第14話 目覚める狂気
目の前にいるクズ共を見ていると、胸が怒りで張り裂けそうだ。
この人間以下のクズ共を今すぐこの世から消したい。
目の前でシェスタが辱めを受けている様を横目でニヤニヤと下卑た顔で見ていた馬鹿の顔面を殴り飛ばしても気分が全く晴れない。
だから俺はこの気分を晴らすために―――――
「ぶち殺す」
死刑宣告と共に俺を往く手を阻んでいたクズ共に躍りかかる。
数は四。まずは左側にいるクズの脇腹に拳を叩き付ける。
「ぐげっ!」
最初のクズ同様長椅子を巻き込みながら派手に吹っ飛ぶ。
「て、てめぇ!」
それを見て残りの三人が手に得物を握りしめて襲い掛かってくる。
先頭のクズの腕を掴み取り引き寄せる、と同時に心臓目掛けて肘を突き出す。
「ギャアァ!」
骨が折れる感触が肘に伝わると同時に、クズの口から悲鳴が上がり崩れ落ちる。
そのクズの身体をそのまま掴んで左から切りかかろうとするクズに向けて投げ飛ばす。
クズ二人が一緒になって吹っ飛んでいく。
最後に残ったクズの足を払い、倒れたクズの首に向けて足を床にめり込ませる勢いで踏む抜く。
「ごがっ」
首が折れる感触と共に白目を剥いて動かなくなる。
これで行く手を遮っていたクズの処理が終わった。
周りを見渡せば、俺が立っている付近で十六、シェスタとコロワを取り囲んでいるのが七、合計二十三。
(・・・・・・どうにでもなるな)
とりあえず近くにいる奴から片っ端に・・・・・・・
「そこまでだっ!」
「あぁ?」
声が上がった方を見ると、シェスタとコロワの首筋に刃が押し付けられていた。
「大人しくしろ。さもないとこいつらを殺す」
デップがニヤリと勝ち誇ったように笑いながら言ってくる、が・・・・・・
「好きにしろ」
「・・・・・は?」
聞こえないのかこの馬鹿は?
「好きにしろって言ってるんだよ」
「・・・・・・冗談とでも思っているのか?本当に殺すぞ」
はあ~・・・・と盛大にため息が出た。
「人の話を聞いてなかったのか?俺は、誰が死のうがどうでもいいって言ったんだぞ?」
もう忘れたのか?本当に馬鹿なんだな。
「二人を殺したところで、結果は変わらない―――――――全員、殺す」
そう言って近くにいたクズの懐に潜り込み、顎を砕く勢いで拳を突き上げる。
クズが中空に浮かぶが、その結末を見届けることなく次に向かう。
剣を振りかざして迎撃しようとするが、剣を振り下ろされる前に鳩尾に拳を叩きこむ。
「チッ!ボサッとするな、やれっ!」
デップの命令を受けてクズ共が一気に襲い掛かってくる。
ある者は剣を振りかざし、ある者は数人で囲む様にと次々に迫ってくる。
だが―――――
「ギャア!」
「うわぁぁ!」
迫る全てを迎え撃つ。躱して蹴るつけ、自ら相手の懐にっ潜り込んで殴りつけ、獲物を持つ手を掴んで別のクズの胸を貫く。
次々に襲い掛かってくるクズ共を潰しながら、俺は不思議な感覚に包まれていた。
(体が軽い)
素早く背後に回り、首に手を回してゴキリッと首の骨を折る。
(相手の動きが遅く見える)
三人のクズ共の攻撃を余裕を持って回避し、隙だらけになった三人のクズを殴り倒す。
(力がどんどん溢れてくるっ!)
胸の中心を殴り飛ばして教会の入り口まで吹き飛ばす。
「何なんだ・・・・・・こいつ・・・・・」
デップが何か言っているようだが、俺は周りのクズ共の処理に対応して聞き取れない。
気付けばあらかたのクズ共が血を流し、骨が折れ、折れた骨が内部を損傷させ、壁や椅子に等に激突してと、まさに死屍累々と言った有様になっていた。
「さて、と・・・・・・・」
周りが片付いた事を確認し、次の狙いに向けて歩き出す。
次はシェスタとコロワの傍にいる七人。
♢ ♢ ♢
これだけの数を相手にそう長くは持たないだろうと高をくくっていたが、こいつは誤算だ。
(まさか、ここまでとは・・・・・)
さっきよりも明らかに動きの違うこの男は、本当に死体に泣きついていた奴と同じ男なのか?
どちらにしろ、このままじゃマズい。これ以上部下を失うのは痛い。村を襲う以前に今後がやり辛くなる。
(だが・・・・・・)
チラリと自分の手を見る。そこには魔石が埋め込まれた手袋が嵌められている。
このアーティファクト『鋼縛円陣』は扱いが難しい。込める魔力もそうだが、何よりも精細なコントロールが難だ。
簡単な制御ならそこまでではないが、自在に操れるかと言えば別だ。炎剣を止めることが出来たのも、俺に向かって一直線だったこと、何よりあの状況ならそうするであろうと予測できていたからだ。
今の奴のように動き回れている状況では使えない。奴の動きが鈍れば話は別だか。
「さて、と・・・・・・」
考えている間に奴の周りにいた俺の部下たちは全員倒れていた。
こちらに目を向けると、奴はゆっくりと、まるで獲物を追い詰める様にこちらに歩いてくる。
(チャンスだっ!)
「調子に乗るなっ!」
直ぐに仕掛けてこればいいものを、こいつは慢心しているのか、無警戒にこちらに歩いてくる。
これならアーティファクトを使うのは難しくない。
女の傍を離れて前に出る。
魔力を込めて両手を奴に向けて突き出しアーティファクトを起動させる。
「っ!」
途端に奴の体がピタリと止まり、前に進めなくなった。
「はっ!一人でここまで良くやったと言いたいが、そろそろ目障りだ。お前も炎剣と同じように殺してやるよ」
勝てると思って油断したな?馬鹿め!
「なるほど、これがクロードの動きを止めたアーティファクトの力か」
「ははっ、これでお前はお終いだ」
後は炎剣と同じ、ファイアランスを奴の胸にぶち込んで終わりだ!
「・・・・・・・・・だから何だ?」
「何?」
奴が言った瞬間、教会内のマナが一斉に動き出す。
(な、なんだっ!)
マナが、奴の身体に吸い込まれていくっ!
「フッ!!」
奴の身体にマナが取り込まれ、力を入れた瞬間、奴の身体から尋常じゃない闘気が吹き上がった。
「なっ!」
(なんだ、この闘気はっ!!)
驚愕で身体に震えが走った。
過去に一度だけ、俺が身を寄せていた傭兵団の団長が本気を出したことがあった。
これは――――――
(あの時の団長並みの闘気だとぉ!!!)
青黒いオーラがその光の強さを増すたびに、奴を拘束する鋼縛円陣の糸が焼き切れるようにブチブチと切れていく。
(こいつ、闘気で無理矢理!)
「ハァァ!!」
奴が更に力を入れると、奴を拘束していた糸が全て弾け飛んだ。
「この程度、か」
「な、なっ!!」
なんなんだ、こいつはぁぁ!!
「これで終わりか?」
「っ!」
一歩、奴が足を進める。
自然と俺の足が一歩下がる。
「終わりなら・・・・・・」
更に一歩、奴が足を進める。
「フ、ファイアランス!!」
俺は得体のしれない何かに突き動かされて、奴にありったけの魔力を注ぎ込んだファイアランスを放つ。
突き出した手の平から飛び出したファイアランスが空気を裂いて一直線に飛翔する。
炎剣を易々と死に至らしめた魔術、しかも俺が今放てる最大級のファイアランスだっ!
「・・・・・うぜぇ」
バンッ!
「!!」
まるで羽虫を払うように、闘気を纏わせた拳でファイアランスを払い砕く。
「もう・・・・・」
ダンッ!と地を強く踏みつける音がしたと思ったら、奴の身体がブレる。
奴の身体がブレたと思った次の瞬間、俺の目の前に奴の顔があった。
「死ねよ」
突き出された拳が胸の中心を穿つ。
それと同時に身体全体が爆発したと錯覚するような衝撃が身体を駆け巡る。
「がはっ!!」
体中の穴と言う穴から血が噴き出る。
「ば・・・・・ばか・・・・・な・・・・・・」
視界までもが血で真っ赤に染まっていく。
「俺・・・・・俺、が・・・・・・こん・・・・・こん、な・・・・ことで・・・・・・・」
身体から力が抜けていく。
「お・・・・・俺、の・・・・・じ、自由・・・・・・」
「てめぇに、自由なんて似合わねぇよ」
身体が震える、寒い・・・・・・・
「お前に似合うのは―――――――」
意識が・・・・・消え・・・・・・
「地獄だけだ」
・・・・・・・・・・・・・・・
♢ ♢ ♢
「やれば出来るもんだな」
クロードが見せた爆発的な加速、見様見真似でやってみたが、意外とできるものだな。
デップに放ったのはレッグボアに放ったものを再現してみたものだ。
あの時は何かの偶然だったが、今なら出来るのではないかと思って使ってみたが、上手くいったみたいだ。
「後は・・・・・」
「ヒィィ!」
シェスタ達の傍にいる残りの六人。
「ま、待て、降参だ!」
「頼む、命だけはっ!」
目の前で自分たちの大将が死んだことで恐怖に陥ったのか、六人とも武器を捨て命乞いを始める。
中には泣いている者、酷い奴は失禁しているのか、股下がビショ濡れになって見てられないことになっている。
「俺達はもう何もしない!ここから直ぐに出て行く!だから・・・・・・」
早口に捲し立てるが、俺の答えは初めから決まっている。
「・・・・・・・見逃すわけねぇだろうが」
「ま、まって・・・・・・ギャアァァァァ!!!!」
跪く男の頭を力の限り踏み抜く。それだけで男は断末魔を上げて動かなくなった。
その後は他の奴らと同じ、残りのクズ共も同じ末路にしてやった。
「ソ、ソウジ・・・・・・」
シェスタを見やれば、よほど怖かったのか、その瞳に涙を浮かべて身体を震わせている。
まあ、あんなことがあれば仕方がない。とにかくクズ共は始末した、これで―――――
「っ!」
「そ、ソウジっ」
急に足元がふらついて倒れそうになる。それをすんでのところでシェスタが支えてくれた。
「どうしたの?大丈夫?」
「ハァ・・・・ハァ・・・・・・ああ、大丈夫だ」
強がってみたが正直身体が怠い、意識もぼんやりしてくる。
(この、感覚・・・・・あの時の・・・・・)
レックボアを倒した時のアノ感覚・・・・・・いや、アレとは何か違う。
怠いのに体が妙に熱い。戦闘で身体が火照っているとはどこか違う。
(力を・・・・・・使い過ぎたせい・・・・・・か?)
分からない。思考がぼんやりして真面に頭が回らないし喉も乾いて仕方がない。
それに・・・・・・
「本当に大丈夫なの?」
シェスタを見ていると、体の奥から何かが小さく疼く
「ああ、平気だ。シェスタの方は?」
「私は平気。でも、コロワは・・・・・」
コロワを見やると、まだ意識が無いのか目を覚ましていない。
見える範囲では怪我などもしていない。意識が無いだけみたいだ。
「怪我がないのなら、良かった」
「うん・・・・・」
チラリと、教会の中央に視線を向ける。
そこには、テムロの遺体が横たわったままになっていた。
「テムロ・・・・・・・」
悲しみで涙が浮かび、その頬を伝う。
俺にはそれをどうしてやることも出来ずに、ただ黙るしかなかった。
「ぐっ・・・・・」
「ソウジっ」
まただ、また何かが体の中で疼く。それもさっきよりも疼きが大きくなっている。
「だ、大丈夫だ」
「でも・・・・・」
心配そうにこちらを窺う。
(あぁ・・・・・・)
支えてもらったままのなので、当然お互い身体が密着している状態だ。
そんな風に身体を密着させているものだから、シェスタの顔が手を伸ばせばすぐに触れられるほどの距離にある。
(いい匂いだ・・・・・)
これだけ近いとシェスタの女の子特有のイイ匂いが鼻腔をくすぐる。
(それに・・・・・・・)
今のシェスタはあいつらに乱暴されて、服が所々破れている。
そのおかげで彼女の豊満な胸が露になってしまったままになっている。
密着していることで俺の二の腕を挟むような形になり、その心地よい圧力が腕を圧迫する。
下にチラリと目をやれば破れた裾から蠱惑的な白く艶めかしい太腿が晒られている。
「・・・・・・どうしたの?」
何も言わない俺を疑問に思ったのか、シェスタが話しかけてくれるが、今の俺はどうしたことか、答えることが出来ない。
「本当に、大丈夫?」
俺を支えるシャスタが、俺を見上げる。
その瞳は先程まで涙を流していたせいか、まだ瞳が潤んで見える。
(―――――――――欲しい)
綺麗な目鼻立ち、ぷっくりと柔らかそうな唇、男好きのする身体つき。
耳にあの夜に聞いたシェスタの上げた嬌声が聞こえる。
(―――――――――――――欲しイ)
脳裏にあの夜見た淫らに乱れるシェスタの姿が浮かびあがる。
「ソウジ?」
あの夜のシェスタが、目の前のシェスタに重なった。
(欲シイッ!!)
「きゃっ!」
身体の中から何かが爆発的に膨れ上がったと思った瞬間、俺はシェスタを押し倒していた。
「ソ、ソウジ・・・・?」
「ハァハァ」
仰向けに押し倒した衝撃でシェスタの大きな胸がプルンと揺れる。
その豊かな乳房を鷲掴みする。
「ひゃ!・・・・・な、なにを!・・・・・・あ、んん・・・・」
そのまま豊満な乳房を揉みしだく。
「ちょ、と・・・・・そ・・・・ソウジ・・・・やめ・・・・」
手の平から吸い付くような肌の感触と程よい弾力が返ってくる。
さらに手に力を込めて荒々しくも見込んでやると、形が面白いようにムニュっと変形していく。先端の突起が硬くなり、ビクビクとしている。
その先端を口に含み吸い上げる。反応は妙実に現れた。
「ふぁっ・・・・やめ、て・・・・・そんな・・・・・吸わないでぇ・・・・・・」
その反応に味を占めて吸い付き、それに飽き足らず舌で転がすように転がしてやる。
「アッ・・・・ンん・・・・・やめてぇ・・・・・ソ、ウジ・・・・・やめてぇよ・・・・・」
歯を立てて軽く噛んで引っ張ってやる。するとシェスタはビクンッと身体を震わせた。
「イィ!・・・・・ダメ・・・・・・噛んじゃ・・・・・だめぇ・・・・・・」
そうして乳房を弄んでいると徐々にシェスタの息が熱く熱を帯び、声に艶が出てきた。
「あぁ・・・・だめぇ・・・・・ダメなのぉ・・・・・なんでぇ・・・・・・なんで、こんなぁ・・・・・」
身体から力が抜け、瞳に涙を称えながらシェスタが辞めろと懇願してくるが・・・・・・
「・・・・・・・んだ」
「え?」
「・・・・・ヤリたいんだよ」
「な、何言って・・・・・・」
「我慢していたんだ、あの夜から、ずっと・・・・・・」
「あの夜・・・・?」
思い当たらないか?
「シェスタとテムロがヤッてた時の事だよ」
「ッ!!」
思い至ったのか、シェスタは羞恥で耳まで真っ赤になる。
「み、見てたの?」
「あんなにスケベだなんて知らなかったよ」
「ち、ちが・・・・」
「違わないだろ、淫乱シスター」
「い、淫乱・・・・・」
否定しようが俺は淫らにテムロを求めるシェスタの姿をこの目で見たのだ。
いくらシェスタが否定しようが事実は変わらない。
「あんな姿を見せられたこっちは堪ったもんじゃないぞ。おかげでシェスタを見るたびに頭の中で何度もシェスタの痴態が頭に浮かんで大変だったんだぞ?どうしてくれる?」
「どうって、そんなの・・・・」
「責任、取ってくれよ」
そう言って俺は残されたシェスタの服に手を掛けて破り捨てた。
「キャアァァァァァ!!!」
窓から差し込む月明りに照らされて、汗に濡れたシェスタの男を惑わす魅惑的な身体が浮かび上がる。
「何度も思ったんだ、シェスタとヤりたい、シェスタの身体を無茶苦茶にしてやりたいってな」
「ひっ!」
ズボンを痛いほど押し上げるソレを見せつけてやると、シェスタは怯えたように声を上げる。
「我慢させられた分、責任取って俺を満足させてくれよ・・・・・」
シェスタの両足を掴み、無理やり開かせる。
「い、いや!止めて!!」
腕を伸ばして拒絶しようとするが、そんな抵抗は無意味だと嘲笑うように俺はシェスタに覆いかぶさる。
「抵抗しても無駄だ、諦めろよ」
「ダメ・・・・・それは・・・・・それだけは・・・・・お願い・・・・・」
そんなシェスタの懇願を無視して、俺は身体を突き動かす衝動に任せて腰を沈めていく。
そして――――――――
「イヤァァァァァァァ!!!」
むせ返るような血の匂いが漂う教会に、シェスタの叫びが木霊する。
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