第102話
「爆弾矢、かなり有効な爆発物になりそうだけど。俺らで試すには更に難しいんじゃない」
弓を使うなんて投擲するより難しいだろう。
「知らないんですかヒロキさん?師匠は弓の名手ですよ。それこそ弓使い系のジョブを選んでいたらカエデさんレベルの冒険者になってただろうって言われるレベルの」
それってちょっと上手いとかそんなレベルじゃないよね?
「実際、錬金術師として名をあげるまでは良く勿体ないって陰口を言われたからね。まぁ、今となってはそんな事言う人はいないけど」
錬金術師として最高峰の技術を持った人物になった訳だし、文句なんて言う人はいないだろう。
「それじゃあ、爆弾矢の実験は問題なさそうだね」
弓術スキルは剣術とかと同じ感じのスキルで弓矢のダメージを上昇させてくれるだけのスキル。
だから弓の腕前自体には全く関係ない。
まぁ、弓の扱いに自信がある人じゃないと弓使い系のジョブを選択しないだろうし、弓術スキルを持っている人はみんな弓が上手いと思うけど。
基本。弓矢代がかかるから結構お金がかかるし、得意でもなければ他のジョブを選ぶからね。
ダンジョンの一階層目に移動してとりあえずバイコーン相手に爆弾系の威力を試して見ることにした。
「弓が得意だったって言っても最近練習してなかったし、外したらフォローお願いね」
自分の収納袋から短弓と爆弾矢を取り出して番える。
ジュリアナさんはまだ300mぐらい離れた場所にいるバイコーンに向かって矢を射った。
俺のイメージでは100m先の相手に当てるだけでもすごいって認識だったんだけど。
短弓ってそんなに射程距離あるんだね。
それにかなりの速度がでている気がする。
短弓じゃ絶対でない速度だと思うんだけど、あの弓もしかして魔道具?
弓矢が自分に飛んできていることに全く気づいていないバイコーンは呑気に雑草を食べている。
バイコーンって草食なんだね。禍々しい色合いをしているから肉食かと思ってた。
直前になってようやく気づいたバイコーンだけどもう避けることは出来ない。
爆弾矢はバイコーンの首に当たった瞬間爆弾で作られた鏃部分が砕けて爆発。
結果、首部分はミンチになって頭が地面に落ちる。
「爆発範囲は狭いけど威力は中々だね。ただ、売れるかは微妙かな?弓矢としてはダメダメだし」
爆弾矢のダメージソースって爆発だからね。
この爆発の弓術スキルのダメージ増加は適応されない。
ある程度の弓術スキルが有れば、爆弾矢を使わないで普通の矢を使った方がダメージを与えられるだろう。これがジュリアナさんが売れるかは微妙って判断した理由だろう。
後、当然この矢は再回収不可。
使う度に新しい矢を使わなきゃいけない。
爆発させるんだから当然と言えば当然だけど。
普通の矢だったら回収して再利用できることもある。それが絶対ないとすると更にお金がかかることになる。
「弓術スキルを持ってないけど、弓の腕に自信がある人の為の矢っていうかなりニッチな商品だね」
ほぼジュリアナさん専用の矢って感じになりそう。
「2人が規格外なだけで弓使い系のジョブの人にも一定の需要はあるはずですよ」
弟子の人が言うには確かに弓術スキルを持っていれば普通の矢でも爆発矢レベルのダメージをだすことができるだろう。
ただしレベル5以上じゃないと無理だし。
爆発するって言うのは、ただ鏃が突き刺さるよりも効果的にダメージを与えられる場合もあるだろうから、という話だ。
確かにダメージの種類が違うか。
普通は刺突とか斬撃系のダメージだけど。
そう言うのが効きづらい魔物もいるし、そう言う魔物相手に爆発矢を使うってのもありな訳か。
魔弓術士になれば良いじゃんって思うけど。
一般的なジョブではないんだろうな。
魔弓術士は魔闘士や魔剣使いと同じ系統のジョブだ。
矢に魔法をのせて射ることが出来るようになるジョブだ。
スクロールが一般的じゃないから、かなり珍しいジョブになってしまっている。
俺がスクロールのことを教える前からその存在を知っていて作ることができた錬金術師も居たいみたいだから、世界中を探したらこの系統のジョブについている人も見つかるかもしれない。
パニーの師匠って言う例もあるし。
「まぁ確かに念の為数本持っておくと良いかもぐらいの需要は有るかも?もしくは単純に火薬の量を増やすとか」
今回爆弾矢に使った火薬の量はかなり少なめにしている。
どれだけの威力が有るか分からなかったし。
火力をあげる1番単純な方法だし、試してみる価値はあるかも。
今回の爆弾矢はサイズ差が有るから仕方ないけど球状の爆弾の半分以下の火薬しか使ってない。
って考えると球状の爆弾は単純にさっきの爆発の倍の威力があるってことだよな…。
球状の爆弾も火薬の量を増やすことはまだまだできそうだから、火力に関しては中々のものがちゃんと作れそうだ。
その後は焼夷弾タイプの爆弾を試したり他の爆弾の威力を確認してからダンジョンを後にした。
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