第4話
「マシロ。もう1度言う。私の居る世界に来てくれないか? 学ぶ事はたくさんあるし、大変だと思うがきっと君ならやり遂げることが出来ると思う。」
心が揺れる。
頷きたい。
必要とされる場所に行きたい。
でも、不安でもある。
「…あの、ちなみになんですけど、僕が行くって言った場合は、みんなから僕の記憶がなくなるんですか?」
僕が小さい頃、母が生きていた時の父は優しかった。その思い出があるから父のことが嫌いになれない。
なんとか、自分の方を見てほしいと努力してきた。
父には、自分の事を忘れないでほしい。
「いや、なくならん。事故か何かで死んだことにする。そうすれば、大規模な精神干渉魔法を使う必要もない。そうだな…風魔法で十分だ。」
記憶は消えないのか。そっか…。お父さんは僕を覚えててくれるのか。それなら…。
「行きます。僕、貴方の世界へ行って勉強します。…でも、もし父が病院に駆けつけてくれたら…少しでいいので僕の体に意識を戻してくれませんか?」
もし、お父さんが僕を心配して来てくれたら…ここ数年まともに見てない父の顔を見てから行きたい。
「…まぁ、仕方なかろう。こちらの身内とはもう二度と会えぬ。1日経過しても父親が現れなければ、そのまま肉体の活動を止めるぞ。そしてそこからは、私の娘、マシロ・アーデムとして生活する。良いな?」
弟子ではなく、娘になるのか。養子、ということなのかな?
偉い人っぽいし、よくあることなのかも…?
コクリと僕は頷いた。
「では、魔法契約を行おう。指をこの針で刺し、血でここに署名するのだ。読めるか?」
突然出てきた紙をちらりと見る。
見たことない字なのに読める。
「読め…ます…なんで?」
「マシロの魔力のおかげだろう。多言語を扱う事ができる魔法のようなものだ。私とも話せているじゃないか。魔力の多い者は大体多言語魔法が勝手に作動されるのでな。内容を、確認して承諾できればここに血の署名を。」
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