第56話
「アディルさん。他の巣穴はどうするんですか?」
正直、領主が条件を決めて規制ぐらいしないと、大混乱が起きてしまう。
他国の関係者が冒険者に化けて勝手にミスリルを採集していく可能性もあるし。
「私が信頼出来る冒険者に巣穴の殲滅、調査を依頼する形になるかな。もし、ミスリル鉱脈があった場合報酬を追加する形とかにして。私の軍を動かしてもいいけど。巣穴は狭いし、少数精鋭で戦わないといけないと考えると。少なくない被害が出ちゃうから」
そうなるよね。
数で攻めようとしても巣穴の中じゃ逆に邪魔になるだろうし。
俺とかカエデさんみたいな1人で殲滅できる人間に依頼する方が確実だろう。
俺としてはストーンアントで魔石を荒稼ぎしたかったからちょっと残念だけど。
「勿論、ヒロキくんにもお願いしたいんだけど?」
「任せてください。元はと言えば魔石を大量に集めたかったからストーンアントの巣に手を出したんですけどね。予想外のお宝が眠ってましたよ」
「なるほど。それってまだまだ集めたい?」
アディルさんが何か思いついたようにそう言った。
「正直あれば有るだけ欲しいですね」
「それじゃあ、これから大量に集まると予想されるストーンアントの魔石買い取らない?最初っから定価の7割で良いから」
なるほど。ミスリル鉱脈のためにこれから7,8階層にあるストーンアントの巣をドンドン殲滅していくことを考えると。
かなりの量のストーンアントの素材が手に入ってしまう。
そうなるとどうしても素材の価値が下がってしまうのは避けられない。
冒険者的にはそれはあまり嬉しくない展開だろう。
殲滅した巣でミスリル鉱脈か宝箱がでれば黒字になるだろうけど。
どちらもなかった場合、ストーンアントの売値が半額以下とかなっていたら冒険者はブチ切れ案件だ。
それを少しでも防止するために、最初から少し安い値段にする代わりにずっとその値段でストーンアントの素材のひとつ魔石を買って欲しいということだ。
俺としても悪くは無い。ミスリル鉱脈の発見報酬が貰えるだろうし。
その方が早く魔石を集めることができるだろう。
「俺のお金が無くならない限り買い取らせて貰いますよ」
ミスリル鉱脈については発見者から領主が買い取って、領主が冒険者ギルドに採掘依頼を出したりドワーフの採掘軍団を雇ったりするようになっているようだ。
まぁ、鉱脈なんて1人でどうにかできる物じゃないしそれで良いと俺は思う。
お金じゃなくて、採掘されたミスリル鉱石を貰うこともできるから。
ミスリルを見つけたのにミスリルが手に入らないということもないみたいだし。
「良かった。それじゃそれを踏まえて早速冒険者ギルドと協議をしてくる」
「それじゃあ、私が護衛としてついて行こう。オリハルコンゴーレムがいるし。領主が護衛なしで街を歩くのは不味いだろう?」
まだ大丈夫かもしれないけど。ダンジョンでミスリル鉱脈が見つかったってなったら色んな人が動き出すだろうからね。
それに乗じて悪いことを考える連中もきっといるだろう。
そう言う連中ほど情報を手に入れるのが早かったりするから厄介なんだよ。
「それも重要だと思いますけど。サテツが進化するの見ていきません?」
進化した後ならサテツにも護衛を任せられる。
Lv1にはなっちゃうけど。魔物には転生じゃなくて進化だから一時的にステータスが下がることも無い。
寧ろそのまま継続で更にステータスが伸びるようになる感じだ。
転生だと、転生前のLv1よりはステータス高くなるけど、ステータスは下がっちゃうから最初はちょっと気をつけないといけない。
転生回数×10%ステータス上昇の特典もあるし。直ぐに問題ないぐらいステータス上がるけどね。
「確かに魔物の進化なんて見たいと思って見れるものじゃないからね」
「てわけでサクッと進化しちゃって」
まだボーっとしていたサテツの口に進化の実をねじ込んだ。
次の瞬間サテツの全身が光り出す。
姿が確認できないぐらい光っているのに不思議と眩しさは感じない。
姿を確認できるぐらい光が収まると、サテツは身長が180cmから2m程に上がって、それに合わせて更にガタイが良くなっている。
威圧感がすごいな。今はまだ無理だろうけど、Lvをあげればこないだ俺が戦った馬頭とも正面切ってタイマンで戦えるようになるんじゃない?
「サテツ気分が悪かったりしない?」
「サイズが変わったので少し体の動きに違和感がありますがそれ以外は問題ないです」
「それぐらいなら少し運動すれば問題なさそうだね。因みにどんな種族に進化したの?」
種族についてはアディルさんとジュリアナさんがいない所で聞いた方が良いかな?とも思ったけど早く種族を知りたいと言う好奇心の方が勝ったのでこの場で聞くことにした。
「コボルト・ハイスミスに進化したようです」
ハーレムクエストには存在しなかったな。
でも、鍛冶師じゃ無くならなくて良かった。
進化させた後に鍛冶師じゃなくなったらどうしようってちょっと心配してたんだよね。
鍛冶師の正統進化っぽいし、どんなことができるようになったのか今から楽しみだ。
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