第81話
「『火槍』」
ひっくり返されて身動きがとれないタラスクに向かって火の槍を飛ばして攻撃する。
火の槍は甲羅の防御力など関係無しに甲羅ごとタラスクを貫通して風穴をあけた。
どうやらハーレムクエストと同じで妖術に対する耐性は持ってないようだ。
ハーレムクエストと姿や名前が同じでも中身は別物とか有り得るからな。
ヒヒイロカネ合金って言う妖術に倒しても影響を与える金属が存在している以上、逆に妖術が効きづらい魔物とか装備とかが絶対存在していると思ってる。
龍種とかなら特に妖術に対する耐性を持っていても可笑しくないと考えているので、タラスクとの戦闘も妖術が問題なくダメージを与えられるとわかるまでは少し緊張していた。
妖術が効かなくても倒す方法もあるし。
耐性を持っていたとしても完全無効とかそんな極端な耐性ではないだろうと思っていたので、戦闘を避けるつもりは無かったし。
表にでてしまうほど緊張していた訳では無い。
「ダメージが入ったのは凄いけど。タラスクはまだまだ元気みたいよ?」
傷が塞がっている訳では無いけど。傷からの出血は既に止まっている。
凄い生命力、流石龍種と言ったところか。
「魔法の方の威力も確認しておくか『 ダブルライトニング』」
妖術みたいに防御力貫通攻撃では無いけど。
コバルト合金の指輪に付与された威力上昇効果のおかげでそれなりのダメージを与えられるはず。
スパークの時よりも一回り以上大きな電撃が2つタラスクに向かっていく。
まだ、ひっくり返ったままのタラスクは避けることが出来ずクリーンヒット。
タラスクは大きな声で悲鳴を上げる。
「『 サンダーボム』」
バチバチしている黄色い球体を手のひらからタラスクに向かって飛ばす。
タラスクにヒットすると周囲に電撃が走る。結果、タラスクは元の体勢に戻るためにジタバタしていたのに金縛りにあったみたいに動かなくなった。
「倒したの?」
「いや、麻痺してるだけだ。サンダーボムは相手を麻痺させて動きを止めることに特化した魔法でほとんどダメージが無い魔法だから」
サンダーボムは倒すと言うより傷つけ無いで制圧する時に使う魔法だ。
テイムしたい魔物だとか盗賊とかを生け捕りにするような依頼の時に使うと便利な魔法だ。
高品質な素材として使えるようにできるだけ傷を少なく倒すために近づきたかったけど。
元の体勢に戻るためにジタバタしているタラスクに近づくのは危なかったので、麻痺させて動きを止めた。
色々魔法と妖術の実験でダメージを与えているので今更って感じもするけど。
「『雷狐・爪斬撃』」
雷の篭手の効果で作り出した雷の剣を使って爪斬撃を繰り出してタラスクの首を切り落とした。
「『氷結』」
切り口を軽く凍らせて、血が流れていかないようにする。
龍種は血も立派な素材なので地面に流れてしまうのは勿体ない。
血が流れるのを止めてからストレージに収納した。
「ん?宝箱の蓋?」
タラスクが暴れたせいで掘られた地面を見ていると宝箱の蓋らしき物が顔を出してした。
警戒しながら宝箱らしきものを掘り出す。
「やっぱり宝箱だ」
罠を警戒していつも通り分身に宝箱を開けさせる。
開けた瞬間紫色の煙がモクモク宝箱の中から
溢れてきた。
恐らく毒だろうと思いポイズンワイバーンの時と同じようにピュリフィケーションを使って毒を無害化してから近づく。
「青いツナギね」
「……そうだね」
別に青いツナギが悪い訳じゃない。無いんだけど。どうしても青いツナギを着てベンチに座るいい男のことを思い出してしまい青いツナギを手に取ることが出来ない。
宇宙飛行士のツナギだって青じゃんって思うんだけど。やっぱりいい男の方が先に思い出される。
ある意味ブーメランパンツより精神的ダメージが……。
「なんで微妙そうな顔をしてるの?性能は分からないけど、今来てる普通のツナギよりは確実に良いはずだし」
なんか着たら両刀使いになるとか呪いがかかってそうだし。
「それにしても恥ずかしい防具が出たら絶対着せてやるって思ってたのに随分無難なのが手に入っちゃったわね」
そんな感じで少し残念そうにしているけど、俺的には大ダメージを受けているので安心して欲しい。
とりあえず、着るのは性能を鑑定して貰ってからということにしてストレージに収納した。
ハーレムクエストにはツナギの防具なんてなかったから俺にも詳しい性能が分からないから、冗談抜きでなにか呪いがかかっているかもしれないし。
あとは防具と言うより生産職の生産を補助してくれる効果がついてるだけで戦闘には一切役にたたないと言う可能性もある。
だってツナギだし。
サテツに鑑定してもらうために1度家に帰ることも考えたけど、今はミスリルラッシュのせいでダンジョンに入場するのにかなり時間がかかる。人が増えたのも理由だけど、ダンジョンの中に入っている人をいつも以上に、しっかり把握しておく為に入場前の調査が厳しくなっているからだ。
長い時間待たされるのは嫌なので、ツナギの鑑定は今日のダンジョン探索が終わってからと言うことになった。
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