第76話

「なんと言うか色々なものが売ってるね」


魔物の素材にアクセサリー、食材、食器工芸品のようなものほんとに色んなものが売っている。


まずはダークエルフの女性のブースに向かう。香辛料を売っているみたい。

MP交換で調味料などを手に入れることはできるけど。

地球に存在した全ての調味料が手に入る訳では無い。

何故か一味と七味はMP交換で手に入れることができない。

他にも交換できない調味料関係は多い。

だからここで購入することができるとかなり助かる。

そこまで辛党じゃないけど。偶に少しかけて食べたくなる。


「すいませーん。辛い調味料って売ってます?」


「勿論あるけど、どれぐらいの辛さのものをお求め?」


遠くから胡椒のつぶが見えたからもしかしたら香辛料を売っている人だろうなと思って近づいたけど。

やっぱり販売しているらしい。

唐辛子とか胡椒みたいに単体で販売している可能性もあったから、ちゃんと香辛料を売っていて良かった。

しっかり粉が入っている樽もダークエルフの女性の近くに複数置いてある。


「1番辛くないのと中くらいのが欲しいかな」


辛いのは嫌いじゃいけど得意でも無いので、できるだけマイルドな物をお願いする。


「じゃ、これとこれだね」


赤い粉が入っている樽を2つに指をさす。


こっちが入れ物を用意する必要があるか。

どうしよう、用意してなかったな。

仕方ない少し騒がれるかもしれないけどMP交換でガラス瓶を交換して入れて貰うか。


「じゃあ、これに入るだけ入れて貰って良い?」


50gぐらい入るガラス瓶を2つ渡す。

ダークエルフの女性はガラス瓶に驚いているようだ。


「ダンジョンの宝箱から出てきたものだよ。と言ってもただ透明度が高いだけでそれ以外に効果がついてたりはしないけどね」


ダンジョンの宝箱には中に容れた物の鮮度保つ効果のある瓶とかもあったはずだからそれからしたら価値のあるものとは言えないけど。

宝箱からでてきた物と言っても疑われないぐらいの価値はあるだろう。


「…もし、私が普通は売らないスパイスを譲るって言ったら、その瓶を手放す気になる?」


「まだいくつかあるし別に構わないけど。因みにどんな物があるの?」


「塩、ニンニク、無味パイナップルetc.....たくさんの素材を調合したスパイスとかどう?これを擦り込んで焼けばゴブリンの肉だって食べれるようになるよ?」


凄い自信だな。ゴブリンの肉って硬いし臭いしで不味いの大名詞的な肉なはずだけど。

けど、食べれるようになるって言ってるのが怪しい。おいしくなるとは言ってないんだよな。

食べれるレベルってだけでもすごいんだろうけど。


でも、調味塩ってことだよね。使い道が多そうだし欲しいよね。

MP交換いくらでも手に入るガラス瓶が対価だし。

そんなに数を持ってない風を装うけど。


それにしても無味パイナップルってなんだろう?聞いたことがない食材だ。

…名前から想像はつくけど。


「それが貰えるならガラス瓶を譲るぐらい問題ないけど。無味パイナップルって何?」


「そのまま味のないパイナップル。但し、普通のパイナップルより肉を柔らかくする効果が馬鹿みたいに高い。以外にレア物でね、無味パイナップル1個で100万はする」


思ったより高級食材?ってことか普通味がないのは大問題だけど。味が無いことで肉を柔らかくする効果をどんな料理でも使えるという事か。

スパイスに使ってるってことは乾燥させて粉にしても肉を柔らかくする効果は消えないってことだろうから食感も気にする必要は無いし。ほんとにどんな肉料理にでも使えそうだ。


「教えてくれてありがとうございます。

渡した2つのガラス瓶は譲りますよ。

俺が買ったスパイスを入れる容器はこっちを使ってください」


とりあえず入れ物ならなんでも良いかと思いボトル型のプラスチックの容器を手渡す。


「ガラスより謎の容器が出てくるとは思わなかった…。まぁ良いや。はい、ガラス瓶をタダで譲って貰っちゃったし。お金は要らないよ」


すごい高級そうなスパイスと交換だからタダではないと思うんだけど、有難くタダにしてもらおう。


「それじゃ、今日はこれで店じまいだ。

まさかここで会うとは思わなかったけど、丁度良いしカエデに会いに行こうかな。ってことで案内してくれるかな?ヒロキくん」


なんで俺の名前を知っている?って警戒したけど。別に名前を隠してるわけじゃないし、この街に来てからそれなりに話題になることをしているので、自分で言うのもなんだけど知らない人の方が少ないだろう。


「警戒させちゃった?まぁ自己紹介もしてないしね。私はユーリ、カエデの元パーティーメンバーよろしくね」


カエデさんはずっとソロで冒険者をしてたのかなって思ってたけど、そう言うわけじゃ無かったみたいだ。

この人が嘘をついていなければだけど。

嘘ってことは無いだろう。だってすぐバレるような嘘だし。

それに魔力視を使って見たらこの人かなりの魔力量をしている。

魔力量を上昇させる効果のある指輪をつけてる状態の俺より多い。

エルフとダークエルフは力が他の種族に比べて低い代わりに魔力量が高くなる傾向があるはずだけど。

それでもかなりの高レベルでないとこの魔力量にはならないはず。


つまりカエデさんのパーティーメンバーと言うのも納得出来る高レベルということだろう。


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読んでいただきありがとうございます。

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