第107話
「やっぱり、使役したアンデッドを使った宝箱漁りはしていたみたいだな。それをアンデッドに装備させるとは思わなかったけど」
これもハーレムクエストを知っている弊害ってやつかな。
当然ハーレムクエストではアンデッドに装備品を装備させるなんてコマンドは存在しなかった。
だからこそそんな事考えもしなかったんだけど。
リアルならそれだって可能だよな。
バニースーツ程の性能は無いけど、巫女服程度の性能は持っているって感じかな。
俺が気づかなかったら防衛戦はかなり厳しいものになったかもしれない。
とりあえず心配事はひとつ減ったし、これで安心してプルーム王国に行けるな。
海が有るって聞いてるし、海釣りもしたかったんだよね。
このアイテムに関してはアディルさんに上げちゃおう。
防衛力強化にでも役立てて欲しい。
街からカエデさんたちが来るまで待った後、後処理を任せて今度こそプルーム王国に向かって飛行を開始した。
〜カエデside〜
ヒロキがディラストの連中相手に暴れた後処理を終わったあと、家に帰って来て盗聴などをされないように対策してから。
今後のディラストの動きについての話し合いを開始する。
「アディルはこれでディラストが攻めてくることはないと思う?」
「ここにいた連中はヒロキくんを安心してこの街から引き離す為の囮だと思うよ。本命はまた別に用意している筈だ。ヒロキくんがプルーム王国に到着した頃を見計らって仕掛けてくるんじゃなないかな」
「だろうね」
ヒロキはリッチも居たし、もうディラストがこの街に攻めてくることはないだろうと安心してプルーム王国に向かって行ったけど。
ディラストという国についてよく知っている私たちからしたら、アレすらもヒロキを街から離れさせる罠のひとつだろうと確信していた。
作戦の中核っぽいリッチすら使い、使役するアンデッドにダンジョン産の高性能な装備を装備までさせて、如何にも本命っぽく見せる。そして安心しきっているところで本命が攻めてくる。
如何にもディラストがやりそうな手口だ。
「ヒロキは死霊王シリーズの装備数によってリッチの強さが変わるって言ってたし。本命のボスは最低でも死霊王シリーズを2つ装備しているだろうね」
普通だったら今まで聞いたことも無かった呪いの装備品がこんなにゴロゴロ出てくるなんてありえないって言いたいところだけど。
数を確保出来てしまいそうな神の試練が存在することを知ってしまったし。沢山持っていると思って良いだろう。
おそらく何年もかけてこう言ったことが起きた時に戦力として使うために集めていたんだろう。
「それにダンジョン産の装備品も沢山持っているだろう。それこそ、このぐらいの装備を囮に装備させる余裕があるぐらいには」
ディラストでは難易度が高すぎるため冒険者の入場を禁止して王家の許可を貰った者のみが入場できるダンジョンが複数存在する。
恐らくそのダンジョンをリッチたちやリッチ達が使役するアンデッド達に攻略させて宝箱を大量ゲットしていた可能性が高い。
「言い方は悪いけど、ヒロキくんが騙されて気持ちよくプルーム王国に行ってくれて助かったよ」
「まぁ、ディラストはヒロキのことを警戒しているのであってアストの戦力を警戒している訳じゃないからね」
あのまま、ヒロキが残っていたり。アストにディラストが攻めてくるかもって感情を持っていた場合。
アスト侵攻を始めた瞬間何らかの方法でアストに戻ってくる可能性も危惧してこちらの想定以上の戦力で攻めてくる可能性が高い。
それこそ死霊王シリーズを複数装備したリッチが複数体戦力として攻めてくるとか。
各国によるディラスト侵攻が既に始まっている現状。ヒロキが侵攻を疑っていいないとなれば、本国防衛のためにアスト侵攻に使う兵力を下げるだろう。
だからこそ、この話をヒロキにはせずに。
ディラストの侵攻は防いだと思い込んだまま出発してもらった。
「ここまでは上手くいってるけど。私達も襲撃は未然に防げたと勘違いしているって思われないといけないんだからボロを出さないようにね」
「私はこの家から出ないから問題ないよ。寧ろ、防衛戦に使う備品を作る為の素材をダンジョンに採りに行かなきゃいけないカエデの方が勘づかれないようにしなきゃ」
結局のところ、街の内部にまだディラストの襲撃を警戒していると勘づかれてしまうとヒロキのことを騙した意味が無くなってしまう。
「とりあえず、ディラストからの侵攻を事前に対処したことを発表して完全に油断しているように見せる。ジュリアナにはバレないようにこの家でこっそり爆弾を用意してもらう。カエデとパニーちゃんは素材集めとキャラレベル上げ。ディラストに悟られないように冒険者を大々的に使うことはできないし兵士も使えない。ここにいる人達でやるしかないけど、被害を少しでも抑えるために協力して欲しい」
「成程、なんか隠してるなって思ったんですけど。そう言う事だったんですね」
突然声がした方をみると、現在プルーム王国に向かってアイギスの背中の上にいるはずのヒロキが立っていた。
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