第95話
「問題なくダンジョンの通常階層に戻って来れた。アイギスもちゃんと一緒だね」
隠しギミックをクリアしたことにより出現した転移魔法陣に乗って35階層にある廃城に戻ってくることができた。
ダンジョンの外まで一気に転移出来れば良かったんだけど、転移場所はこの廃城に固定されてるようで何処に転移するか選択肢が頭の中に浮かんで来なかったから無理だったろうけど。
アイギスは初めて外に出れたのが嬉しかったようで、辺りをキョロキョロしながら飛び回っている。
「アイギス。まだダンジョンの中だから自由に飛び回ってても良いけど、ダンジョンから出たら大人しくしててね?」
テイムされてるとはいえ龍種が自由に飛び回ってるってなったら街中大パニックになっちゃうだろうし。
それならと言ってアイギスは俺の頭の上に着地する。
まぁ、大人しくしてくれるなら文句は言わないけど。ちょっと重い。
それに、犬みたいにしっぽを左右に振っているのか、後ろからブン!と言う勢いよく風を切る音が聞こえる。
しっぽを振るのはかわいいけど、当たった時のことを考えるとちょっと怖い。
アイギスには手加減を早めに覚えて貰おう。
「アイギス先に言っておくけど。気になる物があっても、勝手に飛んでっちゃダメだよ?アレは何?って感じで俺にまず質問してね?」
はーいとアイギスから返事がかえってくる。
鳴神が小さくなる時は姿はそのまま小さくなるんだけど。
アイギスの場合はデフォルメ人形みたいな可愛い感じに姿が変化する。
サイズを小さくすると言うよりかは成獣の姿から幼獣の姿に戻っているからだとアイギスは言っていた。
そのため、ただサイズを縮小させてる鳴神は小さくても通常サイズの時と変わらない戦闘力を持っているけど。アイギスの場合幼獣状態に戻っているのでサイズだけでなく身体能力や魔力量も幼獣の頃のものになってしまうため、小さい状態では戦闘が出来ないそうだ。
弱いと言っても龍種なのでそこら辺のチンピラや魔物よりは強い。
幼獣状態のアイギスを見てあれならさらえるかもと思う輩も出てくるだろうけど、そこまで心配する必要ないだろう。
アイギスも頭の上に乗ってていいなら大人しくしてる!と言った感じの返事をしてきたので街で迷子になることもないだろう。
「それでちっちゃくなって貰ったばっかりなのに悪いんだけど。元の姿に戻って俺のこと乗せて飛んでくれる?」
ダンジョンから出るには34階層に戻る魔法陣か36階層に進む魔法陣どちらかが設置されている場所に行く必要がある。
歩いても行けるけど。乗せてもらった方が早いし、アイギスの乗り心地もまずは短い距離で確認しておきたい。
アイギスは任せて!と嬉しそうに言って俺から離れる。
アイギスはみるみる巨大化してあっという間に元のサイズまで大きくなった。
頭からしっぽまで10m弱もあってかなり大きい。
遠慮なく背中に乗せてもらう。
ちなみに俺以外の人を乗せたいって言ったら乗せてくれる?
今の今まで全く思いつかなかったけど。
自分の認めた人以外乗せたくないとかそう言う感情があっても可笑しくないよなと気づいてしまった。
案の定、ご主人様がどうしてもと言うなら乗せてもいいと言った感じの返事が返ってきた。
ちょっと無理をさせてしまう事になるけど、プルーム王国までは我慢してもらうしかないか。
すぐにご主人様の為なら誰だって乗せると気を使った言葉をかけられたので有難うねと背中から首を撫でてあげる。
飛ぶからしっかり捕まっててね。と言われたけど。捕まる場所がない。
鳴神は乗っている場所の鱗と鱗の間に毛が生えていたのでその毛を掴んでたんだけど、アイギスにはツルツルした鱗しかない。
どうやって捕まってればいいだろうと思っていたら、鱗が棒状に伸びて掴める様になった。
龍種は意識すれば鱗の形を自由に変えることもできるらしい。
それならともっとつかみやすい様に取っ手のような形に変えてもらった。
取っ手を掴むとアイギスは翼を1回羽ばたかせただけで一気に上空まで上がる。
もしかしてと思って魔力視を使ってみていたけど、やっぱり単純に翼の羽ばたきだけで飛んでいる訳じゃ無さそうだ。
今もだけど翼に魔力が集中している。
龍種特有の魔法みたいなものを使って飛んでるんだろう。
「そうだ忘れないうちに結界を張らないと『物理結界』」
結界を張らないと風が凄くて飛ばされてしまう。
出来るだけアイギスが飛ぶのに邪魔にならない様に結界はドーム状にそして出来るだけ小さく展開させた。
結界魔法についてはレベル10になる前から展開時間とか耐久とか形とかカスタムできる不思議な魔法だけど、便利だし気にせず使用している。
ゲームでは初期プレーヤーの救済魔法的な立ち位置だったので、そのせいもあったのかな?
違和感とかないかとアイギスに質問してみたら、背中で結界を展開したので若干空気抵抗が増えたけど、この程度なら問題ないから気にしないでと返事が返ってきた。
鳴神と比べて全く揺れないので乗り物酔いすることなく魔法陣までたどり着いた。
従魔登録をしなくちゃいけないから、ダンジョンから出たら冒険者ギルドに行かなきゃいけないんだよな…
従魔登録お願いしますって言ってすぐに終わることは無いだろうなと思いながらダンジョンから脱出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます