第13話
「そろそろ帰らないと暗くなるまでにコボルトの洞窟に帰れないし、これで終わりにして帰ろう」
「ワン!」
お供としてついてきてくれたコボルトと一緒にコボルトの洞窟に帰る。
このコボルトとはこの数時間で結構仲良くなった。
完全にペットの犬みたいな感じである。
コボルト自身もその扱いに満更でも無さそうなんだよね。
頭撫でると嬉しそうにクゥーンって鳴くし。
なんか名前をつけて欲しそうな反応だったから〈 ハンゾウ〉と名前をつけた。
それにしてもコボルト達に食べさせるご飯はなんにしよう。
なんかこったご飯を作るよりシンプルにステーキとかの方がいいかも。
コボルト達は味付けしないでただ焼くだけって言ってたし、ソースとかを使うだけで喜んでくれるだろう。
A5ランクの和牛とかステーキ用のソースとかもMP交換で交換できるし。
でも、嗅覚が優れてるだろうしワサビとか胡椒とかは使わない方がいいかも。
それにしても短い時間だったからハンゾウにロックリザードを探してもらって効率的に倒したけど、対して倒せ無かった。
だからと言って今日の収穫が何も無かった訳では無い。
あんなに友好的でオマケに人間の言葉まで喋れるコボルトなんて彼ら以外存在しないだろうってぐらい珍しい子達と遭遇出来た訳だし。
MPもSPも本気で集めたかったら、コボルト達にも各々、狩りに行って貰って洞窟に持ってきて貰えば今までの何倍ものMPとSPを貯めることもできるだろう。
そこまでしてMPとSPを集めようとは今のところ思ってないけど。
コボルトに頼めば簡単に集められるだろう、でもそれをやっちゃうとスキルを集めたりLvを集めたりは出来るけど。
それじゃあ、俺が戦闘する機会が減っちゃうからいつまでたっても戦闘が上手くならない。
それに魔物が魔物を倒してもスキルの宝珠はドロップしないはずだからね。
あれ1つで魔石100個分の価値が有るから魔物は俺が倒さなきゃ。
「もうコボルトの洞窟か」
色々考えてたらいつの間にかコボルトの洞窟に到着していた。
「無事で何よりです」
入口でコボルトスミスが出迎えてくれる。
「ハンゾウがついてきてくれたからね。ロックリザードも探すのも楽だったし」
そう言うとコボルトスミスはハンゾウのことをじっと見つめてから驚いた顔をしている。
「ヒロキ様はテイムスキルをまだ獲得していないですよね?」
「持ってないよ?」
「ですよね。なら何故、名ずけが……」
なんかコボルトスミスが1人で混乱している。
名付けってあれかな魔物をテイムした後名前を決めるやつ。
「俺がハンゾウって付けただけなんじゃ?」
「そう簡単な話ではありません。ハンゾウという名前はこの世界に正式に認められています。鑑定すると名前にハンゾウと記されていますので。しかし通常それが可能なのはテイムスキルによる名付けだけなのです」
コボルトスミスが言いたいのは、今の状態の俺がコボルトに名前をつけた後、鑑定で確認してもコボルトと表示されるのが正常なはずなのに。
ハンゾウはハンゾウと表示されてしまっている事に困惑しているのか。
そうがこの世界の決まりだったとしたら確かに可笑しいな。
「なるほどね。何か原因がある筈だよね」
ちょっと考えて見るけど。原因なんて全く思い浮かばない。
「強いて言うなら神様が転生させてくれた時に何かミスったとか?」
俺の事を間違って殺しちゃうぐらいだ。
神様が何かミスった結果 、この世界の決まりから考えると有り得ないことが起きてるとか……。
テイムスキルが無くても正式な名ずけができるそれぐらいだけなら、そこまで気にする必要ないと思うけど。
他にも致命的なバグ的なものがあったりあいないよね?
すげぇ不安になってきた。
神様に直接確認とかとれないかな?
神獣なら神様に連絡とれるかな?
ハーレムクエストには神獣と言う、試練を突破した人にはぶっ壊れスキルをくれる神様の部下的な存在がいた。
ハーレムクエストを真似して作ったこの世界にも神獣がいるかも?
と言っても、この世界地形や地名はハーレムクエストと全く違うみたいなので、神獣の祠を探すところから始めないといけないし。
軽く年単位の期間がかかってもおかしくない。
見つけたとしても神獣の試練をクリアしてからじゃないと俺のおねがいなんて聞いてくれないだろうし。
神獣の試練ってクリアすればぶっ壊れスキルが手に入る関係上。
めっちゃ難易度高いんだよね。
具体的に言うとハーレムクエストだとラスボスの10倍強かった。
この世界でもあのぶっ壊れスキルが使えるなら欲しいし。いつかは挑戦するけど、試練がクリア出来るまでの実力をつけるには一体何年かかることか。
スキルという点ではチートスマホのおかげで1年もあれば試練に通用するレベルまで取得できるだろうけど、そのスキルを俺が完璧に使いこなせるようになるにはそうとう時間がかかると思う。
突然、すぐに調べることが出来ない厄介事が発覚したなーと、ため息をついてしまう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます