10章 世界の変化
第363話:3年後
この3年間。俺はそれなりに忙しく過ごして来た。
エリスたちみんなとの間に、子供が生まれたからだ。
エリスとの間に生まれた子供が、2歳半になる男の子アリオンと、女の子の1歳のエスト。2人とも銀色の髪と、エリスと同じ海のように深い青い瞳をしている。
他のみんなとの子供は、生まれた日は違うけど、みんな2歳で。ミリアとの子供が、白い髪と
ソフィアとの子供が、銀色の髪と紫紺の瞳の女の子フィリア。ノエルとの子供が、茶色の髪と
父親になった感想を言うのは照れ臭いけど。まあ、自分の子供は何人いても、可愛いとだけ言っておく。
らしくないと思うかも知れないけど。俺はみんなが妊娠してから、そして子供が生まれてからも、全面的に協力している。
神たちの領域にダンジョンを創ったから、ダンジョン攻略に時間を費やすことはないし。『
おかげで家事とか色々と憶えた。侍女や使用人にさせれば良いと思うかも知れないけど、俺が自分でやりたいんだよ。
みんなの生活にも変化があった。子供ができた機会に、ミリアはロナウディア王国諜報部を、ノエルは魔法省を辞めて。ジェシカはSS級冒険者パーティー『白銀の翼』を正式に脱退した。
3人は別に専業主婦になる訳じゃなくて。子育てしながら『自由の国』の運営を手伝って貰っている。3人には、それぞれやりたいことがあるけど。優先順位の問題もあるし。環境が変わっても、やりたいことができなくなる訳じゃないからな。
エリスは相変わらず、子育てしながらマリアーノ公爵としての仕事と、商会の仕事を掛け持ちして。ソフィアもビクトリノ公爵として、ロナウディア王国の公共工事を手掛けている。だけど2人は部下を育てて来たから。今では重要案件以外は部下に任せている。
だから仕事場には週に一回程度顔を出せば問題ないらしく。普段は『自由の国』で書類や『
そんな感じで。子供ができてから、俺はみんなと一緒に過ごす時間が増えた。
子供たちに囲まれて、みんなと平穏に暮らす日々。当たり前の生活の中に、俺は柄にもなく幸せを実感している。
「アリウス。私たちがいるんだから、たまには冒険に行っても構わないわよ」
「そうだよ、アリウス君。アリウス君がみんなを大切にしてくれることは解っているからね」
「私はしばらく冒険は無理だけど。アリウスがやるのは構わないわよ」
「勿論。アリウスが傍にいてくれることは、凄く嬉しいけど」
「アリウスなら、多少離れた場所にいても。何かあれば直ぐに駆けつけてくけるでしょう。だから私たちに気を遣わなくて構わないわよ」
俺が神たちの領域に創ったダンジョンに挑んでいることは、みんなには当然話しているけど。みんなは俺がもっと色々と冒険したいと思っているらしい。
だけど、みんなが子育てと仕事の両立で忙しいのに、俺だけが遊んでいる訳にはいかないからな。俺が動く必要があるとき以外は自重している。
「ねえ、お父さん。
「アリオンだけズルいわ。ねえ、お父さん、私にも!」
「僕も魔力操作したい!」
「僕だって!」
「僕も!」
アリオン、フィリア、エリオ、テリウス、ジャンの5人に囲まれる。キラキラした円らな瞳で見つめられると、断れる筈もなく。
「みんな、解ったよ。おまえたちが真面目に魔力操作の練習をしていることは解っているからな。だけど俺のいないところで、魔法やスキルを勝手に発動するなよ」
「「「「「うん!」」」」」
「おとうさん。わたしも、たんれんする!」
遅れて来たのは、1歳になったばかりのエストだ。2歳の兄姉たちに囲まれて、自分も同じ事がしたいと思うのは当然だろう。
「じゃあ、エストも一緒に来るか」
「うん! おとうさん、すき!」
俺は子供たちを連れて、城塞の中庭に向かう。念のために周囲に『
「じゃあ、みんなは魔法もスキルも自由に使って構わないからな」
エスト以外の5人が一斉に魔法とスキルを
エストは
6人同時に相手をするのも、ダンジョンの高速戦闘に慣れている俺には何の問題ない。それぞれの動きに合わせて対応して、子供同士が間違って傷つけ合わないようにフォローする。
勿論、フォローするだけじゃなくて。他の子ども傷つけそうになったときは、キチンと叱って、叱った理由を説明する。
俺は別に子供たちを英才教育したいとか考えている訳じゃない。だけど普段から魔力操作をしている俺を見ているからか。子供たち歩き始める前に、感覚的に魔力操作の仕方を覚えた。エストも、もう普通に魔力を操作しているからな。
魔法や剣術も自分からやりたいと言うから、歩き始めてから直ぐに鍛錬を始めた。さすがに転生者の俺ほど速いペースじゃないけど。他の子どもと比べたら、段違いに早い成長だろう。
そんな俺と子供たちを、みんなは暖かく見守ってくれる。俺のことを信頼してくれているからだと思うけど。俺のやることだからと、諦めているのかも知れないな。
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