第124話

「とりあえず。この子を助けに来たってことで良いですか?」


「本命はそう言っておけば今すぐヒロちゃんに会えるのかなって」


呼び方が突然ヒロちゃんになった?

いやまぁいいけど。


「多分だけど。こうでもしないとこの先1年は確実に会えなかっただろうし」


「あと1週間もしないで会えたと思いますよ?」


色々と寄り道してるとは言ってもプルーム王国に向かっている最中だし。


「ちょっと移動すれば何か騒ぎに巻き込まれてる現状で?これに関してはヒロちゃんが悪い訳じゃないけど」


プルーム王国に向かって移動を始めて巻き込まれなかったことがないな今のところ。


「実は神界にいる神々の一部が暗躍してるからこんなことが起きてるの。だからこれからプルーム王国に向かおうとすればするほど、もっと厄介な面倒事に巻き込まれるはず」


うへぇ。なんか想像以上に面倒臭いことになってる。


「基本それをやっているのがメフィルスを主神の座から引きずり下ろしたい連中ね」


もしかしなくてもディラストが信仰していた神の一派?


「そういう事。人類を使って現世でなにかやらかそうとコソコソ準備中みたい。で、ヒロちゃんに私の試練をクリアされちゃうと力は制限されちゃうけど私が自由に現世で活動出来るようになる。それを阻止するためにヒロちゃんを足止めしてるってことね」


いつの間にか神々の抗争に巻き込まれてる……

と言うかもしかしなくてもメフィルス様が神罰ミスったのって……


「多分、メフィルスと敵対している連中の妨害の制限でしょうね。どこからかヒロちゃんの情報を手に入れて、メフィルスと私を仲違いさせるためにメフィルスにヒロちゃんを殺させた」


そんな理由で理不尽に殺されたわけだ。

こうなったらメフィルス様陣営にガッツリ協力してその神達をぶっころして貰わないと。


「相手が戦力として召喚した日本人もヒロちゃんのおかげで横取りできたし。自然にセラフィムを日本人のお供に加えることもできた。現時点でもかなり活躍してくれてるのよ?」


神界がブラックだから現世に逃げる理由が欲しいってのは演技だったのか。


「いや、それは事実だと思うわよ?」


通常業務+敵の妨害工作の対処……忙しくて当然か。


「敵は神界じゃなくて現世で何かことを起こそうとしている。だからこっちもできるだけ戦力を現世に起きたいの。そう見せ掛けて戦力が少なくなった神界でメフィルスを襲撃するって可能性もあるけど……あれでも主神だから、1人で問題なく撃退してくれるでしょう。最近ガッツリ信仰を稼いだわけだし」


あぁムスコが生えてくる薬ね。

ルーシーさんに聞いたけど、教会に来る人の数が倍増じゃ効かないぐらい増えたって言ってたな。

信仰されればされるほど神力が溜まるから、神は強くなれる。


今のメフィルス様はかなりパワーアップした状態ってことだろう。


「それでシロナ様はいつまで一緒に行動できるんですか?」


「むぅ、普通に話してくれて良いのに……

今からヒロちゃんを試練の間に飛ばすから、試練をクリアしてくれればずっと一緒に行動できるよ?」


それが1番の目的か……もう色々ずるい気がするけど。


「相手もズルしてるんだから良いの」


まぁ、そっか。


「でも、九尾の…シロナさんの試練ってシロナさんと戦闘して一定ダメージを与えるって内容ですよね?」


少なくともハーレムクエストの九尾の狐の試練はそんな内容だった。

しかも妖術を使って普通に殺しにくるのでかなり難易度は高い。


「正確には言えば影法師で作り出した私の分身ね。まぁ、アイギスを使えば問題ないでしょ」


確かに、アイギスを使えば楽勝だよね。と言うかもうアイギス以外必要ない気がする。

今回も大活躍だった……あれ?


「なんでアイギスを起動した状態で動けたんだ?」


アイギスの起動中は1歩も動けなくなるってデメリットがあったはず。

あの時は気づかなかったけど。逃げれないようにアイギスを起動して普通に妖狐族の女の子を追跡して捕まえたよね。


「レガリアの制限は人類がレガリアを使って国同士ドンパチやりすぎないように設定されたものだから。半神に近い存在のヒロちゃんの場合制限が解除される仕様なの」


「まじかー」


「ちなみにアイギスで作り出した障壁を自由に動かして敵を叩き潰すみたいな使い方も人類には使えないよう制限されてて、人類が使う場合はほんとに攻撃を防ぐことにしか使えないの」


アイギスの結界を攻撃に使えるとしたらどうしてディラストはアイギスを使って攻めなかったんだろうってちょっと思って。


レガリアを持ってるのはディラストだけじゃないし、レガリア同士がぶつかったら被害が尋常じゃないことになる。


お互いレガリアを使わせないために戦争にはレガリアを使わないようにしてるのかなって勝手に納得してた。


「じゃあ、早速試練の間に転移をって行きたい所だけど。あんまり時間をかけると偽龍種をどうにかして欲しいって言う依頼を受けた街に疑われちゃうからまずはそっちの解決からね」


そうだね。イリスさんも置いてきちゃってるし。まぁ森にいた偽龍種のキングトプスはテイムしたからもう安全ですよって報告すれば良いか。

デフォルメぬいぐるみ状態のキングトプスについて来てもらえば疑われることもないだろう。



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読んで頂きありがとうございます。



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