第46話
「おまたせできるだけ細かくってことだったけど。これぐらいで大丈夫?」
2階に上がったジュリアナさんが羊皮紙と魔石を粉にした魔石粉を持ってきた。
「このぐらいで大丈夫です。じゃあ早速試してみましょうか」
テーブルの上に羊皮紙を広げて 、その上に魔石粉をのせる。
「では、ジュリアナさんお願いします」
ジュリアナさんにスクロール作成をお願いする。
「『スクロール作成』!」
ジュリアナさんが羊皮紙に手のひらを向けてスクロール作成と言うと、羊皮紙の下に魔法陣が現れて羊皮紙と魔石粉が光り出す。
俺は光だした羊皮紙に手をのせて魔法を発動させる。
「『スパーク』」
雷魔法を発動させる。
ただ実際に電撃が発生することはなく、魔石粉が宙に浮かび、魔法陣を形成し始める。
魔石粉を使った魔法陣が完成したと思うとピカッっと発光する。
俺はこうなることがわかってたので目を閉じたが、カエデさんとジュリアナさんは発光をもろに見てしまって目がぁーと騒いでいる。
「ちゃんとスクロールになっているな」
羊皮紙にしっかり魔法陣が刻まれている。
これを手に持って『スクロール起動』と言えば、自動で魔力を消費して魔法を発動させてくれるはずだ。
早速使って見たいけど…
カエデさんとジュリアナさんの目が回復するまで待つことにした。
「いやー酷い目のあった。知ってたなら最初から教えといてよ」
ジュリアナさんにそう怒られてしまった。
全くもってその通りなんだけど、俺も直前まで忘れてたんだよね。
「まぁどんなことより。スクロール試してみましょうよ」
丸めて紐で縛った羊皮紙を渡す。
スクロールを利用するのに魔法陣が見えている必要は無いからね。
「そうだったね。早速地下室に移動しよう」
カーペットをめくると1部床が取り外せるようになっている。
ジュリアナさんが床を取り外すと下に降りるハシゴが現れる。
「あれはアダマントの的か」
ジュリアナさんを先頭に地下室に降りて歩くと、冒険者ギルドで見たアダマントの的が設置してある部屋に到着した。
「では、ジュリアナさんスクロールを手に持って『スクロール起動』って言ってください今回ならスパークが発動するはずです」
「じゃあ早速『スクロール起動』!」
的に向かって電撃が飛んでいく。
しっかりスクロールだ。
「錬金術師でも魔法が使えちゃったよ…
君の言う通り使い切りのようだけど」
紐を解いて羊皮紙を広げると魔法陣が綺麗に消えていた。
まぁ何度も使えたら強すぎるからな。
「羊皮紙自体は使いまわせるから、1番消耗が激しいのは魔石粉だと思う。まぁ魔石粉の品質次第は気にしなくてもいいから、そこまで気にする必要ないかな?」
羊皮紙の品質とか魔石粉の品質が低いと強い魔法をスクロール化することはできないとかありそうなもんだけど。
羊皮紙の品質が低いと繰り返し使える回数が減るだけ。
魔石粉に関しては細かく砕いてあればゴブリンの魔石でも問題なく全ての魔法をスクロール化させることもできる。
「これは凄い!このスクロール幾ら払えば作ることを許可して貰える?」
「スクロールは自由に作ってくれて構わないですよ。むしろジュリアナさんの発明として世界に発表してもらって欲しいぐらいです」
今、有名なりすぎて国から干渉を受けると対応しきれない可能性が高い。
馬頭のせいでタダでさえ目立っちゃったからな。
「あんまり有名になりすぎたくないってこと?本来なら飛びつきたいところだけど。スクロールか〜。国どころか魔法使いから目の敵にされそうだし。発案者になって欲しいってのはどうしようかなって考えちゃうよね」
確かに。使い捨てだって言っても魔法使い以外でも魔法が使える。
この事実は魔法使いからしたら面白くない。
発案者は魔法使いに命を狙われてもおかしくないか…
「ジュリアナさんには特別で魔法のスクロールじゃなくて妖術のスクロールを提供するってのはどうですか?」
「妖術?」
「妖術は九尾の狐様の加護を貰った人だけが使えるスキルです。スクロールにできるかは分からないけど」
「特別なスキルのスクロールが手に入るか…。もし、作れたなら、スクロールの発案者になっても良いよ」
「よし。それならすぐに試してみよう」
地下から1階に移動してさっきのリビングでもう一度スクロール制作を始める。
途中までは上手く言ってたけど。突然羊皮紙が燃えて消えてしまった。
「やっぱり妖術のスクロール化は無理か」
「いや、羊皮紙の代わりに龍の皮を鞣したもの。魔石粉も龍のものを使えば妖術でもスクロール化できると思うぞ」
不死鳥様が質のいい素材を使えば妖術もスクロール化できると教えてくれる。
「らしいんだけど。ジュリアナさんどうします?」
ちょうど売っちゃったあとだし龍の素材。
「龍の素材か。ストックはあるから作ることはできるけど…。決めた!持ってくるから妖術のスクロールを作って」
かなり高価なものになってしまいそうだけど。
ジュリアナさんが作るって言うなら全力で手伝おう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます