第5話
契約
1、今生きている世界での生を終了し、世界を渡り、アーデム家の長女となる。なお、養子ではなく実の娘として登録される。
2、クイント・アーデムの知識や技術を継承し、アーデム家と大魔法使いの称号を継ぐ。
3、今生きている世界の家族との別れは、1日以内に家族が駆けつけた場合、目覚めてから20秒間とし、言葉を交わしてはならない。その代わりに最後の置き手紙は許可する。
4、アーデム家の長女として、次期当主として、責務を全うし、兄達と力を合わせて行くこと。
5、世界を渡った後は、クイント・アーデムに師事しつつ、基礎や教養などを学ぶ為、王立アカデミーに通うこと。
6、アカデミーに通う関係上、世界を渡った後の年齢は12歳となること。
以上
署名
あっ、この人には息子さんが数人いるんだ…
養子ではない。本当の娘として迎えられるのか。
5人のお兄さんか…一人っ子だったからなんだか嬉しいなぁ。どんな人たちだろう?
でも…
「内容はわかりました。でも、お兄さん達が当主にならなくてもいいんですか…? 僕は末っ子になるんですし…」
「なぁに。あちらの世界は完全実力主義だ。特に我が家はな。私の知識と技術を継げる者が後継者になる。他の家でも、次男の方が実力が上なら長男は支える方に回る。…そのへんの常識はおいおいアカデミーで覚えるだろう。」
「わかりました。」
…ぷす…カリカリ
「これで大丈夫でしょうか?」
針で指を刺し、出てきた血で名前を書いてクイント氏に渡す。
「…確認した。これで魔法契約は完了だ。これからは、私の事を父と呼ぶように。では竜巻を起こすぞ。身体はそっくりに作った偽物を置いておいた。本物の身体はこちらにあるので痛みなどはない。紙とペンを用意するから、一言手紙でも書いていなさい。」
契約書はボッと燃えてなくなってしまった。
そのかわりに、日本にあるようなペンと便箋が出てきた。
小さく頷くとペンをとり、もう会えなくなる父へ手紙を書いた。
『お父さん、いつも有難う。身体に気をつけてね。大好きだよ。ーーー真白』
会話をしてはならないってあったから、本当に当たり障りの無いメッセージ。
「書けたか?」
「はい。」
「こちらも終わった。今は救出されているところだろう。では、あちらに行く準備をするとしよう。この水晶は通信装置だ。これから使う事が多いだろう。覚えておくといい。」
大きめなきれいな水晶だ…。
通信装置かぁ…
「手のひらから魔力を流す。そして、どこに通信したいのか思い描く。今からアーデム家へ繋ぐぞ。…私だ。」
『はい。旦那様。いかがなさいましたか?』
「リーシャに取り次いでくれ。」
『かしこまりました』
おぉ…執事さんなのかな? すごく、老紳士って感じだった。
すごい…ほんとに繋がった…
「今のが執事長のヴェルディだ。リーシャはこれからお前の母になる女性だ」
お母さん…ということは、クイント氏
の奥さんか…
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