第8話
数秒後、地面に足がついた感覚がした。
いつの間にか閉じていた目をそっと開く。
大きな家が目に入る。とりあえず、自分の身体を確認する。
髪は延びたみたい。身体は異常なし。目の色は変えるって言っていたけど、今は分からない。服装も変わらない。七分袖のチュニックにショートパンツ、ニーソックス、スニーカー。
「ここが今日から、お前の家だよ。我が娘、マシロ。」
娘…か…お父さん…ほんとにもう会えないんだね。よし、気持ちを切り替えよう。
『私』はマシロ・アーデム。12歳。今日からここの娘になる。6人兄妹の末っ子長女。
「はい、『お父様』。私、頑張ります。」
満足そうにお父様は頷き、私の手をとり、玄関へと連れて行く。ガチャリと玄関ドアが開く。
「旦那様! おかえりなさい!」
「「「「「おかえりなさい! 父上!」」」」」
1番に声を上げるのは、お母様だ。その後にお兄様達が続けて挨拶をする。当主が留守の間は当主の妻又は夫が屋敷で権限を持つのだと、あとから教えてもらった。
「戻った。留守の間は変わりなかったようだな。…この子がマシロだ。今日から我が子だ。妹を大切にするように。マシロ、母と兄達に挨拶だ。」
お父様に背中を押されて促される。
「本日より、末の娘となりました、マシロです。12歳です。お母様、お兄様方、これからどうぞよろしくお願いします。」
言えた。お辞儀をしてから、お母様達の方を見る。
お兄様たち、みんな身長高い…おっきい…お母様も小さくはない。そしてみんななぜかこちらをキラキラした目で見つめてる…。
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