言う体してるんだろうね?


「まぁとりあえず家の中にいても汚す訳じゃないし中に庭に鶏小屋を作ろうと思ってたけど。別に家の中で大丈夫そうだね」


とりあえず。ベット替わりにクッションを5匹分用意してあげた。

足で少しふみふみした後足を畳んでクッションの上にのった。

そのまま寝る感じかな?

俺もだんだん眠くなってきたし部屋に戻ろう。


「どちらさ…もしかしなくてもキングトプス?」


部屋に入ると若草色のドレスを来たおっとりとした雰囲気を纏った女性がいた。

一瞬誰だって思ったけど。そう言えば家に帰ってきてからキングトプスのことを見てないなと思い出す。

偽龍種でも長く生きた1部の個体は人の姿になることができるって話だったし。



「無駄に長生きだけはしていますから。人化もできるんです。約120年ぶりに人化したのでちょっと手間取りましたが」


「なんでそんなに長い間、人化してなかったのに今になって人化を?」


「ヒロキ様と同じ言語で話したかったからです。ヒロキ様の従魔にして欲しいとお願いするために」


「あんなことがあったのに?」


「あんなことがあったからです。従魔ではない野良の魔物では、また同じように無理やり従わされる可能性があります」


「なるほど。キングトプスの気持ちは伝わった。俺も従魔じゃない魔物が街にいるって話が広まったら、よからぬことを考えた輩が現れるかなって思ってどうしようか考えてたんだ。それでねいっその事人になっちゃわない?」


ハーレムクエストには魔物から人種に変化させるアイテムが存在したからいけると思うんだよね。



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読んで頂きありがとうございます。





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