第378話:異世界転移者たちの反応
ブリスデン聖王国から3人の異世界転生者を連れ出したことを、エリクとアリサに『
2人の女子は、ピンクブラウンのセミロングが
とりあえず誠を含めた3人に、魔法やスキルを街中で勝手に発動しないことを約束させる。ブリスデン聖王国でも、さすがにそれくらいの常識は教えていたらしく。3人は素直に受け入れた。
「この街では人間と魔族と一緒に暮らしているんですか? あ! あそこに、獣人がいる凄い! 如何にもファンタジー世界って感じですね!」
街を歩いてるだけなのに、
「ねえ、あんた。1人で騒いでいて、ウザいんだけど!」
「あ……勝手に興奮しちゃって、スミマセン!」
同じブリスデン聖王国に囲い込まれていたのに、誠と優里亜は余所余所しい。小百合は全然喋らないし。なんとなく、昔のノエルを思い出すな。
「なあ、おまえたち。俺のことは呼び捨てにして、タメ口で構わないからな。俺は堅苦しいのが嫌いなんだよ」
「いいえ、そういう訳には。それに僕は、これが普通の喋り方ですから」
「別に強制するつもりはないから構わないけど」
「あーしはアリウスって呼ばせて貰うね! ねえ、アリウス。うちらはこれからどこに行くの?」
「とりあえず、宿屋に案内するよ。当面の生活費は渡すから、あとは自分で仕事を見つけるなり、冒険者になるなり好きにしてくれ」
俺は3人に金貨を5枚ずつ渡す。金貨1枚で10万円くらいの価値があるから、普通に暮らせば2ヶ月は生活できるだろう。
「アリウス、お金なんか貰っちゃって良いの? あーしの身体が目的とか言わないよね?」
優里亜が慌てて自分の胸を隠す。
「優里亜、何を馬鹿なことを言っているんだよ。それは情報料だと思ってくれ。俺は異世界転移のことを詳しく知りたいから、おまえたちが転移したときのことを教えて欲しいんだよ」
「そういうことなら、了解! あーしが知っていることなら、何でも話すよ」
3人を宿屋に連れて行って、遅い夕飯を食べながら話をする。今日は異世界転移者の件で、みんなや子供たちと一緒に夕飯を食べられないけど。こうなることは解っていたから、みんなには了承して貰っている。
結局、異世界転移についての情報は、優里亜と小百合も何も知らなかった。どの転移者も突然この世界に転移したってことか。
夕飯を食べ終わって、俺は3人に帰ると伝える。
「そう言えばアリウスって、どっかの国の王様とか言っていたよね? ここがアリウスの国なの?」
「ああ、一応な」
「なんか、アリウスって滅茶苦茶慕われている王様だよね」
優里亜がこんなことを言っているのは、街を歩いているときに住人たちが気楽に話し掛けて来たからだ。宿屋で夕飯を食べているときも、俺を見掛けた奴が話し掛けて来た。
「国王らしくないって良く言われるよ。まあ、俺は今でも冒険者だからな」
「そっか。アリウスは王様なのに冒険者なんだ。ブリスデン聖王国の王様と全然違って、あーしはこっちの方が好きかも!」
誠が大人しいのは、俺たちが夕飯を食べている宿屋の食堂に魔族や獣人がいるから、キラキラした目でそっちを見ているのと。マリアの勢いに飲まれて、話に加われないのと両方だな。
小百合の方は黙って俺と優里亜の話を聞いている。小百合が喋ったのは2回で、名前を訊いたときと異世界転移のことを質問したとき。
「私も同じです……」
小百合の答えは、それだけだった。
「小百合は喋るのが苦手みたいだから、無理して話す必要はないからな。訊きたいことがあったら、そのときだけ喋れば良いよ」
「あ、ありがとうございます……」
小百合が赤くなる。ホント、昔のノエルを見ているみたいだな。
「あれ……あーしと話すときと、アリウスの態度が違うんだけど? もしかして、アリウスは小百合みたいなのが好みなの?」
優里亜の言葉に、小百合が真っ赤になる。
「あのなあ、優里亜。こう見えても、俺は28歳の妻帯者で子持ちだからな。おまえたちにしたら、俺なんてオッサンだろう」
「え、嘘! あーしと同じ年くらいかと思った。それに奥さんも子供もいるって……全然そんな風に見えないよ! 女避けに嘘をついてるんじゃないよね?」
「それも良く言われるけどな。今度、おまえたちに俺の家族を紹介するよ」
そう言って、俺は3人と別れる。前世で俺が死んだのは25歳のときで。優里亜みたいなタイプは俺の周りにいなかったし、喋るとジェネレーションギャップを感じるけど。優里亜と小百合も悪い奴じゃないみたいだな。
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