第59話
「あれ。ジュリアナさんもこっちに来てるんですね?」
帰る前にカエデさんに声をかけてからにしようと思い、最初の巣穴に戻ると200人を超える人間が忙しそうに動き回っている。
これは直接声をかけると邪魔になりそうだし、念話だけして帰ろうかと考えていると
なんかよく分からない機械を操作するジュリアナさんを見つけた。
「そりゃ当然だ。鍛冶師が精錬するより錬金術師が作った道具で抽出した方が手早くインゴットに加工できるからね」
ジュリアナさんがいじっていた謎の機械は抽出機だったのか。
て言うかそんな機械も存在するんだこの世界。
「それって錬金術師じゃないと使えないんですか?」
「別に誰でも使えるけど。最初にミスリルを抽出してくれるように設定する必要があって、それは錬金術師にしか出来ないから私が直接ここまで来たんだ」
「そうだったんですね。じゃあもう帰るんですか?」
「もうちょっといるつもりだったけど。ヒロキくんが帰るんなら一緒に帰ろうかな。スクロールも作りたいし」
そう言えば、元々ジュリアナさんが昨日の夜家に来た理由ってスクロールを作るためだったな。
アディルさんもいたから酒盛りになって明け方まで呑んでテーブルで寝てたから放置してダンジョンに来てたけど。
「そう言えばスクロールが目的でしたね。
魔石もいっぱい手に入りましたし」
300ぐらい渡せばスクロールに使う分はじゅうぶんだろう。
巣2個分のストーンアントの魔石を持っているから1万以上魔石を持ってるし。
強力なスクロールを作れるように雷魔法のLvを10まで上げちゃうか。
ついでに他のスキルのLvも今のうちに上げておこう。
ジュリアナさんが引き上げる準備をしている間にSPを使ってスキルを強化してしまう。
スマホに関してはストレージを使う関係上隠すことができないし。堂々と人前で使っている。
ダンジョンの宝箱からでた魔道具だと認識されているようだ。
【雷魔法Lv4→Lv10】
【縮地Lv1→Lv10】
【思考加速Lv2→Lv5】
雷魔法はスクロールように一気に10まであげた。
これで雷魔法はオリジナル魔法も使えるようになるので、色んなバリエーションのスクロールを用意できるようになった。
バリエーション豊富って言っても雷魔法限定だけど。
縮地に関しては奇襲にも緊急回避にも使えるスキルなのでコレも一気に10まであげた。
Lv10なら半径10m以内ならどこにでも移動できるようになる。クールタイムも10秒とかなり短くなっている。
性能的にやっぱり縮地と言うよりショートワープだよね。
だけど。ショートワープ自体空間魔法にちゃんと存在する。空間魔法のショートワープは目視さえ出来ていれば100mだろうが1000m先だろうが転移できる。
じゃあ縮地要らなくね?って思われちゃうけど。
縮地は魔力を消費せずに瞬間移動ができるので、戦闘中魔力を気にせず使えると言う大きな利点がある。
思考加速は瞬雷の制御向上のためだな。
武術が使えないなら速度で圧倒すれば良いじゃない作戦だ。
今から武術を習うよりはマシだと俺は思う。
最悪、その速度を使って距離をとって妖術で戦うって選択肢もある訳だし。
「お待たせ。引き継ぎも終わったしこれで帰れるよ。魔法陣までの護衛よろしく」
ジュリアナさんに護衛なんて必要無さそうだけど。
魔法陣に向かって三人で歩き出した。
「バイコーンだ。ちょっとスキルを試したいから俺がやって良い?」
大体500mぐらい先にバイコーンを発見した。バイコーンはまだこっちを敵だと認識してないし、進行ルート上じゃないので無視しても良いんだけど折角だし瞬雷の速さを実際に体験してみたい。
2人ともお先にどうぞと言ったので遠慮なくやらせてもらおう。
「『瞬雷』『思考加速』」
瞬雷を使ったことによって全身に雷を纏っている状態になり、思考加速の効果で周りの時間がゆっくり動いているように感じられる。
バイコーンに走って距離を詰める。
数秒で縮地の範囲内まで到達した。
「『縮地』『炎弧・爪斬撃』」
バイコーンの真横に瞬間移動して首を焼き切った。
バイコーンは自分に何が起こったのか理解できなかっただろう。
バイコーンの死体をストレージに収納して
パニーとジュリアナさんのところに戻る。
帰りも瞬雷と思考加速を発動したままだったので、ここまで30秒以内の出来事だ。
単純な計算だけど。この状態なら1000mを30秒で走りきれるわけか。
思考加速を使っているから俺的にはそこまで早く動いていた感じはしないけど。
かなり早かったな。
「反動で筋肉痛になる感じもしないし。これからも問題なく使えそうだ」
身体強化系は体に負荷がかかって反動ですごいダメージを受ける可能性もあったから。
そう言うのが全くないみたいで良かった。
ハーレムクエストには負荷なんて無かったけど。
ここは現実だからな。
100m3秒で走れば普通は体に負担がかかりそうなもんだけど…魔法的な保護が自動でされてるのか?
負荷がかからない方が、こっちにとって都合が良いしそう言うものとして納得しておくか。
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