第18話 登録と報告

 ノザル村を出発して七日、陽が傾きかけてきた頃、ようやく目的地のデムローデの街が見えてきた。


「やっと着いたか、長かった~」


 予定通りに到着できたとはいえ、七日間もの間荷馬車の移動で飽き飽きしていた。

 まだ大丈夫だが、もう少しで陽が傾き夜になる。夜になれば門は閉ざされ、朝まで開くことはないとガヤルさんは言っていたが、その前に辿り着けたのは僥倖だ。

 徐々にデムローデを囲う外壁が近づいて来る。


「大きいな・・・・・」


 デムローデは高い外壁に囲まれており、街に入るための門の前には、俺達の様にこの街に訪れた旅人や商人と言った感じの人達が、門の前で列を作っていた。


「結構多いな」


「まだ少ない方だ。昼頃ならこの倍以上はいる」


「へぇ~」


 俺達が乗った荷馬車は門の前に集まる列に並び、順番を待つ。

 四十分ほどすると、いよいよ俺達の番が回ってきた。

 俺達の乗る荷馬車に門番らしき槍を抱えた兵士が近づく。

 門番は御者台に座るガヤルさんを見ると驚き、次に笑顔になる。


「ガヤルさんじゃないですか、お久しぶりで。最近は姿を見かけませんでしたが、どういった要件で?」


「物を売りに、それとハンター組合に届けものだ」


 親し気に話す門番にそう答えると、なるほどと門番は頷く。


「分かりました。どうぞ、通ってください」


「荷物を調べなくていいのか?」


「ハハ、ガヤルさんなら何も問題はないですよ」


 さあ、どうぞ。と言って道を開ける門番。その脇を通り過ぎて中に入っていく。


「随分信頼されてるんですね」


「知らん。アイツが勝手にそう思っているだけだ」


 ぶっきらぼうに言い切って馬を進めていく。


「おぉ」


 門を抜けるとそこはまさにファンタジーの街並みだった。


「すげぇ・・・・」


 舗装された石畳、レンガや石材、木材で作られた建物、目の前の通りには道沿いに露店が並び、多くの人達が行きかっている。

 その中には人間とは思えない者まで混じっている。頭に羊の様な角が生えた大柄な男性や、ふさふさの耳と尻尾を持つ女性など多種多様だ。


「通るぞ!退いとくれ!」


 そんな中を人にぶつからない様に声を張り上げながら慎重に荷馬車を進めていく。

 通りを進みながら俺は町中を上京したての田舎者みたいに辺りをきょろきょろと眺めていた。

 暫くそうして進むと、進行方向に噴水が見えてきた。

 噴水まで辿り着くと、今度は右に曲がり別の道を進む。


「組合って、遠いんですか?」


「心配せんでも、もう直ぐ・・・・・・見えたぞ」


「・・・・・あれか」


 ガヤルさんが指さす方に目を向けると、他の建物より一回り大きな二階建ての建物が見えてきた。

 建物の入り口の上には看板が掲げれていて、『ハンター組合~デムローデ支部~』と書かれていた。

 組合の前に荷馬車を止め、馬を繋ぐために付けられたであろう柵に馬を繋ぐ。


「荷物は置いておいても問題ない。組合の真ん前で盗みを働く命知らずなんぞおらんからな・・・・・・・いや、そいつだけは持って行け」


 顎をしゃっくって促した先には、布に捲かれたクロードの愛剣があった。


「持って行くんですか?」


「今から話す内容を考えたら、そいつをみせた方が話が早いだろうからな」


 話・・・・・ここに来たのは俺のハンターになる為と言う目的以外に、クロードの事を伝えなければならないと言う目的もある。

 クロードの事を話すのは正直気分が重くなるが、そんなことを言っているわけにはいかない。


(ちゃんと伝えないと!)


 剣を持って組合の扉を開ける。


「うっ」


 入った瞬間に中にいた数人のハンターと思しき人達にジロジロと、まるでこちらを品定めするかのように見てくる。

 中には仲間と話しながらもこちらの様子を窺っている人もいる。


(え?なに?)


 しかしその目は俺、と言うより、隣にいるガヤルさんに向けられている。


「何だガヤルじゃないか。珍しいな、組合に用事か?」


 そんな注目の中、左目に眼帯を付けた大柄な一人の男性ハンターが声を掛けてきた。


「そうだ。こっちを気にしてないで真面目に依頼の一つでもこなせ」


「はは、悪い悪い。邪魔したな」


 男は軽く手をひらひらと振りながら去っていった。


「ほれ、行くぞソウジ」


「は、はい」


 ガヤルさんはメガネをかけた優しそうな雰囲気の女性が座る、受付らしき場所に歩いて行く。

 ガヤルさんが女性の前に立つと、書類を整理していた女性が顔を上げる。


「あら?ガヤルさんじゃないですか。お久しぶりです。今日はどうしたんですか?」


「こいつの入会手続きを頼む」


 ガヤルさんの後ろで控えていた俺は、受付に歩み寄り頭を下げる。


「どうも、お願いします」


「分かりました。けど、ガヤルさんが組合に人を紹介するなんて珍しいですね?」


「俺は道案内をしてやっただけだ。紹介したのは別の奴だよ」


「別、ですか?」


「ソウジ、あれを出せ」


 ガヤルさんに言われ、俺は受付にクロードの紹介状を出す。


「紹介状ですか?珍しいですね、一体誰からの紹介・・・・・・」


 俺から受け取った紹介状を読み進めていくうちに、受付さんの目が驚きに見開く。


「こ、これ!クロードさんの!?」


 ざわっ

 受付さんが驚きクロードの名前を出した瞬間、組合内にいた人たちがざわつき出す。


「おいおい、クロードからの紹介って・・・・・」


「てことは、アイツ相当な腕を持ってるって事か?」


「・・・・・そうは見えないが」


 等と、チラチラとこちらを見ながら小声で話している声が耳に届く。

 聞こえる内容からすると、どうやらクロードは有名らしく、滅多な事では紹介状など書かないらしい。


「・・・・・・アイツはここいらでは有名だからな」


 ガヤルさんが小声で教えてくれた。


「・・・・・・確かに、クロードさんからの招待状ですね・・・・・・分かりました、こちらを受理します」


 では、と言って受付さんは一枚の羊皮紙を差し出してきた。


「こちらの必要項目に記入をお願いします」


「分かりました」


 受付カウンターに置かれている羽ペンを拝借して記入していく。

 内容は簡単なもので、履歴書みたいなようなものだった。

 ただ、流石はファンタジー。項目にクラスが掛かれていた。これは所謂、戦士職か?それとも魔法職か?の記入になる。

 俺はこれに『闘士』と書いて受付さんに羊皮紙を渡す。


「預かります・・・・・・・はい、記入漏れはありませんね。これにて登録は終わりとなります」


「随分あっさりと終わるもんなんですね」


 もっと色々な事をするものだと思っていた。

 それこそ適性試験だと言って、いきなり試合みたいな事をするのかと若干身構えていた。


「紹介状があるので、そこまで面倒な手続きはないんですよ」


「そうなんですか・・・・・」


 まさにクロード様様である。


「登録票の発行をしたいのですが、準備に時間が掛かるので直ぐにお渡しできません。ですので明日また来てもらえれば、その時にお渡しできます。お渡しする時に組合などの詳しい説明もさせてもらいますね」


「はい。お願いします」


「では、これで手続きはこれで終わりです。お疲れ様でした」


 一週間も移動に費やしてここまで来たが、登録はものの数分で完了してしまった。まあ、明日もう一度ここにくる必要があるけど。


「あの、一ついいですか?」


 受付さんが遠慮がちに聞いてくる。心なしか若干頬が赤い。


「はい、何ですか?」


「あの、ク、クロードさんは今どちらにいるんですか?」


 癖なのか髪を指にくるくると弄びながらのお伺い、しかもどこかソワソワしたこの感じ・・・・どう考えても意中の相手の事が気になっていますと言った感じだ。

 ・・・・・・それが分かるからこそ、俺は今から告げることを躊躇ってしまう。


「・・・・・・嬢ちゃん、クロードは――――」


「ガヤルさん、俺が・・・・・」


 躊躇する俺を気遣って先に説明しようとしたガヤルさんを引き留める。


「いいのか?」


「はい」


 これは、これだけは、俺が話さないといけない。

 あの場で、クロードの最後を直接目にした俺が。


「あの、どうかされたんですか?」


 深呼吸を一つ。気持ちを落ち着かせて、俺は語る。


「クロードは・・・・・・死にました」


 沈黙。

 先程まで騒がしかった組合内が、俺の一言でその場を静寂で支配される。




「嘘だっ!!」




 静寂を破る様に、一つの声が組合内に響いた。

 俺は振り返り、声がした方を見る。そこには癖のある深紅の髪を腰まで伸ばした小柄な少女が、肩を震わせながら、俺を睨みつけて立っていた。


「ライラ・・・・・」


 誰かが少女を見て言う。

 ライラと呼ばれた少女は俺の傍に来るなり胸倉を掴んできた。


「クロードが死んだ?出鱈目言うなっ!」


「ぐっ!」


 小柄な外見とは裏腹に、掴まれた手の力は凄まじく、俺の胸倉を締め上げる。く、苦しい・・・・


「お前、ふざけたこと言ってると殺すぞっ!」


「待て、ライラっ!」


 見かねたガヤルさんが間に割って入る。解放された俺はその場で後ずさり、乱れた呼吸を整える。


「落ち着け、ライラ。話を聞け」


「ガヤル爺さん・・・・・まさか、アンタまでこいつと同じことを言うつもりか?」


 まるで挑むようにガヤルさんを睨みつけるライラ。しかし、それに臆することなくガヤルさんは頷いて見せる。


「ああ、そうだ。こいつの言っていることは本当だ・・・・・クロードは死んだ。殺されたんだ」


 瞬間、組合内が一斉にざわついた。見知らぬ俺の言葉よりも、ガヤルさんの言葉の方がその衝撃が大きかったようだ。

 その衝撃は組合にいたハンター達は当然、目の前にいるライザは他のハンター達よりも衝撃を受けていた。


「う、嘘だ・・・・クロードが、殺されるなんて・・・・・」


 ヨロヨロと一歩、二歩と後退するライラ。その姿は現実を受け止められていないように見えた。

 その目は驚愕に見開き、肩を震わすその姿は見ていて痛々しいものだ。

 そんなライラの姿を見ても、ガヤルさんの言葉は止まることはなかった。


「嘘じゃねぇよ。ソウジ、そいつを」


 そいつとは何か、言われるまでもない、俺が手にするクロードの大剣の事だ。

 俺は言われるがまま大剣を包んでいた布を取り外し、差し出して見せた。


「あ・・・・」


 剣を取り出しみせた瞬間、ライラの足が止まり、今度は誘われるように覚束ない足取りでこちらに向かってきた。

 やがて差し出した剣の前に立つと、震える手で剣を掴んだ。


「ティソーナ・・・・・・」


 クロードの大剣、ティソーナを手にしたライラはその場に両ひざを着いて項垂れた。


「・・・・・・ソウジ、話してやれ」


「はい・・・・・」


 俺はあの夜、教会で何があったのかを語った。

 赤蜘蛛に襲われ、人質になったシェスタとコロワを救うために、窮地の俺を救うために、全力を出してデップに挑んだクロードの事を。

 全てを語り終えたころ、幾人の人が悲壮に顔を歪め、幾人の人がその瞳に涙を浮かべた。

 そして、ライラは・・・・・・・




「うっ・・・・・・うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」




 声が涸れんばかりに慟哭した。

 その胸、主を失った一振りの剣を抱えながら。




       ♢        ♢         ♢            




 悲壮感が漂う組合内に一つの声が響いたのはその時だった。


「これは一体、何の騒ぎだ?」


 初老に差し掛かってきたであろう、白髪交じりの男が二階に見える手すりから顔を覗かして声を掛けてきた。


「組合長・・・・」


 受付さんが男を見て組合長と呟く声が聞こえた。察するに、どうやらこの組合のトップの様だ。


「何か厄介事か?・・・・・・ん?ガヤルじゃないか」


「オベール」


 どうやら、ガヤルさんとは知り合いらしい。厳つい顔が一瞬緩むが、傍らに膝をついて涙を流すライラを見てその表情が引き締まる。


「・・・・・・何があった」


 詳しい話を聞かせてくれ。そう言ってきた組合長、オベールさんに連れてこられた先は、オベールさんの執務室だった。

 オベールさんは窓際に設置された執務机に向かい椅子を引いて座る。部屋の中心にあるソファーに俺達も座る様に促す。

 因みに今ここにいるのは、俺とガヤルさん、組合長のオベールさんに、先程ようやく泣き止んだライラだ。

 ライラの手には未だにクロードの剣が盗られまいと言う様に、その胸に抱いている。


「・・・・・・・・・」


 オベールさんに促されて着いてきたが、ライラは此処に来るまでの間、一言も発せず黙り込んだままだ。

 ライラの様子をこっそり窺っていたが、泣き止んではいるものの、涙で目が真っ赤になり、未だにその表情は暗く、陰鬱としている。

 全員が座るのを確認するとオベールさんは改めて状況の確認をする。


「それで、一体何があったのか、詳しく聞かせてくれないか?」


 俺はもう一度オベールさんに教会でのことを説明した。

 話を聞き終えたオベールさんは「そうか・・・・」と言って目を瞑った。まるで、天に還っていったクロードの魂に黙祷を捧げる様に。

 そうしてそのまましばらくの時間が経ったとき、オベールさんは目を開いて俺とガヤルさんを一瞥する。


「・・・・・・・クロードはここら辺では一番の凄腕のハンターだった。そんな彼が殺されたなど、にわかには信じがたいが、詳しい話を聞き、そして、その剣が此処に在る・・・・・事実として、受け入れるしかない」


 重苦しい沈黙が部屋に降りた。その沈黙を最初に破ったのはオベールさんだった。


「それで、ここに来たのはそれを報告してくれるためかね?」


 それに答えたのはガヤルさんだった。


「いや、クロードの事もあるが、本題はこいつをハンター組合にいれる手続きのためだ」


「ほぅ」


 そう言ってオベールさんは俺に鋭い目を向ける。


「はい、その通りです」


 俺はその鋭い視線に内心たじろぎつつも答える。

 すると、オベールさんはニヤリと笑った。


「そうか、組合に入ってくれるのなら私としては大歓迎だ。もう、登録は済ませたのかい?」


「はい。ここに来て直ぐに。明日、登録票を受け取ることになっています」


 これに対して、オベールさんはおや?と首をかしげる。


「明日、登録票を?登録には筆記のほか、実技試験もあるから時間がかかるはずだが・・・・・」


 その疑問にはガヤルさんが答える。


「クロードから紹介状を受け取っている。そいつで登録を済ませた」


 その答えにライラの肩がピクリと反応する。が、俺はそれに気づかなかった。


「なるほど、クロードから・・・・・ソウジ君、だったね?君はよほど優秀な様だね。これは期待のルーキーが登場したな」


 そう言ってオベールさんは笑みを深くするが、俺はそれに対して戸惑ってしまう。


「いえ、そんな・・・・・俺なんて全然、クロードに訓練をつけてもらいましたが、もう全然、クロードの足元にも及ばないって言うか・・・・・」


「謙遜することはない。あのクロードが認めたぐらいだ。もっと自信を持ちたまえ」


 まいったな・・・・・こんな言われるのはむず痒い。

 本当は二か月程度しか訓練を受けていないド素人だ。クロードと言うフィルターを通してみることで、こちらの評価を上方修正してしまっているきらいがある。

 本当の実力を知ったら、落胆してしまうかもしれない。

 そんなことに焦っていると、バンッ!とテーブルを叩く大きな音が部屋に響いた。

 突然の音にビクリとして、そちらに目を向ければ、今まで黙っていたライラが立ち上がっていた。

 ティソーナを固く握り、怒りでその手が震えている。


「・・・・・・クロードが、お前を認めた?ふざけんなっ!お前みたいな奴を、クロードが認めるもんかっ!!」


「ライラ、止めろ」


「うるせぇ!」


 オベールさんの静止の声を無視して、更に俺に向かって吠え掛かる。


「クロードがお前みたいな弱っちぃ奴を守るために死んだ?そんな弱い奴が、クロードに認められた?ふざけんなっ!そんなの信じられるか!・・・・・・・アタシは認めない・・・・・・絶対に認めないからなっ!!」


「ライラ!」


 オベールさんの静止の声を振り切り、ライラは部屋から駆け出して行ってしまった。

 後に残されたのは、何とも言えない空気に包まれた俺達三人だけ。


「ふぅ・・・・・すまない、ソウジ君。ライラに悪気はないんだ・・・・・・クロードの事を、まだ受け入れきれてないのだろう。ライラに変わって謝罪する。すまない」


 そう言って頭を下げるオベールさん。


「あ、いや、そんな!頭を上げてください!・・・・・・大丈夫です。ライラの気持ちは、何となく分かりますから」


「そう言ってもらうと助かる」


 それから俺達は、クロードの遺品などについて話し合った。

 どうやら組合に登録しているハンターが死亡した場合、遺品などは親族が受け取る様になっているらしい。


「それじゃ、クロードの親族が受け取るんですね?」


「ああ、そうだ。ただ、クロードに親はいない。いるのは娘が一人だ。と言っても血は繋がってはいないがね」


 あのクロードに娘?


「じゃあ、その人に・・・・・・あっ!ティソーナ!!」


 その時になって気付いた、ティソーナはライラが持ったまま部屋を出て行ってしまったことに。


「直ぐに見つけないと!」


「まあ、待ちなさい」


 慌てて立ち上がる俺に待ったをかけるオベールさん。


「心配いらない。なぜなら、その娘とはライラの事だからね」


「え?」


 ライラがクロードの娘?


「ライラが、ですか?」


「そうだ」


 オベールさん曰く、四年前、ある依頼で訪れた街で拾ってきたと言っていたらしい。

 当時、結婚どころか恋人もいないクロードが突然女の子を連れて来て、『今日からこいつは俺の娘だ』と言って組合内を騒然とさせたらしい。

 詳しい話を聞こうとオベールさんが尋ねてが、答えてはくれなかったそうだ。

 ただ、こいつには親が必要だ、と言ってそれ以上の事は話そうとはしなかったらしい。

 クロードは当時から腕の立つハンターとして皆から信頼されていたおかげで、クロードが決めたことならと、皆迎え入れ、オベールさんが保証人として認めたそうだ。

 こうしてクロードとライラは正式に親子となった。

 そして二年前、ライラはクロードの背を追うようにハンターなり、今に至ると言う訳だ。


「ライラにとってクロードは、父であり、師でもある。だから、クロードの死を一番悲しんでいるのは彼女だろうな」


 だからなのか、そんなクロードから認められたと言う俺の事を目の敵にするのは。


「遺品の方はこちらで預かる。後でライラに渡しておこう。それより、二人はこれからどうするんだ?まだ宿を取っていないなら、こちらで手配しよう」


「いいのか?」


「なに、ガヤルには昔から世話になっている、これくらいの事はさせてくれ」


「まあ、いいのなら有難く世話になるとるるか。ソウジもそれでいいか?」


「はい、いいですよ」


「それでは―――――」


 クロードが受けていた依頼の確認や処理、赤蜘蛛の事に関しての話も聞きたい、と言うオベールさん。

 しかし今日は暗くなってきたのでまた明日、登録票を受け取った後にでも、と言う事になり、今日は解散となった。

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