第75話
「この毒は元からあったものじゃなくてポイズンワイバーンが撒き散らした物だから。汚れと考えることも出来るよね?」
汚れならピュリフィケーションで綺麗に出来るんじゃない?
多分、俺が毒を汚れと認識していることが重要な気がする。
「『ピュリフィケーション』」
思った以上に魔力を持っていかれた。
ストレージから中級魔力回復ポーションを飲む。
この毒は目に見える物じゃ無かったから解毒出来てるのかイマイチよく分からないけど、魔力も消費したし多分大丈夫だろう。
こんなことなら毒に特化した状態異常耐性が付与されたコバルト合金の装備品を持ってくれば良かった。
それがあれば毒を気にせず進めただろうに。
当初の目的ではポイズンワイバーンが毒を撒き散らさないように倒す予定だったから持ってこなかった。
大丈夫って言われても毒の中に入って行きたくないし。
仕方が無いので、もし体に少しでも異変を感じたらすぐにアンチトードが使うよう注意しながらゆっくり先に進む魔法陣に向かって歩き出した。
「ふぅ大丈夫だったみたいだ」
無事に先に進む魔法陣まで到着し31階層に辿り着いたことに安堵する。
見えない敵と言うのはやっぱり嫌だね。
大丈夫だよなと思いつつもやっぱりもしかしたらって気持ちになってくるし。
精神的にかなり疲れた。
「今日はもう帰るか」
時間的にまだ余裕はあるけど、精神的に今日はここまでにしといた方が良いだろうと思いそう提案する。
31階層からは底なし沼が点在する沼地地帯
魔物だけじゃなくて地形にまで注意をしながら進まなきゃ行けない階層になるので、精神的に疲れている状態だと危ない。
「私も賛成」
と言うかそろそろカエデさんにも同行してもらった方が良いかな?
カエデさんは私がいる必要ないだろうって一緒にはダンジョンに入らないで冒険者ギルドからの依頼をひとりでこなしている。
60階層~70階層の間にいることが多いと聞いた。
その階層に行ったことが無くても行ったことある人がいれば転移出来るような仕組みならすぐにそこまでいけたんだけど。
ダンジョンはそこまでは甘くなかった。
1度行ったことがある階層なら入口から転移できるだけでもかなり優しいとは思うけど。
「なんか騒がしいな」
ダンジョンの入口に帰ってくるといつもより少し騒がしい。
最近はミスリルフィーバーで全体的に騒がしかったけど今日はそれを踏まえても騒がしい気がする。
「どうやらカエデさんがレッサードレイクを倒したからみたいよ」
なるほど。そりゃカエデさんなら勝てるよな。
種族的にネックだった魔力量も増えたし。
「今晩は龍の肉が食べれるかな?」
馬頭の肉は少しだけ売らずに食べたけど中々美味しかった。
生で食べるのは少し不安だったので馬刺しでは食べなかったけど。
龍種の肉は味が美味しいのは勿論、食べると寿命が伸びるとも言われているので凄い人気がある。
実際寿命が伸びるのかは知らないけど。
神話とかでよくあるよね。龍の血を浴びて不死身になったりする話。
そう考えると寿命が伸びるって話も有り得るのかな?って気にもなるけど。
もっと上位の龍種じゃないとそこまでの効果は無さそう。
「さすがに今日すぐには無理なんじゃない?」
解体したりで今日すぐにってのは無理か、それにカワサキが夕飯を準備しているはずだし、出ても明日いこうか。
馬頭の肉が想像以上に美味しくてそれより美味しいって言われているレッサードレイクの肉を自分の分確保せずに売っちゃってちょっと後悔していたから。カエデさんには食べる分を持って帰って来て欲しい。
「ねぇ、せっかく時間があるんだし。少し街を歩いてから帰らない?」
確かに借りてる家とダンジョンを往復することがほとんどで街を歩いたことってほとんどなかったな。
「そうだね。それじゃあ行商人から買い物出来るようなマーケット的な場所に行きたいと思ってたんだけど…」
そこまで言ってデートに行くような場所じゃないよなと黙る。
「まぁ、行商人が遠くの国から運んできたアクセサリーとか服とかもあるし。悪い場所じゃないと思うわよ?」
但し、正解でもないけどと小声で言われる。
ですよね〜。
まぁ、今は防具を着ていてちゃんとしお店に入る服装じゃないし丁度いいかもね。
と言うパニーの一声で行商人が集まって販売をしているマーケットに向かうことになった。
気を使わせた感が半端ない。
カエデさんには巫女服風の防具を渡したのにパニーには何もあげて無いし。
後でMP交換を覗いて見るかパニーに似合う装備が売ってるかもしれないし。
今から行くマーケットで何かパニーが気に入る物があるのが1番だけど。
ダンジョンの入口がある区画から丁度真反対の位置に歩いて行くと柵で仕切られていて入口に兵士がたっている場所が見えてきた。
敷物を敷いて上に商品を置いたりしている人がいるので、あそこがマーケットで間違いないだろう。
結構賑わっているみたいで面白いものがあるかもしれないと期待をしながら中に入っていった。
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