第82話


「31階層から龍種が出てくるようになるから。よく、このダンジョンの本番は31階層からだって言われてるのにこんな順調に進めるものなのね」


龍種って言っても防御力以外取り柄のない龍種だしね。

正直強いとは言えないし、倒すのが難しいと言っても1つの階層に数匹程度しかいないからエンカウント率自体低い。

龍種がいるから階層の難易度が上がる訳じゃないと思うけどな俺は。


寧ろ足を踏み入れるまで目視では周りと全く変わらない底なし沼の存在の方が危険だと思うけど。


やっぱり龍種ってネームバリューなのかな。


龍種と言ってもタラスクは飛べないのでテイムしても意味が無い。

空を飛ぶ龍種が出現するのは41階層以降だって聞いているからまだまだ時間がかかる。


アンデッド階層からパニーも初めて挑戦する階層だから冒険者ギルドで購入できる地図を見ながらの移動だから移動速度も落ちる。

と言うかソロでアンデッド階層の手前まで到達してたんだからじゅうぶん優秀だよな。

最近、周りと比べてなんの役にも立ててないってちょっと落ち込んでるけど。



「まぁ、その龍種に分かりやすい弱点もあるし。それを意識して戦えば大した脅威じゃないよ」


「確かに、ひっくり返せば完封出来るかもしれないけど。ひっくり返すのが大変よ土魔法使いも人気があまり無いから少ないし」


人気ないのか土魔法使い。結構便利だと思うんだけどな。


「まぁ、タラスクを見かけたら積極的に倒していくことにしよう。お互いキャラレベルをあげたいし」


俺だってまだまだレベルをあげたい。

まだ転生回数3回、Lv53だし。せめて特別なスキルが貰える転生回数10回までは行かないと。


パニーだって転生してジョブを上位のものに転職したいだろうし。

この間サテツに鑑定して貰ってた時はLv68だったかな。

龍種は得られる経験値が多めだから見つけたら倒すようにしておけばかなりレベルが上がるはず。


「それはそうだろうけど、ただついて行ってるだけでレベルが上がるのはなぁ〜って」


ずっと言ってるなそれ。それも最近悩んでる理由の1つ何かな?


「なら、パニーが1人でタラスクを倒すか。それならついてきているだけでレベルが上がるってことにならないでしょ?」


「それが簡単にできるならこの世の中はもっと強い人で溢れてるわよ」


「まぁあね。でも、コバルト合金の装備品で身体能力を上昇させたり、魔法が使えるようになってるパニーは、その普通からじゅうぶん逸脱してると思うよ既に」


今はつけてないけど、土魔法が使えるようになる付与が付いている指輪を俺が持ってきてるからそれをパニーが装備すればいいだけだし。


「それにさっきはパニーが1人で倒すって言ったけど。実際には2人で役割分担して倒せば良いでしょ?指輪を変えればひっくり返す役をパニーがやることも可能なわけだし」


それだと今のパニーは俺がいたから倒せたってなりそうだから1回はパニー1人で倒してもらった方が良いかなって思ってそう言っちゃったけど。


「確かにそれならちゃんと戦ってるってことになるけど…」


その気になれば俺はひっくり返さなくても倒せるんだからその役必要?って思ってるんだろう。


「じゃあ次タラスクを見つけたら、パニーはひっくり返す役ね」


多少強引に行かないと時間がかかりそうなので、無理やりそう決定させてLv4までの土魔法が使えるようになるコバルト合金の指輪を手渡す。


タラスクと遭遇出来れば良いなと思いながら先に進む魔法陣に向かって歩いていたが、結局追加のタラスクとは遭遇する前に魔法陣に到着してしまった。


「数が少ないし1匹遭遇できただけ幸運か……」


タラスクを探して階層を歩き回るならタラスクとエンカウントすることも当然可能だろうけど。

今回は魔法陣から魔法陣への最短ルートを歩いているので、そのルートを使って1匹遭遇できただけでも運が良いか。


「気持ちを切り替えてようやく32階層だ!玉鋼を作るために必要な素材の1つ粘土が手に入る」


玉鋼を作る専用の炉を作るのに高品質な土系の素材が必要で、ここ32階層で出現するクレイゴーレムの体である粘土なら炉に使えるだろうという事で目標の階層のひとつだった。


今日はこれ以上先の階層を目指そうとしても

今日中には先に進む魔法陣に辿り着くのは無理そうだったので、前の階層に戻る魔法陣の近くでクレイゴーレムの粘土を集めることにした。


「錬金術師に加工してもらう前に熱しちゃうと品質が著しく劣化して使えなくなっちゃうらしいから、火とか雷は使わないように気をつけないと」


錬金術師に加工して貰う前に熱しちゃうと滅茶苦茶脆いレンガになってしまう。

それこそある程度握力がある人が握るだけで砕けるぐらいには脆い。

それはそれで軽いしとしての使い道は有りそうだけど、今回はそうしてしまうと炉に加工出来ないので倒しかたには少し注意が必要だ。


ゴーレム系は体のどこかにあるゴーレムコアを破壊するか体を一定以上損傷させると倒すことができる。


ゴーレムコアを探すのは結構運が必要だったりして面倒なんだけど、魔力視を使うとゴーレムコアの場所が1発で分かることを発見した。

ゴーレム系の魔物はゴーレムコアで魔力を生産しているようなので魔力視でコアを判別できるようだ。


出来るだけ攻撃回数を少なく倒した方が素材がいっぱい手に入るので魔力視が手に入ったのはホントラッキーだった。


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読んでいただきありがとうございます。

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