第17話
ハンゾウは自分から攻撃をするつもりは無いようで模擬戦用に準備した子供用の竹刀を構えている。
子供用の竹刀でもコボルトからしたら少し大きい見たいだけど。
俺から攻撃しないといつまで経っても模擬戦が始まらない。
覚悟を決めてハンゾウとの距離を詰める。
相手は竹刀こっちは木刀を使っているけど、手加減なしで薙ぎ払う。
ハンゾウは身を低くすることで薙ぎ払いを躱してその姿勢のまま距離を詰めて竹刀を胸に突きつける。
「そこまで!」
模擬戦はあっさり俺の負けで終わる。
「さすがにあのタイミングでの薙ぎ払いは悪手でしたね。薙ぎ払うとしても、もっとコンパクトに振るべきです。あんな大振りでは躱されたとき今の試合みたいに何もできずに接近されて攻撃を受けてしまいます」
訓練のための模擬戦が終わるとサテツがアドバイスをしてくれる。
もっとコンパクトの振り抜くか…。
今までは振り幅とかなんにも考えずにとにかく力いっぱい振り抜いてたけど。
当たればいいけど、当たらなかったら隙だらけ 、絶対に当たるタイミングでも無い限りいい攻撃方法とは言えないだろう。
そう言われて振り抜き終わりにしっかりと武器を止めることも重要かな?と思った。
その方が次の行動に素早く移れる。
異世界に転生するって知っていればどこかの道場にでも通ってたんだけどな…。
異世界に転生するなんて分からないし。
仕方ないか。
「ヒロキ様反省点の洗い出しは終わりましたか?とにかく今は数をこなすのが1番です」
毎回ソテツが直した方がいい点を指摘してくれるだろうし。
数をこなした方がいいって言うのは確かにそうだ。
あとは直した方がいいと指摘された点をしっかり意識して試合をするってことを忘れないようにするのも重要だな。
「よし!続きお願いします」
少しでも戦闘技術を身につけることができるように気合いを入れて試合を再開した。
ー数時間後ー
「1回も勝てない……」
床に大の字になって倒れながらそう呟く。
サテツとハンゾウ2人と合計で軽く20試合はしたけど、1度も勝ててない。
2人はかなり手加減してくれてこれなんだから近接戦闘の才能はないのかもしれない。
「最初に比べれば見違えるほど上達しています。ヒロキ様には九尾の狐様から加護を与えられている様ですし。中距離から長距離の遠距離で戦闘するのが良いかもしれませんね」
九尾の加護?本気で言ってる?
本来神獣の試練をクリアしないと貰えないはずなんだけど。
それに九尾の狐とあったことも無いし。
「それ、本当?」
「ヒロキ様を鑑定すると九尾の狐の加護とハッキリ書かれています。流石に加護の内容までは分かりませんでしたが。九尾の狐様は強力な魔法をお使いになると伝承がありますので、なにか魔法関係に恩恵のある加護かと思います」
マジか一体何が原因だ?
九尾の加護があって不味いことはないどころか嬉しいけど。
加護を貰うきっかけが謎すぎる。
昔、白い毛皮で青い瞳をした凄い神々しくて美しい狐を助けてあげたことは有るけど。
それは地球での話だよ?
神様が実在するって嫌でも判らされたし。
あの狐はこの世界の神獣九尾の狐だった?
取り敢えず本当に加護が与えられているのか妖術を使って見れば簡単にわかる。
MP交換でバールを交換して手に持ってから壁に向かって妖術を発動させる。
「『 炎狐・爪斬撃』!」
バールが火に包まれてからバールで壁を叩くと叩かれた場所の壁の石が融解した。
うん凄い威力。
バールは炎の温度に耐えられなくて跡形もなく蒸発してしまったし。
そんな高温なのに俺自身は全く熱くないって本当不思議。
さっき使った炎狐・爪斬撃は九尾の狐が使う妖術の1つで。大狐状態の時は妖術で作り出した炎を爪に纏わせて攻撃する技だ。
ちなみに人間状態の九尾の狐が使う時は鉄扇に炎を纏わせて攻撃する。
「どうやら本当に加護が与えられてるらしい」
因みに魔法と妖術は別物判定になっている。
これがぶっ壊れスキルって言われる理由のひとつなど。
ハーレムクエストで説明すると、ゲームなのでステータスが数値として表示される。
防御力に関して言うと、物理防御力と魔法防御力の2種類が有るけど。妖術防御力なんて数値はない。
妖術は物理でも魔法でもないので。防御力無視でダメージを計算出来る。
更に妖術は魔法では無いので当然魔法無効の相手にもダメージを与えられる。
因みに結界魔法も妖術には対応していないので意味が無い。防具とかもこの世界にはもしかしたら存在するかもしれないけど。
ハーレムクエストには妖術に対して耐性の有るものは存在しなかったので。
妖術を使える相手と戦う時は防御力ゼロ耐性もゼロで戦う事になる。
対策としてはとにかくHPをあげる装備で固めて防御受けじゃなくてHP受けをすることぐらいだったけど。
現実世界じゃHPなんて存在しないし。もっと凶悪な事になってると思う。
まだ出会ったことがない九尾の狐だけど心の底からありがとうございますと感謝しておいた。
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読んでいただきありがとうございます。
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