第126話


「ようこそ試練の間へ」


転移先はコロッセオのような闘技場だった。


俺の目の前にたっているシロナさんがようこそと歓迎してくれる。

ちなみにシロナさんは俺の横にもいる。


多分目の前にいる方が分身だと思う。


「ヒロちゃんはルールを知ってるだろうから早速始めちゃおう!よーいドン!」


確かにルールはわかるけど、もうちょっ始めるタイミングってもんがあるでしょう。


「【雷狐・飛爪斬撃】」


後ろに飛んで距離をとりながら飛ぶ斬撃で攻撃する。

まぁ、当たらないだろうけどどう対処してくる?


相手の対処の仕方によってどう戦うか考えないと……え?


シロナさんの分身は飛んでくる斬撃にたいして避けたり迎撃もせず。

そのまま被弾して真っ二つのなって消える。


なんで?


「いや、だって私の分身に一定数ダメージを与えればクリアなんだし。時間をかけるのもなんだし、あれが1番早いかなって」


レガリアを使えるんだから簡単だよって言うから普通に試練をやるのかと思ってたから凄い拍子抜けだ。


「それにそろそろアストの家に置いてきたあの子の目が覚めるから、時間をかける訳に行かなかったの。それにわざわざ試練で戦わなくてもヒロちゃんが強くなる為に私と戦いたいって時はいつでも相手できるし」


それもそうか。俺が妖術を使う時に参考にできるかなって思ってたけど。これからはいつでも見せて貰えるのか。


「妖狐族の子が起きた時にシロナさんがいた方が暴れられたりしないだろうし。目覚めるんなら帰っておかないとだね。そう言えばアイギスとキングトプスは?」


忘れてたけど、今この場には俺とシロナさんしかいない。アイギスとキングトプスは森に置き去り?


「先にアストの家に帰って貰ったの」


成程、じゃあ早く帰ろう。


「はいはーい」



「珍しい。全員集合?」


アストの家に帰ってくるとリビングに全員集まっていた。いつも通りだったらカエデさんとパニーはダンジョンでレベルあげしている時間だ。


「不死鳥様に呼び戻された。またヒロキが厄介事に巻き込まれてると言われて」


「自ら突っ込んで言ってるわけじゃないんだけどね」


俺が向かった先で色々起こるだけで……もしかしなくても俺ってかなりの貧乏神?

反メフィルス反の神々のせいらしいし俺は悪くない。


一応、俺がやらなきゃ行けないことは今回で片付いたし、他人に迷惑かけないように浮遊大陸探しにでも行くか?

いや、なんだかんだ休日をほとんど取ってなかったし1ヶ月ぐらい家でダラダラするのも良いかな。プルーム王国って大きな港があるって話だし海釣りに行くのもいいかもしれない。


「とりあえず。ダンジョンでレベル上げながらヒヒイロカネ合金を作る準備完成するまで待つ感じかな」


「しばらくはのんびりでいいと思うよ〜

反メフィルス派も大胆に動くことはとうぶん出来ないだろうし」


反メフィルス派のコマとして1番の勢力だったディラストが壊滅状態で今はコマ集めに忙しいから本格的に仕掛けてくることはないらしい。

こっちから攻めることはしない?って聞いてみると反メフィルス派の神々はメフィルス様達に見つからないように自分たちは隠れて何もしてないらしい。


見つけ次第こっちから攻めることも考えるけど。俺も含めもっと強くなって貰わないと戦力にならないと言われてしまった。

そりゃそうか、神もしくは神に準ずる存在と戦うなら足手まといだよな。


と言うかレベルを上げるだけで戦えるようになるのかな?


「全力の神には無理だと思うけど現世にいる時点でかなり力を制限されるから、その状態でなら戦えるようになると思うよ?」


と言っても相当レベルをあげないといけないだろうな。


「あっ、起きたみたいだから話してくるね〜」


シロナさんが妖狐族の女の子が目が覚めたのに気づいて、部屋に確認に向かった。


少ししたら悲鳴のようなものが聞こえて来た。


「私が妖狐族じゃなくて九尾の狐だって分かったら驚いて気絶しちゃった」


目が覚めたら自分たちが信仰する神が目の前にいたら驚くのは当然だろう。


「また、気がつくまで待つ?」


「同じことの繰り返しになりそうだし。無理やり意識を覚醒させてくる」



そう言ってもう一度妖狐族の女の子を起こしに行った。


「やっぱり浮遊大陸探しかな〜。キングトプスが狙われずに自由に暮らせる場所で暮らしたいって言ってるし。浮遊大陸なら邪魔できる勢力もごく1部だろうし」


キングトプスは無理やり使役された経験があって俺達と一緒にいるのも良いけど。

邪魔が入らない平原で静かに暮らしたいって言っていた。

浮遊大陸の周りに浮かぶ小島ならキングトプスの要望に答えられるんじゃないかなって思う。


その小島に家を建てて本拠点として運用するのも良い。

家庭菜園とか養蜂とか田舎でスローライフってのにも憧れてたんだよな〜。

浮遊大陸の拠点はのんびりするとき用の拠点として運用したい。

浮遊大陸まで来れる勢力はごく1部だから邪魔がほとんど入らないのもプラスポイントだよね。


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読んで頂きありがとうございます。






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