第22話

「『 氷槍』」


氷の槍がこちらに向かって走ってくる眠り羊の左脚にヒットする。

氷の槍がヒットしたことによって左脚が無くなってバランスを崩した眠り羊は転倒する。


ただし、転倒した時に頭からだは無く羊毛から地面にぶつかったようで、転倒したことによるダメージはあまり無さそうだ。


「『 氷砲』」


氷でできた大砲の玉を追撃で飛ばす。

脚が1本無くなってしまった眠り羊は飛んでくることがわかっていても避けることが出来ない。

氷の玉が眠り羊に当たると氷の玉が破裂して周辺を凍りつかせる。

眠り羊も立派な氷像になってしまった。


「これも素材が欲しい時には使えない妖術だな」


氷像になっちゃたら素材として使えなくなっちゃう。

溶かせば使えるかもしれないけど。1度凍らせると品質が低下する事もあるし。


氷槍の威力でも十分だったし。当分はそっちを使えばいいだけだ。


「ちゃんと魔法に耐性がある相手にも有効だって証明できたな」


ハーレムクエストと同じ仕様で安心した。

万が一ってことがあるからね。


「これで、妖術に魔法耐性は関係ないと実証できた訳ですが。このまま眠り羊の討伐を続けますか?もし、そうでなければ私からご提案があるのですが」


流石にコレでもう帰るのは勿体ないなと思ってたから眠り羊をもう少し倒して行こうって

思ってたけど。

サテツの考えも気になるな。


「特に考えて無かったから、なにかいい考えが有るなら聞かせて欲しい」


「この近くのフィールドにメタルラビットが生息しています。妖術を使えば楽に倒せてキャラLvを大幅に上昇させることが出来るかと」


メタルラビットなんて魔物ハーレムクエストにはいなかったなと思い、サテツに聞いてみると。


全身金属で防御力が高く魔法無効と飛び道具が無効。更にはダメージ軽減70%のスキルまで持っている。

HPは少なめだけど、HPが少なくなると全力で逃走するらしい。

出現率が低く、遭遇したとしても8割型逃げられてしまう。ただし倒せると経験値が大量に手に入ると言った感じだそうだ。


ド〇クエのメタルモンスターだね。


「キャラLvを一気にあげられるのは魅力的だけど。一気にあげると俺の実力が伴わない見たいな感じになっちゃわないかな?」


Lvが上がって身体能力が上がってもその身体能力を従前に使えるという訳では無い。

そうするためにはちゃんと訓練をする必要がある。

今の身体能力ですら制御しきれてないのに今一気にLvをあげるのはまずいんじゃないかな?


「ヒロキ様の言うことも最もなのですが。キャラLvを上げておくだけで、万が一の自体が起きた時生き残れる可能性が上がります。

訓練はLvをあげた後でも可能です。なので私は安全を確保する為にも上昇した身体能力を行かせなくてもLv上げをするべきとご提案させていただきました」


サテツの言うことも一理あるな。

キャラLvをあげれば防御力が上がる。

防御力を上げておけば、魔物の不意打ちをくらっても生き残れる可能性が上がる。


サイレントスネークって言う巨大なニシキヘビに不意打ちでしっぽ薙ぎ払いをされて全身複雑骨折で済んだのも若干では有るけどキャラLvが上がって防御力が少し上がっていたからだ。

ああ言うことが再び起こっても死なないようにキャラLvをあげれる状況なら積極的にあげるのもありか。


「確かに俺も死にたくないし、積極的にキャラLvを上げておくことにする」


そうと決まればすぐにメタルラビットのいるフィールドに移動しようという事になり移動を始める。


メタルラビットがいるフィールドは大きな湖が中心にあって木の密度が低めの森に囲まれているフィールドだった。

川が1本も無いんだけど、ここの水どうなってるんだろう滞留して腐っている感じもしないし。かと言ってさっき言ったように何処かから流れてきてる様子もないし流れていっている様子もない。

チュートリアルの森はゲームのダンジョンみたいな不思議空間だからって納得するしかないかな。


木の根っこの辺りを見るとチョコチョコ穴が開いているのがみえる。


メタルラビットが掘った巣穴だろう。


「俺のイメージにあるメタルモンスターは目が合った瞬間逃げていくって感じだったんだけど…寧ろ集まって来てるね」


巣穴を覗いているとひょこっと金属の兎が顔を出した。

やべぇ逃げられると思ったら、ピュイーと鳴いたと思うとうさぎ達が大量に集まってきた。


ウサギなのに鳴けるの!とかメタルモンスターのくせに集まってくるのかよ!とかツッコミどころは多いいがこっちからしたら好都合だし突っ込まないでおこう。


「通常はレアモンスターなので仲間を呼ぶと言った行動はしないようですが。逃げないのは自分の防御に自信があって他の生き物を舐めてるからだそうです」


なんと言うか残念なうさぎだな。

そう言われてから見るとうさぎたちの顔がドヤ顔しているようにみえる。

うさぎは表情筋が無いから表情は変わらない筈なんだけどね。


それにしても、普通は群れる魔物が群れないで、群れを作らない魔物が群れてるんだからほんと無茶苦茶だなチュートリアルの森。


俺に有利になる様にそうやって調整してくれてるんだろうから文句は言えない。


「じゃ、こっちを舐め腐ってくれてる間に倒しちゃうか『火砲』」


炎で出来た大砲の玉がメタルラビット達に向かって飛んでいく。

これを魔法だと思ったメタルラビット達は避けようともしない。

メタルラビットにヒットした瞬間、大きな爆発が起きる。


爆煙がおさまると大きなクレーターが出来ていて、爆発範囲内にいただきメタルラビットは姿が無くなっていた。



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読んでいただきありがとうございます。






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