第3話
「最後に、なぜ君だったのか。君が見たコイツは私の使い魔でな。簡易的な魔力測定ができて、一定以上の魔力量がある者にしか見えない。そして、見えた者をこの空間に連れてくる。」
「使い魔…見えたってことは、僕は魔力量が多いってことですか?」
変な生物…もとい、使い魔は意外と高性能なのか…?
「そうなる。マシロ、君の魔力量は私よりも多い。その魔力量は私の世界では貴重だ。これまで会った誰よりも魔力量が多い。たくさんの可能性を秘めているんだ。私が死ぬまで共に研究し、知識や技術を受け継いでほしい。君の力が必要なのだ。」
「僕が必要…」
僕が必要…?
お母さんが亡くなってから、お父さんは見向きもしてくれなかった。壊れた機械みたいに仕事に行って帰ってくるだけ。会話もない。用事はメールで済ませて必要なお金だけ家においていく。いい成績を取っても褒めてくれない。
おばあちゃんは高校に上がるまでは面倒を見てくれたけど、お母さんに似た僕が好きじゃない。高校受験が終わった途端老人ホームに入った。会いに来なくていいと言われた。
友達も居ない。
記憶力が良くて勉強は苦じゃないし、知識を得ることが好きだけど、成績が良いと同級生に嫉まれる。
成績が下がるとお父さんに見てもらえないような気がする。
誰にも必要とされて来なかった人生。僕は、必要だって言ってほしかったんだ…
必要とされたかったんだ…
「泣くな…マシロ。」
「え…?」
僕…泣いてる…? 頬が濡れてる。
いつの間にか泣いていた様だ。
「あっ…ごめんなさい…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます