第352話:親馬鹿
書籍版二巻の表紙をX(旧Twitter)で公開しました!
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文字をカラフルにして貰いました。やっぱ、新キャラのアリサのデザイン、メッチャ可愛いですね! Parum先生、ありがとうございます! 2巻は10月30日発売。みなさん、よろしくお願いします!
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「貴様は私の娘を酔わせて、どうするつもりだ? ルーディー、おまえたちが付いていながら、どうして止めなかったのだ!」
ルシアの父親ロドニア・バジェスタ伯爵が怒り心頭で、がなり立てる。なんか勝手に勘違いしているな。
「ロドニア閣下、申し訳ありません。ですがお酒を飲まれたのは、ルシア様ご自身の意思です」
ルーディーが頭を下げながら、状況を説明するけど。
「それを止めるのが、おまえたちの役目だと言っているのだ!」
ロドニアには聞く耳を持たない。自分の娘が泥酔して、男に
「ルシアも子供じゃないんだし。酒を飲み過ぎたくらいで、とやかく言うことじゃないと思うけど。そもそも怒りを向ける相手が違うんじゃないか? 俺たちに文句を言う前に、ルシアと話したらどうだよ。まあ、当分は酔いから醒めないだろうけど」
「何だと、貴様……ルシアの命の恩人だからと、たかが冒険者の分際で偉そうなことを言うな! 普段のルシアは泥酔するほど酒を飲むような娘じゃない。貴様に下心があって、ルシアを
ロドニアが俺を睨みつける。こいつが『
こんな茶番に付き合うつもりはないし。あとはルシア自身に任せるとするか。
俺が無詠唱で『
「え……なんで、お父様がここにいるのよ?」
ルシアは泥酔していたせいで、状況を良く把握していないようだな。
「ルシア……酔いが醒めたのか?」
突然、
「おまえは、この男に唆されて。散々、酒飲まされたようだが。もう大丈夫だ。ここは私に任せるが良い!」
不埒な男から娘を守るように、ロドニアは俺の前に立つけど。
「はあ? お父様は何を言っているのよ。私は自分でお酒を飲んで……えー! 私はなんてことをしたのよ!」
ルシアは酔っていたときのことを思い出したのか。真っ赤になって抱える。
「ルシア! まさか、この男に
ロドニアが掴み掛って来るけど。腕を掴んで、床に組み伏せる。関節を完全に極めたから、これでロドニアは動けない。
「貴様……何をするのだ! 今直ぐ、その手を放せ!」
「おまえさ。勝手な思い込みをしないで、きちんとルシアの話を聞けよ」
「そうよ、お父様! アルは何も悪くないわ。これ以上、私に恥を掻かせないでよね!」
ルシアに大声で捲し立てられて、ロドニアが唖然とする。
「ルシア……おまえは、それほどこの男のことが……」
ルシアが俺を庇ったからって。こいつは何を勘違いしているんだよ。
「だ、だから、そんなことは言っていないでしょう! お父様、ちゃんと話を聞いてよ! 私がアルにお礼をしたくて、食事に誘ったことは話したわよね? 私は楽しくて、ちょっとお酒を飲み過ぎちゃっただけよ!」
「ルシア、本当にそれだけなのか?」
「あ、当たり前じゃない! わ、私はアルのことなんか……」
そう言いながら。ルシアは俺の方をチラチラ見て、顔を赤くする。こいつはホント、解り易い奴だな。だけど変に気を持たせるような真似をするつもりはないからな。
「ルシアが言った通りに、こいつは俺のことを何とも思っていないだろう。そもそも俺は妻帯者だからな」
「え……アルって、結婚しているの?」
ルシアはショックを受けたようで、呆然としている。
「貴様という奴は……妻がいながら、ルシアを
ロドニアが怒りに任せに、暴れようとするけど。俺が関節を極めているから動けない。だけどロドニアは本当に人の話を聞かない奴だな。
「ルーディー! おまえたちは何をしている? 早く、この男をどうにかしろ!」
「ロドニア閣下、ですが……」
ルーディーたちが困っている。自分たちの親が仕える領主のロドニアを無視する訳にはいかないけど。どう考えても悪いのは、ロドニアだからな。
「おい、良い加減にしろよ。俺とルシアは何でもないって言っているだろう。勝手な思い込みで、ルシアたちの気持ちを踏みにじるなよ」
ルシアたちは俺が助けたことに礼をしたくて、こうして食事に誘ったのに。ロドニアは勝手な思い込みで、それをぶち壊したんだからな。
「アル、あんたは……ねえ、お父様。本当にもう止めてよね! これ以上続けるなら、私はお父様を嫌いになるわ!」
「そ、そんな……ルシアが私を嫌いに……」
ロドニアは愕然として肩を落とす。こいつ、本当に親馬鹿だな。
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