第119話

「あ〜やらかした。今日中に関所を越えると面倒臭い事になるじゃん。空間魔法が使えますって自己申告してるようなもんじゃん!」


と言うか教会に俺も行くと言ってしまっている時点でバラしてるようなもんか……


アイギスに乗って堂々とアストから出発してるのに、教会に堂々と現れたら空間魔法が使えますって言ってるようなもんだ。

1番知られたくなかったディラストが壊滅状態だし、知られたところで問題はないかもしれないけど。


だとしても人とか物の空間魔法を使った輸送依頼とか受けたくないし…

俺以外の男に空間魔法を覚えさせるか。

存在意義が無くなりそうな男達からしたら空間魔法なんて喉から手が出るほど欲しいんじゃない?


当然女性のジョブにだって空間魔法を使えるジョブはあるけど。そのジョブについてる人だって少数だろうし。

まぁ、これはアディルさん経由で女王陛下に相談してもらうか。


とりあえずは偽龍種が近くの森で出現したって言う街に到着することだけ考えるか。


「それにしてもランク7の冒険者が来てくれるなんてほんとに助かります。ランク7の冒険者が事態の収拾に名乗りをあげたと言う情報だけでも街の住人達も安心してくれるでしょう」


街についたらまず冒険者ギルドに行って偽龍種についての情報を集めた。

件の偽龍種は草食タイプらしい。

姿を見た冒険者はいないけど、足跡が肉食系ではなく草食系のものだったそうだ。


まぁ、草食系だから弱いってことはないし。

安心は出来ないけど。


「流石に今日からは行きませんけど。明日から偽龍種を探すために森に入ろうと思います」


「良かったら森に慣れたこの街の冒険者を紹介することも出来ますがどういたしますか?」


案内いた方が移動は楽だろうけど、俺たちの場合は必要ないだろう。

アイギスに乗って空を飛んでいればあっちから何かしらのリアクションを起こしてくれるはずだ。


「今回は空から探す予定なので、案内役は大丈夫です」


そう言って案内人をつけることを断る。


冒険者ギルドでやることは終わったので冒険者ギルドを後にして今日の宿を確保しに向かう。


今回はそこそこ値段がするお風呂がついている宿に決めた。

宿を確保したら直ぐに街から出てアイギスに関所に向かって全速力で飛んで貰う。

関所を通らずに転移でアストに直接帰ったら後で1部の貴族にネチネチ言われそうだし。


「こうなるんだったら、関所の近くにポイント設定しておくんだった」


アイギスに全力で飛んで貰っても1時間かかってしまう。

まぁ、1時間で関所まで戻れるって凄い早いんだけど。

今回に限っては教会に向かう予定の時間を大幅にオーバーしてしまう。

やらかしたな〜。

遅刻確定なのは仕方ないしできるだけ急いで帰ろう。

関所さえ通過しちゃえば後は転移で1発で帰れる。

ただし、転移ポイントの設置を忘れるとまた同じことをする羽目になるのでそれだけは忘れないようにしないと。


転移ポイントを増やすのは良いけど、このままだとどこにポイントを設定してるのか分からなくなりそう。


最近使ってなかったけど、スマホにマップアプリを使えば管理できるかな。

確かピンを立てて名前をつけることもできたはず。


「なんでこう急いでいる時に限って襲いかかって来るかな〜」


進行方向にワイバーンの群れを発見する。

戦闘にならないように迂回すると更に時間がかかってしまう。


「しゃあない。アイギスはそのまま飛んでて、ワイバーンは俺が撃ち落とすから『魔導機関銃・雷弾』」


俺の左右に魔法陣が1つづつ現れる。

魔法の射程距離に入ると、魔法陣が回転しだして雷が圧縮されて作られた弾丸がワイバーンの群れに向かってばら撒かれる。


妖魔混合術でミニガンを再現出来ないかなって作ってみたオリジナルの術だ。

思ったより上手くいったけど、弾丸が発射される時は砲身が回ってるってイメージが強かったから魔法陣もグルグルしちゃってるね。

そのせいで弾の集弾率が下がっている訳じゃないし。ま、いっか。


ワイバーン達は瞬く間に蜂の巣になって地面に墜落していく。


ワイバーンの素材を捨てるなんてもったいないので。

地面に墜落する前にストレージに収納する。


「このワイバーンを見せたらジュリアナさん怒るだろうな」


蜂の巣にしてしまったので、素材として使える部分は綺麗に倒した時の半分ぐらいしかない。


ジュリアナさんは素材を無駄にする人に対して厳しいのだ。


できるだけ綺麗に倒さなきゃっていつも言いつつ、やらかしちゃうんだよね。

今度からちゃんと綺麗に倒そう。


毎回魔物を倒した後にそう思うんだけどこの有様だからな。と言っても素材を無駄にするのは良くないと俺も思うし。

そろそろ真剣に倒し方を考えるようにしよう。


「それと、味方を盾にして運良く生き残ったワイバーン君、キミはどうする?」


味方を盾にすることでなんとか致命傷だけは避けたワイバーンに向けて話しかける。


従魔になってないワイバーンには人の言葉は理解できないだろうけど。

ニュアンスぐらいは伝わってるだろう。

ダメだったらアイギスに通訳してもらおう。



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読んで頂きありがとうございます。




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