第391話:イケてる連中
「俺たちは騙されないぞ!」
「おまえは魔王と手を組んで、世界を滅ぼそうとしているんだろう!」
「そんなこと、俺たちが絶対に許さないからな!」
2隻の飛空艇から降りて来た50人ほどの異世界転移者たちが、俺を見て一斉に武器を抜く。
転移者たちの後から出て来たのは、東方教会の祭服を着た奴らだ。今回も後ろで糸を引いているのは、こいつら――いや、転移者たちに武器を渡しているのは『RPGの神』だから、結局は『RPGの神』の差し金だろう。ホント、懲りないよな。
転移者たちの中で俺が見たことがある奴は、東方教会の影響が強い国に囲い込まれていたけど。半分以上は見覚えがない。俺は一度会った奴の顔は忘れないから、東方教会がそいつらを囲い込んでいたってことか。
「おい、なんで黙っている! 俺たちをシカトしているのか?」
3人の男子が前に出て来る。俺に文句を言った奴らだ。
明るい色のマッシュヘアに、金髪ピアスに、軽く染めた長めのツーブロック。年齢は全員20歳前後。それなりにイケメンだし、格好にも気を遣っているみたい。こういう奴らをイケてる連中って言うのか?
「ああ、悪いな。別に
「俺たちは眼中にないってことか? ホント、ムカつくぜ!」
金髪ピアスが俺を睨みつける。
「アリウス・ジルベルト。おまえは魔王の手先で、この世界を滅ぼそうとしているんだろう! そんなこと、俺たちが絶対にさせないぜ!」
「おまえたちが何を吹き込まれたのか、だいたい解ったけど。もっと自分の頭で考えろよ。少し情報を集めれば、おまえたちを連れて来た東方教会の連中が、何をやって来たか解るだろう。こいつらは自分たちの思い通りにならないからって、勇者を殺そうとするような連中だからな」
俺の言葉に、転生者たちに動揺が走る。
「おい! みんな、騙されるな。こいつは『魔王の代理人』だ。魔王の手先は悪に決まっているだろう!」
完全に思考停止しているな。転移者の力に目覚めて強くなって、自分たちは正義だと思い込んでいるから、他人の言葉に耳を貸さない。ここで議論しても時間の無駄だな。
「それで、おまえたちはどうしたいんだ? 戦うなら相手になるけど」
今の俺は普段のシャツ1枚にズボンというラフな格好。武器は『
「舐めやがって……『
金髪ピアスがスキルを発動して、いきなり切り掛かる。『暴風斬』は風の刃で相手を切り裂く片手剣用上位スキルだ。
だけど俺にとっては、動きが遅過ぎる。剣が当たる前に拳で殴って、スキルごと粉砕する。殴った俺の手は無傷だ。
「う、嘘だろう……」
「おまえは俺を殺そうとしたんだから、殺されても文句は言えないよな?」
ビビった金髪ピアスが俺の知らないスキルを発動する。だけど勿論、対策済みだ。
『
だけど衛兵たちの周りには、あらかじめ透明化した『
「おい! なんで何もしないんだよ?」
金髪ピアスの言葉に、衛兵たちが訳が解らないという顔をする。
「おい、
「お、おう……」
腰が引けたマッシュヘアとツーブロックがスキルを発動する。だけど次の瞬間、俺は2人の武器を粉砕する。
「おまえたちも、俺に殺されたいみたいだな」
「「ヒッ!」」
情けない声を出して、2人は後退る。完全にビビっているな。
出鼻を挫かれたことで、他の転移者たちは
「皆さん、何を
司祭服を着た男が転移者たちを扇動する。東方教会の奴らの言葉を鵜呑みにした転移者たちもどうかと思うけど、こいつらは踊らされただけだからな。
俺は一気に加速すると、転生者たちの間を擦り抜けながら全員の武器を破壊する。
「お、俺の武器が……」
「え……今、何が起こったの?」
こいつらには、俺の動きが見えなかったようだな。
「武器無しで戦うのか? 俺は別に構わないけど、出直した方が良いんじゃないか?」
「まさか、こいつが……」
呆然とする転移者たち。だけど他の反応をする奴もいた。
「あの人……滅茶滅茶イケメンで、カッコ良くない?」
「それ、私も思った!
転移者の女子たちが俺を見て騒いでいる。まあ、
「だけど魔王の手先なんでしょう? だったら悪者じゃない」
「でも、さっき東方教会が勇者を殺そうとしたとか言っていなかった?」
「もしかして私たちって、騙されて連れて来られたとか……」
女子たちが東方教会の奴らを疑わしそうに見る。完全に旗色が変わったな。
「ま、待て! アリウスに騙されるな! あの男は『魔王の代理人』だぞ!」
東方教会の司祭は慌て
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