第123話

「さて、どうしようか?」


目の前の獣人が目を覚ますのを待つとして、キングトプスがいる場所まで戻るか…



「それにしても、ただの狐獣人じゃないよな」


あーだこーだ理由をつけて街に突き出すのは止めようって行ったけど。

実際のところは彼女が狐獣人で微かだけど九尾の狐様の加護が反応しているから。


こう言うのに詳しくてすぐに会えるのは不死鳥様だな。またアストに帰ることになるけど、まぁ、なんとかなるだろう。


「とりあえず。アイギスと合流しよう」


とりあえず狐獣人の女の子を抱っこしてアイギスのところに走った。


「こっちは捕まえたよ。色々複雑な事情持ちっぽいけど…キングトプスは説得できたみたいだね」


キングトプスはデフォルメされたトリケラトプスのぬいぐるみみたいな姿になっていた。


俺を追いかけるなら、小さくなってアイギスの背中に乗った方が早いと思って小さくなったらしい。

だけど。久しぶりだったから中々上手くいかず、やっと成功したと思ったら俺が帰ってきたらしい。


とりあえず。そのサイズのままの方が色々助かるのでそのままでいてもらうことにして。

獣人の子が起きるまでキングトプスに色々と話を聞いた。

このキングトプスはかなり賢くて、アイギスや鳴神が使う鳴き声に思念をのせることによって言語が違う相手とも会話ができる技術を使うことができたので普通に会話ができた。


「じゃあ、君にあの針を刺したのはこの子じゃなかったと?」


キングトプスが言うには自分にあの針を刺したのは今気絶している子じゃなくて別の人物らしい。マントを深く被っていてどんな人物なのかまでは分からなかったらしい。


ただし、隷属状態にされたあとこの森の先にある街のボスに恨みを持つあの子に命令権を譲渡されたので、あの子じゃないことは確からしい。

あとはその時にこの子の悪意が増幅して暴走するように呪い的なものを植え付けられていたらしい。


増幅、暴走させるものだから、この子が恨みを持っていたのは事実だってことだな。

それにしても、街のボスってことは領主ってことだろう。

イリスさんの話では有能でも無能でもない。

普通の人物、堅実な運営をしているって話だったけど。裏であくどいことでもしてたのか?


まぁ、詳しく聞いてみればわかるか。

それにしても、街をキングトプスに襲わせようとしていた人の話を全面的に信じるような雰囲気だけど。大丈夫か俺?

なんか、この子のことを守ってあげなくちゃって感じがしてきてるんだよね。

もしかしなくても、なにかに操られてる?


なにか精神攻撃的なもので洗脳されてる?

とりあえずこの場所からは離れた方が良さそう。

狐獣人の子はまだ目を覚まさないので抱っこして全員でアストに転移した。


「なんと言うか毎日戻ってくるから長距離の旅にでてるって感じが全然しない」


「なら、毎日のように転移で帰ってこなければいいだけじゃないか?……妖狐族か。珍しい者を連れてきたな」


自分の意思で帰ってきてると言うよりは出先で色々巻き込まれて帰ってくる必要があるから帰ってきてるんだけどね。


それにしても不死鳥様は狐獣人ではなく妖狐族って言ったな。

ふたつは別の種族なのだろうか?


「まぁ、言ってしまえば妖狐族は九尾の狐を参考にしてメフィルス様が誕生させた種族だ。参考にしただけで、九尾の狐の血が流れている訳じゃないぞ」


なんか最後の方すごい焦って説明してたけど。そんなに重要なところ?


「当たり前だ。しっかり説明しておかないと。お前のせいでヒロキに私が生娘じゃない思われたらどうする?って」


そうなんですね…って思ってたら不死鳥様が突然発火した。


「アッツ!」


不死鳥なのに火で熱がるの?ってことは不死鳥様が攻撃されてる?

割とやばい自体じゃとレガリアを起動させようとした瞬間後ろから何かに抱きつかれる。


「不死鳥が余計なことを言ったから少しお灸を据えただけだ。ちょっと熱いだけでやけどすらしないから放っておけば良い」


この世界に来てから念話ごしで数回聞いた声が後ろから聞こえてきた。


「九尾の狐様?」


後ろから抱きつかれただけで固定されている訳では無いので振り返ってみると、真っ白な髪と尻尾が生えた美女が抱きついていた。


「私に様づけなんて必要ない九ちゃんとでも呼んでくれ。それにしてもようやく会えた」


九ちゃん?流石にそれは……


「じゃあ、何かいい名前をつけて欲しい。元々、九尾の狐はただの種族名だし。ヒロキに名前をつけて欲しいと思って九尾の狐を名乗ってたし」


「シロナとかどうですか?」


「じゃあシロナってことでよろしく」


あっさり決まってしまった。


「それにしてもどうやって出てきた?今のお前は試練の間から出られない筈だろう。それに自由に出てこれるなら既にヒロキの所に来ているはずだし」


「私を真似てあなたが作った種族が酷い目にあってるからあなたが助けに行くか私がヒロキに会いに行くかどっちか選べってメフィルスを脅…説得して」


なんかもう色々大丈夫なのか神界?


「そもそも勝手に私を参考にした種族を生み出したのに、その後ろくに面倒見ないメフィルスが悪いのよ。って訳で妖狐族を助けるために特例で試練の間からでてきたの」



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読んで頂きありがとうございます。





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