9章 どこまで行くか
第296話:B級冒険者アル
とりあえず、二巻の初校まで今日書き終わりましたので。本編の続きを書きたいと思います。
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今日。俺はB級冒険者のアルとして、ブレナという街の冒険者ギルドに来ている。
俺は肩書が増えたし。色々と目立ち過ぎたからな。たまには気楽に一人の冒険者として行動したいと思って。偽名で新しく冒険者登録したんだよ。
俺はアリウスとして顔バレしているけど。髪の毛の色を黒に変えて、別人の冒険者プレートがあれば意外とばれないモノだな。
二一歳の俺が新人の冒険者だなんて。変な絡み方をして来る奴がいるから、とりあえずB級までは等級を上げておいた。
俺は毎日『
「アルさん、久しぶりですね」
声を掛けて来たのはC級冒険者のノルン。栗色の髪をポニーテルにした一七歳の女子だ。年上でB級冒険者の|俺(アル)に気楽に話し掛けて来る。
「またソロでダンジョンに潜っていたんですか? アルさんはB級冒険者だから私たちよりも強いですけど。さすがにソロでダンジョンを攻略するのは危険ですよ」
「まあ、
|俺(アル)はブレナの街を拠点にしている冒険者と言う
「それなら良いですけど……アルさん。前から言っていますけど、うちのパーティーに入りませんか? アルさんは剣も回復魔法も使えるから、是非うちのパーティーに入って欲しいんですよ」
ノルンと話すようになったのは、ブレナの街の近くにある
今の俺の『|索敵(サーチ)』の効果範囲は半径一〇kmくらいある。だから『
だからノルンたちが格上の魔物に苦戦しているのは直ぐに解った。
そのときに俺はイレギュラーな魔物を剣で倒して。怪我をしていたノルンたちに回復魔法を掛けたんだよ。
ちなみに『
「パーティーに誘ってくれるのは嬉しいけど。俺はソロが性に合っているんだよ」
ソロが性に合っているのは本当だけど。適当なことを言っていることに、少しだけ罪悪感を憶える。
「ソロが性に合っているだなんて……アルさんは恥ずかしがり屋さんなんですね。そんなところもギャップがあって可愛い……いいえ、何でもありませんよ」
ノルンが俺に好意を持っていることは、さすがに俺でも解る。だけどこれは、危ないところを助けてくれた年上の冒険者に憧れているだけだろう。
「おい、ノルン! またそんなオッサンと話しているのか?」
いきなり話に割り込んで来たのは、ノルンと同じパーティーの物理系アタッカーのバルト。ノルンと同じ一七歳のC級冒険者で、出身地も同じらしい。
「バルトは何を言ってるいのよ? アルさんに失礼でしょう。謝りなさいよ!」
「……う、うるせえな! そのオッサンが年甲斐もなくもノルンを狙っているから。俺は注意しただけだぜ!」
俺はノルンたちと同じ年齢のときは、恋愛なんて全然興味がなかったけど。今の俺ならバルトの気持ちが解る……まあ、やり方に問題はあるけど。
「バルト、何を言ってるのよ! アルさんが私を狙っているなんて……本当に狙ってくれたら、嬉しいですけど。アルさんは私なんか眼中にないから」
ノルンは何か変なことを言っているし。妙に距離が近い。
「だから、こうしてアピールしているんですが……私じゃ、ダメですか?」
「な……」
ノルンがアザとく上目遣いで俺を見て。バルトが絶句している。だけど俺には通用しないからな。
「そうだな。俺には何よりも大切な人(たち)がいるから。悪いけど、ノルンの気持ちには応えられないよ」
「それって……冒険者ギルドの受付のマリーさんですか?」
ノルンがジト目で俺を見る。ブレナの街の冒険者ギルドの職員マリーは美人なことで、この街では有名だけど。
「たがら、俺は結婚しているんだって。|以前(まえ)にも話しただろう?」
俺は
「アルさんは、またそんなことを……冒険者がアルさんの年齢で、結婚している筈がないじゃないですか」
冒険者はいつ死んでもおかしくない仕事だから。大抵の冒険者が結婚するのは、冒険者を引退するときだけど。
「俺が結婚しているのは本当だからな。ノルン。|そういうの(・・・・・・)は、おまえの勝手だけど。俺は年下に興味はないんだよ」
本当のことを言えば、年齢は関係ない。何よりも大切だと思ったみんなが、たまたま俺と同じ年齢か、年上と言うだけの話だ。
「またまた……アルさんは年齢で相手を判断するような人じゃありませんよね?」
だけど何故かノルンは、俺の思惑を見抜いていて。
「だから……アルさんのことは絶対に諦めませんよ」
まあ、俺がどうこう言う話じゃないけど。
正直に言えば。 冒険者なら、ダンジョンを攻略しろよと思う。
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