第45話

「うーん。何を望むですか。そうですね、俺もジュリアナさんの作ったものを買えるようにして欲しいです」


ジュリアナさんから錬金術で作ったものを買うには専用の会員証が必要らしいからな。

既に持ってる人と一緒なら入ることはできるけど、ジュリアナさんが気に入らないなら店から放り出されるらしいし。

カエデさんがいれば入ることはできるけど、1人でも入れるならそれに越したことはない。

状態異常回復ポーション以外にもレシピが失伝していたり。そもそも知られてすらいないレシピがあるかもしれない。


そう言う話をするために1人でここに来れるようにしたい。


「てっきり体を求めてくると思ったけど。その程度?」


「この世界有数の錬金術師のお店に出入りして買い物ができる。正直、状態異常回復ポーションのレシピだけじゃ釣り合わないぐらいの価値があると俺は思ってる」


「なるほどね。ここに来る男なんてどいつもこいつも俺の妻にしてやるとか調子に乗った奴らばかりだったから、男に会員証を渡すのは初めてだけど…良いだろう特別に用意しよう」


何とか上手くいったかな?それにしてもそう言う男もしっかりいるんだな。

貴族の男とか?1人もいないってことはないだろうし。女性に逆らえない内気な男しかいない訳じゃないと喜べば良いのか微妙な話だな。

俺としてはそう言う男には会いたくないな。


「それにしてもやっぱり自衛手段は持ってるんですね。やっぱりスクロールですか?それとも爆弾?」


錬金術師は生産職だけど。攻撃性能のある物を作れるからね。それを使って戦うこともできる。ゴーレムとか爆弾とかスクロールとか。毒薬とかも作れるな。


これらが錬金術師以外でも使えるけど。やっぱり自分で作れる錬金術師が1番使い安いだろう。


「私が使ってるのはゴーレムだよ」


ジュリアナさんがパンパンと手を叩くと身長30cmぐらいのゴーレムがリビングに現れる。


「私が作り上げた最高傑作、総オリハルコン製のゴーレムさ!まぁ、オリハルコンの量の問題でこんなに小型だけど…」


オリハルコン製のゴーレムか、そりゃ最高の護衛だな。


でも、耐久的に考えるならアダマントの方が良かったんじゃない?魔法耐性もあるし物理耐性もあるからね。

なんだったらアダマントの方が入手難易度低いし。


けど。アダマントって重量があるし。アダマントゴーレムって動きが遅いから倒すのは難しくても、逃げるのは簡単なんだよな。

オリハルコンゴーレムなら魔法、物理耐性はアダマントゴーレムより低いけど、素早さはオリハルコンゴーレムの方が早い。


素早さか防御力かどっちをとるかはその人の好み次第だ。


まぁ、オリハルコンゴーレムがいれば、よっぽどの相手じゃないければ負けないだろう。


「それにしてもスクロール?爆弾?」


スクロールも爆弾も知らないのか。


「簡単に説明すると、魔法使いが使う魔法を魔法陣化して羊皮紙に定着させることで、使い捨てで魔法使い以外の人にも魔法が使えるようになるのが、スクロール。

爆弾は説明しなくても想像がつくと思うんで割愛します」


スクロールは使い捨てだけど魔法職以外にも魔法が使える結構便利な道具だからな。

魔石を砕いた粉をかなりの量消費したり、魔法陣を定着させるための羊皮紙が必要だし。

少しコストがかかるけど。カエデさんとかパニーに持たせておけばもしもの時に助けになるかもしれないし。

ジュリアナさんがスクロールを作れるなら俺にも利益がある。スクロールはMP交換の交換リストにはなかったからね。


「そんなものが?」


「まぁ、ちょっと試して見たいんで協力してくれませんか?費用は持ちますんで」


もちろん、俺のスクロールの知識はハーレムクエストの知識だからこの世界ではスクロールは作れないって事も有り得るし。


「もしそんなものが作れるんならすごいことだしお金なんて気にしないで良いよ。羊皮紙と魔石の粉にしたものを用意することはできるけど、問題は協力してくれる魔法使い。そこをお願いしていい?」


俺が使える魔法は雷魔法Lv1だけなんだよな。

妖術を使えるようになっちゃったからすぐに魔法を習得したりLvをあげたりする必要なくなっちゃったからな。


スクロール化は魔法しかできないんだよね。

この世界だったら妖術もスクロール化できるかな。


「まぁ、俺が使うには厳密に言うと魔法ではないので、スクロール化できないかもしれませんけど当然、協力しますよ」


「じゃあ早速必要なものを持ってくるよ。

ただ、魔石を粉にするのに少し時間がかかるからリビングで好きにしてて」


そう言ってジュリアナさんはオリハルコンゴーレムを引き連れて2階に上がって行った。


「アイツ完璧に馬頭の蹄のこと忘れてるな。それにスライムを1匹買って帰るだけの簡単な買い物だったはずなのに、これは長くなりそうだ」


確かに。こんなチャンス滅多にないって思って話を始めちゃったな。


「まぁまぁ、カエデさんも気になるでしょ?スクロール」


「そりゃ、私でも魔法が使えるって言うんだから気にならないわけが無い」



魔闘士や魔剣使いのジョブを解放する条件の可能性もあるし。そう言うわけもあってスクロールが作れるなら早めに用意したかったんだよね。

まぁ、スクロールがダメでもコバルト装備に魔法が付与されてるものがあるし。

それを使っても問題ないはずだけど。

しっかりした条件がわかってないんだから色々試しておくべきだしな。



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読んでいただきありがとうございます。






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