第103話

「前回みたいにアンデッドの大群が攻めて来るなら焼夷弾タイプが1番有効かもね」


焼夷弾タイプは爆殺するのではなく、対象を着火。火炎ダメージを与える爆弾だ。

レイスみたいな実態のないアンデッドには効かないけど。ゾンビ系のアンデッドにはよく効く。


ただし、火焰草っていうここのダンジョンでは手に入らない素材が必要になるので、すぐに量産するのは難しい。


後はアンデッド特攻の爆弾を作りたいんならアイギスの鱗を砕いて粉にして火薬と混ぜて爆弾にすれば、アンデッドの天敵とも言える爆弾が完成しそうだけど。

この世界の龍種が定期的に鱗が生え変わるとか聞いた事ないし。手に入れるために無理やり鱗を剥がなきゃいけないとかだったら可哀想なのでとりあえずこのことは黙っておこう。


もしくはアイギスが入ったあとの残り湯とかぶっかければ。アンデッドたちは浄化されるんじゃないかな?

アイギスは光魔法が得意な光属性のピュアドラゴンと言う種類の龍種。

たとえ残り湯だろうとアンデッドを浄化できる聖水的なものになってしまうはずだ。

さすがにリッチとかレベルになるとすぐに浄化は出来ないだろうけど、ダメージを与えることはできるだろう。


だとしても、残り湯を使うなんて絶対嫌って言われるかもしれないし。あてにはしない方が良いだろう。


家に帰ったら先ずはこっそりアイギスに相談してみようと思う。


今ここでうっかり口にしちゃったらアイギスが嫌だって言っても使おうとしそうな錬金術師がいるし。


「とりあえず、急ピッチで火焰草を仕入れるしかないですね。そうなると当然、上乗せ料金が必要になってくる訳ですが…」


そう言いながらチラチラジュリアナさんに視線を向ける。


「分かったよ。都市防衛用だからってアディルに相談して、予算を引っ張って来れば良いんだろう?本当、師匠使いの荒い弟子だよ。まぁ、コッチにはヒロキがいるし、街を守るのに優秀なのも確かだからアディルも嫌とは言わずに予算を用意はしてくれるだろうね」


俺が馬頭の討伐からミスリル鉱脈発見。タラスクを定価より低めに売却したりetc.....色々恩を売っている状態なので俺からの提案となればアディルさんは断れないとジュリアナさんが言う。

流石に理不尽なものにはYESとは言わないだろうけど。

余程理不尽なものじゃなければ問題ないらしい。


「ただ、すぐに現金は用意できないんじゃないかな?ミスリルもタラスクもまだ現金化できて無いはずだし」


ミスリルやタラスクは確かに価値のあるものだし、当然高値で取引されるけど。

その分現金化に時間がかかってしまう。


それにタラスクの甲羅部分は騎士の戦力増強のため防具を作るのに使うって言ってたから、更に出費がかさんでいるはず。


ミスリル鉱脈の採掘やタラスクの買取代などかなりの金額を使っているので、現金が余り無いんじゃないか?とジュリアナさんは考えているようだ。


「まぁ、必要経費とは言え流石に使いすぎたって毎日言ってるもんね家で」


けど火焰草分ぐらいの金額は用意出来るんじゃない?

火焰草は火山地帯なら沢山生えているから1個あたりの値段はそこまで高くないし。


「まぁ、なんとかなるでしょ」


「そうだね。貴族だし、どうにかするか。それとヒロキくんも価値のあるものを売りつけるのを控えれば良いだけだね」


まぁ、アディルさんが金欠な理由ってほぼ俺だもんね。


「1国民的には自分の住んでる街を治める貴族が破産しそうってなんとも言えないんですけど…」


「街の運営資金には手をつけてないから問題ないよ。お金がないって言っても破産するほどないって訳じゃないし」


「そうなんですね。それなら安心してください火焰草のお金をお願いできますね」


なんかアディルさんが可哀想になってきたな。

と言ってもまだ現金化できてないだけで、もう少し待てば大量の現金が戻ってくるだろうしそこまで心配するわけないか。


弟子の人と別れてジュリアナさんと2人で家に帰る。

結局、名前聞かなかったな。


「そう言えばジュリアナさん、弟子の人ってなんて言う名前なんですか?」


「そう言えば自己紹介してなかったね…

アレの名前はクループ。極度の女好きな狸獣人だよ」


クループさんね。なんとなくクレープが食べたくなってきた。

帰ったらカワサキにクレープを作ってもらおう。

確か生クリームはMPで交換できたはず。

MP交換のリスト有りそうな物が無くて困ることもあるけど。基本は万能だなほんとに。

クレープ生地を焼く専用のアレは無いけど。フライパンでも頑張れば焼けるしなんとか作れるだろう。


「ヒロキくんから聞いて来たのに全く関係ないこと考えてない?」


「似た名前のおやつのこと考えてた。作れそうだし今日のおやつとして出してもらおうかなって」


そう言うことなら早く帰ろうとジュリアナさんが走りだしたので急いでついて行く。

地味にレベルが高いので油断していると見失っちゃうんだよね。

まぁ、向かっている場所がわかってるし見失っても問題ないけど。



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読んでいただきありがとうございます。




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