第14話

ー神界ー


「と彼が言ってますが、メフィルス様が何かミスをした結果なのですか?あの出来事は」


引き続き神界から転生させた後藤弘樹のことをモニタリングしている神様に対して、6枚羽根の天使が少し怒りながら質問する。


この神は世界の創造をしたことは確かだが、その後の管理に関しては、ほぼ部下に任せている。

その部下である天使からしたら、世界のルールを破っている存在は看過出来なかった。


「テイムスキルを持ってないのに魔物の正式な名付けが出来たのは、確かに僕のせいだけど。バグでは無いよ。寧ろあれが正しい反応」


「何を言ってるんですか?神であるメフィルス様もついに痴呆ですか?」


「中々、辛辣なこと言ってくれるね。

別に難しいこと言ってないよ。セラフィムだってテイムスキルなんて使わなくても名付けできるでしょう?」


「そりゃ私は神界で生まれた存在ですから当たり前です。彼は神界の生まれじゃ無いでしょう…ってまさか!」


やりやがったなコイツという感じで詰め寄る。


「僕の神罰のせいで体なんて消し飛んでるからね。新しく体を用意した訳だよ。僕が神界で」


つまり、転生者後藤弘樹の体は自分と同じ神界生まれということになる。

となれば神界生まれの存在にしか使えない能力が使えてもおかしくない。

謎は解決したけど、そうなるとまた別の問題が出てくる。


「なんて事してくれるんですか!つまり神力を使える存在に神力の使い方すら教えないで地上に転生させたってことですよね?

もし、なにかの表紙に彼が神力を暴発させたらどうするんですか?地上が消失してもおかしくないんですよ?」


「それも大丈夫、セラフィムだって特にMP交換とSP交換ってスキル破格すぎると思ってるでしょ?」


「まぁ確かに」


「あれは彼の神力を代償に作ってるから、それも文字通り代償にしているから時間で回復するってこともない。レベルが上がって神力が増える度に同じ対応をする予定。実際新しくマップスキルを追加したでしょう?」


なんであとからスキルを増やしたんだろうって少し疑問に思っていたが、あれはそういう事かと納得した。


「それに彼はまだディアランドに転移しているわけじゃない。今いるのは僕が新しく作ったチュートリアルの森しか存在しない新しい世界なんだから。そこまで焦らなくても地上に何か起きるわけじゃないよ」


「確かにその通りですが……。では何故彼一人にここまでしているんですか?」


正直、間違って殺しちゃったお詫びレベルを超えていると思うのだ。

と言うかいつものメフィルス様なら魂ごと消滅させて証拠隠滅をはかる。

なのに魂を消滅させず、転生させただけでも驚きなのに。

有り得ないほどの面倒まで見ている。

正直何を企んでいるか……


「私にバレた時のご機嫌とりだろう。やってくれたなメフィルス」


メフィルスが返事をする前に真っ白な9本の尻尾と狐耳がついた着物の女性が現れる。


「やぁ九尾の狐。今回に関しては本気で事故なんだ。ね、これからも全力で彼のことはサポートするから」


今にも上司を殺すんじゃないかと言う勢いで切れている九尾の狐を落ち着かせるために彼との関係について質問する。


「彼は九尾の狐様の関係者なのですか?」


「なんだセラフィムいたのか?

ヒロキは昔ヘマして大怪我して地上に落ちたときに救ってくれた命の恩人だ。ひろきの死後私の眷族として転生させると言うから、今まで従って来たのにまさか殺すとは……」



「それについて確かに僕のミスなんだけど……幾ら適当にやったからってあんなミスするもんかな?って調べてみたら僕の神罰が彼に当たるように誘導された跡を見つけたんだよね」


なんか最近調べ事しているなとは思ったけどそんなことを調べていたのかとセラフィムは上司の顔を見る。


「黒幕がいたと?」


「僕と君とでつぶしあいをさせたい神がいたのは確かだよ」


先程まで撒き散らされていたさっきが引っ込んでいく。


「なるほど。その神を潰す時は絶対に私も呼べ。今回はそれで手をうとう」


九尾の狐は帰るのではなく、後藤弘樹が映るモニターの前に座る。


最初はこれで収まるなら良いかと思っていたセラフィムだが 後藤弘樹が九尾の狐について触れた時は機嫌が良くて問題なかったが、

女性が後藤弘樹を誘惑したり、コボルトたちをブラッシングしている場面を見た時は機嫌がかなり悪くなって神罰を落とそうとするし、酷い時には神界がめちゃくちゃになったりと大変だった。


しかも上司であるメフィルスは九尾の狐が暴れ出す前に危険を察知して逃げてしまうので

宥めるのはいつも自分。

上司に対して九尾の狐にボコされれば良かったのにと思いつつ。


後藤弘樹に1秒でも早く九尾の狐の試練をクリアして神界から引き取って欲しいと思うセラフィムだったが。


まず、場所探しから始まり。見つけたとしても、神獣の試練の難易度を知っている後藤弘樹は中々神獣の試練に挑戦せず。

セラフィムの苦労はそれなりの期間続く事になった。




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読んでいただきありがとうございます。





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