第11話
コボルト達は鉄鉱石採集する為に掘った場所をそのまま巣として暮らせるように改造して暮らしているらしく。
アリの巣みたいに結構複雑な構造をしているので案内なし外に出るのは無理だと思う。
今もコボルトスミスにコバルト装備が保管されている場所に案内してもらっているけど。
ここから1人でさっきまで寝ていた場所に帰って来れる気がしない。
「ヒロキ様こちらの部屋がコバルト装備が保存されている部屋です」
部屋の中を確認すると、剣や槍、斧と言った武器や指輪、ブレスレット、ペンダント 、ピアスと言った装飾品も沢山置いてある。
ここにあるものを売っただけでも、簡単にひと財産稼げそうだ。
当たり付与を引いたコバルト装備は高いからな。
売らないで俺が使うけど。
少し気になったのは防具に関しては盾が数種類有るだけで存在しない。
「指輪やブレスレット等のサイズの小さめな装飾品ならアジャストを使って調整が可能ですが。篭手や鎧サイズになるとアジャストによる調整が出来ないので事前に用意することが出来ませんでした」
俺が盾を見て不思議そうな顔をしていたのに気づいたコボルトスミスが理由を察して質問する前に説明してくれる。
アジャストは生産系のスキルを習得すると覚えられる能力で、装備品のサイズを装着者にピッタリなサイズに変更できる効果があったはずだ。
ハーレムクエストだと篭手とか鎧とかにも普通にアジャスト使えたはずだけど。
いや…そう言えば指輪とかは確実に成功するけど、アジャストをかける装備のサイズがデカければデカい程失敗して装備が壊れる可能性があったはず。
そう考えると篭手とか鎧にアジャストを使うのは現実的じゃないか。
「成程。俺は総金属製の鎧とか着て戦える気もしないし。あっても防具は使わなかったかもね。雷魔法主体で戦うつもりだからそれに役立つ付与がされてる装備を選んで欲しい」
何十kgあるかも分からない金属鎧なんて着てたら戦うどころか歩くことも無理そうだし。
現実的なのはメインは魔物の皮を使って体の重要な部分だけ金属を使うぐらいがいい気がする。
「Lvが上がれば金属鎧でも問題なく動けるようになるんですけどね。コバルトは金属の中では軽めの金属ですし。それではご要望にそった付与がされている物を一通り集めてきます」
キャラLvが上がれば身体能力が上がるから金属鎧でも装備して普通に戦えるようになるのか。
ハーレムクエストには無かった要素だな。
Lv1の状態でも総オリハルコン製の鎧を着てバリバリ戦闘できたからな。
コボルトスミスは自身が作ったコバルト装備についた付与を確認出来るように鑑定のスキルを持っている筈なので、オススメの装備を選んで持ってきてもらう。
「これは沢山持ってきたね」
コボルトスミスが持ってきてくれたのは指輪が9個にイヤリングが1つと、ちょっと数多くないですか?って量だ。
でもあえてこの数を持ってきたという事は、ハーレムクエストにあった。
装飾品の上限は2個と言うルールは存在しないのでは?
「指輪にはそれぞれ、魔力回復速度1.6倍、魔法効果1.4倍、雷魔法効果1.2倍、魔力消費軽減1割、雷魔法消費魔力軽減1割、スタミナ1.5倍、速力1.2倍、状態異常耐性(小)、スタミナ自動回復(小)。イヤリングには追撃の効果が付与されています」
どれも初級者を卒業して中級者に入ったぐらいのプレーヤーが装備しているレベルの装備品だ。中でも追撃の効果が付与されているピアスはガチ勢でも装備する人がいるぐらいの辺り付与だ。
追撃は相手に与えたダメージの半分のダメージを自動で与えてくれる超有能付与だ。
「どれも素晴らしい付与効果だ。これは全部装備してもちゃんと効果は発揮されるの?
俺の知識だと装飾品系は2つまでしか効果がなかったんだけど」
「問題なく発動致します。ただし同じ指に2個指輪をはめると効果が発揮されませんのでご注意ください」
指輪は10個までなら問題なく装備できるってことだな。それに指輪以外なら更に装備可能と。
この世界コバルトの装飾品強すぎるでしょ。
コバルト装備でガッチガチに固めれば格上の相手にも簡単に勝てるようになっちゃうじゃん。
まぁ、実力者はコバルト装備でガチガチに固めてるんだろうけど。
「本来は倍率系の付与は全て2倍の物でご用意したかったのですが…」
「確かに2倍効果の物があれば助かるのはそうだけど。2倍効果なんて滅多に出ないんだから。今の付与でじゅうぶん助かるよ」
ハーレムクエストのプレーヤー達は2倍効果の付与を手に入れるために何千何万とコバルト装備を作り続けてたんだから。
「それとイヤリングの付与効果は良いんだけどやっぱり耳に穴を開けないといけない?」
やっぱり痛いのは嫌だよね。
それにポーションとか回復魔法が存在するし。穴を維持するのも大変そうだ。
「穴を開けるタイプじゃなくて、このパーツで耳を挟んだ後、付与魔法で付与されている固定を発動させるタイプですので」
取り敢えず。痛い思いをせずにすみそうなので、安心してイヤリングも受けとった。
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