第134話

「あれ?家に誰もいない…」


ようやくダンジョンから脱出してアストの家に転移で帰ってきた。当然チョコブリンダンジョンがある孤島にも転移ポイントを設置してある。


「今の時間で家に誰もいないってありえないと思うんだけど」


今の時間はもう数時間で日が昇るかな〜って時間だ。

その時間に家に誰もいないっておかしいだろう。


「…なんか焦げ臭い?家の中というより外からだな。と言うか念話をすれば良いだけか」


近くの家が火事にでもなったか?

正直火事程度だったら家に誰もいないなんてことは起こらないだろう。


念話をしようとしたらシロナさんから念話が届いた。

ディラストの地方領主の戦力がが宣戦布告もなしに夜襲を仕掛けて来たらしい。


数ではなく質で攻めてきたので、直前まで気づけず。直ぐにアストの騎士や兵士が対処にはしったけど。アストを囲む防壁が崩されたり街の中にも被害が出てしまったらしい。


リッチはいなかったけど、ダンジョン産のアイテムを沢山装備していたようだ。

それだと装備の性能差もあって普通の兵士や騎士では対処が難しかっただろう。


結局、後から駆けつけたこの家の戦力で片付けたようだ。


今は瓦礫のあと片付けやけが人の治療、炊き出しの準備を手伝ってるから誰も家にいないようだ。


「やってくれたな…」


可能性はあるって気づいてたけど。

このタイミングか〜


「とりあえず現場に向かうか」


このまま家にいるのも落ち着かないし。瓦礫の除去ぐらいなら手伝える。

防壁に穴を開けられた場所に向かって移動した。


「ストレージはやっぱり便利だな」


瓦礫などを一旦ストレージにしまって決まった場所で取り出す。

これを繰り返すだけで瓦礫の撤去が終わる。

防壁に開いた穴も妖術で土壁を作り出して塞いだ。

本来の防壁より薄めにしておいたから土壁の上から防壁に使っているのと同じ素材で蓋をしてくれれば違和感もなくなるだろう。


「で、アディルさんこの後はどうしますか?」


「ディラストをどうするか?という話だったら、勿論このままやられっぱなしにするつもりは無い。これ以上街に被害が出る前に終わらせる」



「冒険者も戦力として連れていく予定ですか?」


「今回はやられたことをやり返すつもりだから、少数精鋭で向かうから冒険者は連れては行かない。街の防衛の依頼はだすけど」


敵が装備していた迷宮産のアイテムを装備して少数精鋭で敵の街を落とすつもりらしい。


「それ、私もついて行っていいですか?この世界は好きですけど。勝手に召喚して利用しようとしたディラストにはそれなりの恨みがあるので」


「ハルカが行くなら私もですね。アストの防衛はヒロキさんがいれば、安心でしょう」


セラフィムさんとハルカちゃんがいるなら街ひとつぐらい、数時間で陥落するだろう。


セラフィムさんを含め神界から現世に来ている人?達はかなり力を制限されているとはいえ普通に強いし。


ダメ押しでレガリア貸しちゃうか。


「ついでにレガリア貸しちゃいますね。起動している間は基本無敵だけど動けなくなるのでそれだけ覚えておいてください」


「過剰戦力もいい所だけど。ありがたく力を貸してもらおう。ちなみに2人は乗馬は?」


「飛んで馬と並走します」


天使ならわざわざわざ馬に乗らなくとも自分で飛んだ方が早いよな。


「それもそうか。装備の換装が完了次第直ぐに出発するつもりなので2人も今のうちに準備をお願いします」


既に徹夜なはずだけど。流石に焦りすぎなんじゃ?


「今日中に相手の街に到着するわけじゃないからしっかり休みはとれるよ」


そりゃそうか。どんなに急いでも一日で到着できる距離じゃないか。


「セラフィムさんって収納系のスキル持ってますよね?」


ここまで来たら戦場には行かないとしても物資とかで支援することにしよう。

レガリア貸すだけでも凄い支援なんだけど。

レガリアで疲れは癒せないからね。

そう言うレガリアも存在するだろうけど。

アイギスにそう言う効果はないはずだ。


「持ってますよ?コレがあるとないとじゃ生活レベルが大きく変わりますからね」


「そしたら異世界のキャンプ道具とかカワサキの追加効果付き料理を用意させるので持って行ってくれますか?」


それがあるだけでだいぶ士気が変わると思う。錬金術師が作れるエナドリも一応渡しておこう。


「それなら喜んで運ばせて貰いますよ」


「じゃあ、早速キャンプ用品を出しちゃいますね」


キャンプ用品をMP交換でポチってどんどんストレージから取り出す。


「ちなみにヒロキさん。使い終わったら返した方が良いですか?」


異世界のものではあるけど、この世界の技術でも再現できるんじゃないかな?大量生産はできないだろうけど。

だから、プレゼントしちゃうか。


「いや、邪魔だったら俺に返してくれれば良いけど。もし気に入ったなら貰ってってくれて構わない」


地球のキャンプ用品について知識のあるハルカちゃんとセラフィムさんはハイタッチしている。あの二人は確実に貰ってくつもりだな。


とりあえずカワサキのところに行って料理を頼まないと…

追加効果付き料理はかなり便利だからな。

あるとないとじゃ効率がかなり変わってくるはずだ。



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読んで頂きありがとうございます。



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