第122話

「へえー確かにこれは森から焦って逃げてきたった感じだね」


アイギスにのり上空から森の様子を確認していると森の中から魔物の集団が飛び出してくる。

街を襲うために出てきたと言うよりは何かから必死に逃げていると言う感じが伝わってくる。


対処した方がいいかな?って思ったけど、あれぐらいなら現地の冒険者でも対処出来るだろうと元凶を探すことを優先した。


「と言うか疑問なんだけど。なんでわざわざこんな森に偽龍種が現れたんだろう。こんな森じゃ動く度に木をなぎ倒しながら進むことになるだろうし」


森の範囲としては狭くは無いけど、偽龍種が暮らすには小さい。

自分からこの森に来ることは無いはずなんだけど…


誰かの従魔かアイテムで強制的に操られてるか…

そう言う可能性を考えておいた方が良さそうだ。

そもそも草食系の偽龍種は攻撃されない限り温厚な魔物だ。

草食系の偽龍種がただこの森に現れただけで、森から魔物が逃げだしている今みたいな状況にはならないと思う。


何か悪いことを企んでいるやつがいるのはほぼ確定だろう。


「それにしても空から見たら偽龍種が通った場所がはっきりわかる。森を探索してたってわかるだろうけど。無理に探すのは危険って判断したんだろうな」


最低でも偽龍種から逃げられる程度の実力がないなら探索するのは危険すぎる。


「現在進行形で木が折れてるあそこに偽龍種がいるんだな。もしかしなくても街に向かって移動してるな」


空を飛ぶ龍種が見えて早く街を襲わないと街に被害を出す前にやられるとでも思ったのか?

そうだった場合やっぱり偽龍種を操ってる誰かがいるよな。


まぁ、俺は捕まえるだけ捕まえて後はこの街の領主にでも任せよう。


偽龍種を止めるために、偽龍種のところに向かった。


「あれはトリケラトプス……いや上位種のキングトプスだな」


キングトプスの角はミスリルすら簡単に貫通するほど頑丈だ。龍種のようにブレスも吐ける。普段は従魔でなくても近ずいて撫でれるぐらいに温厚な性格をしているけど、1度怒らせると手が付けられないぐらい暴れ回る。

確かそんな感じの魔物だったはずだ。


「首に刺さってるあの針…やっぱり誰かに無理やり操られているな」


あの針は魔物に刺すと無理やり隷属状態にできるアイテムだったはずだ。

ただし無理やりなので完璧に言うことを聞かせることは出来ないはずだ。


とにかく針を抜いてあげないと、それとこれをやった奴の拘束だな。


「『アイギス起動』」


レガリアのアイギスを起動させてキングトプスを中心に半径1kmの人が通り抜け出来ない半球状の結界を展開する。


あの魔物を無理やり隷属するアイテムは半径1km以内にいないと効果を発揮できない。

だからこうしておけば犯人も逃げることが出来ない。

万が一、転移系のアイテムを持っていたとしてもこの結界を抜けることは出来ない。


これで安心して可哀想なキングトプスを助けることに集中できる。


「『雷化』『思考加速』」


アイギスに俺が飛び降りても大丈夫な高度まで一気に降りてもらって飛び降りる。

キングトプスや操ってる犯人が目で追えない速度で移動を開始する。


首元に刺さった針を引き抜いて手で握りしめて針を折ってしまう。

こんなアイテム必要ないだろう。


「さてと、アイギスこのキングトプスの説得任せた。俺は元凶を捕まえてくる」


無理やり操られていたキングトプスはブチ切れ状態だろう。俺が解放してくれたってわかってるから攻撃はして来ないけど呼吸する度に口から火が顔をだしてる。

1回落ち着かせないとこの森が焼け野原になっちゃう。


キングトプスは賢いから人の言葉を理解出来るだろうから俺でも説得は出来るだろうけど人よりは龍種のアイギスの方が成功率は高いはずだ。


アイギスは任せてといったキングトプスと会話を始めた。

それを確認してから元凶探しのために移動を開始した。


雷化と思考加速、魔力視を使用した状態で結界の中を走り回る。


「見つけた。獣人か……」


人間に恨みを持っての犯行か?


まぁ、俺には関係ない。何よりキングトプスをあんなアイテムで無理やり利用したのが許せない。


「復讐をするなとは言わないが関係ない人や魔物を巻き込むな」


キングトプスはこちらから手を出さない限り温厚な魔物だ。その性格を利用したんだろう。

針を刺してしまえばある程度、思うがままに動かせる。

安全に近づけてしかも強い。このアイテムを使うために用意された魔物と言われても驚かない。

実際、ハーレムクエストではトリケラトプスとキングトプスはこのアイテムを使うオススメの魔物って紹介されてたし。


速度を落とさず獣人を殴って無力化する。


「完全に協力者がいるな」


念の為にレガリアで転移系アイテムの対策もしたけど。

そんなもの使い捨てでもレア中のレア。

流石に所持してないだろうと思ってたけど、獣人の手に握られている結晶は魔力を流すと事前に設定したポイントに転移できるアイテムだ。

1度しか使えない使い捨てアイテムだけどな。

針も簡単に手に入るものじゃない。


色々アイテムを持ってそうなのはディラスト

だけど……。

この獣人が人間に恨みを持っていたとしてディラストと手を組むか?

なーんか色々きな臭い。

こいつを領主に渡すのはやめだ。

ちょっと詳しい話を聞いてみるか。


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読んで頂きありがとうございます。








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