入学編—神秘の終門3
しかも今回の個体はルーデウッドが一から育てた特別性。ルーデウッドの見立てではウルテイオの三年生までなら殺す事も可能だった。
故にルノスとも不利な契約を結んでやった……のだが。
「ローズリア、次そっちに行くぞ!」
「了解ですわ!」
ルノスは
そして今みたいに
単純だが、そんな連携が二人の命を救っていた。まあこの方法は囮役の負担が大きすぎるのが問題なのだが——一年生にして多数の呪文を会得している彼らは簡単に命を落とさない。
「——ッ!」
その瞬間だけ行動が早かった。不意をつくように。恐らく、相手も学習しているのだろう。
だが——前方で目を光らせるルノスには読めていた。
「やらせるか、
「ガァァ——!!」
ローズリアと
衝撃が自分に返ってきた
「ナイスですわルノスさん……!」
「任せろ……!」
体勢が崩された
「
衝撃によって地面から離れられた片足を固定させる。さすがにあれほどの巨体全てをを固まらせるのは不可能だからだ。
しかし、これでバランスは完全に崩せたはず。
「
すかさず風の刃を正面からローズリアが穿ち——遂に
ドスンッ! と地震のように揺れた
「
「確かにどの呪文にも決定打にはなり得ないかもしれませんわ……!」
未だ
残念ながら現状の二人に行使できる呪文では相手を殺し得ないのだ。
あまり悠長にしていられない。今こうしている間にも
「ローズリア、君は風霊呪文と
「
「ならあの
————オレも最高の炎爛呪文を叩き込む。
そう続けると彼女は微笑んだ。
「なるほどですわ。なら遠慮なく」
単体での呪文で傷が付かないのなら二人の呪文を合わせてしまえばいい。
刹那の間に理解したローズリアが魔法剣を掲げた。
「まさか入学間も無くでコレを使うとわ思いませんでしたわ————
彼女はその呪文を唱えると同時に大ぶりで剣を振り下ろす。
それが合図となり、魔法が発動された。
「ガァ——!?」
螺旋のように黒い風に見舞わらる
「
そうして唱えられる中級呪文。一年生、二年生でも使用できないであろう高みの魔法。
それはルノスの魔法剣、その先に居た
それだけでも威力は絶大。しかし、今回はローズリアが唱えた
結果——お互いの呪文が混ざり合い、ルノスの炎はさらに大きく立ち昇った。
「ガァァァ——!!」
耳的で太鼓を叩かれているような悲鳴に二人は思わず耳を塞いだ。
だが確信する。
——今のは効いた。
その一方で、傍観していたルーデウッドは驚嘆していた。
「一年生が何故あんな呪文を操れる?」
いや、ペクシー家の娘はともかく……あの魔王候補は異常だ。それとも魔王候補の中ではあれが普通? 馬鹿な。
ルーデウッドは理解の及ばない化け物。ロイマスの姿が脳裏に浮かぶと、すぐに掻き消した。
「まったく今年の新入生は面白いな。君もそう思わないかい?」
贓物喰いは歪んだ笑みを見せながら、あの時と同じように下で横になるスティンにそう言ったのだった。
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